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ピブメシリナムが米国で承認

ピブメシリナムが米国FDAで承認されたというニュース

米国では販売されていなかったのですが,欧州では使われていました。
2011年のIDSA(米国感染症学会)と欧州微生物感染症学会による尿路感染症のガイドラインで単純性膀胱炎の治療薬として推奨されていました。

ペニシリン系に分類されますが,主なスペクトラムがグラム陰性菌という少し変わった薬です。逆に言えば尿路感染症にはうってつけの薬かもしれません。

耐性は比較的少なく,collateral damage(他の細菌叢へ与える影響)は少ないそうです。ESBL産生菌についてもそれなりに効くという報告もあり,海外では見直されていました。

Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2010: 54; 4006-4008
http://aac.asm.org/cgi/content/full/54/9/4006?view=long&pmid=20585127

Dewar S, Reed LC, Koerner RJ. Emerging clinical role of pivmecillinam in the treatment of urinary tract infection in the context of multidrug-resistant bacteria. Journal of Antimicrobial Chemotherapy 2013;

実は日本国内でもかつてはメリシンという商品名で武田薬品工業から発売されていました。

ESBL産生大腸菌やキノロン耐性大腸菌が市中でも増えてきている中,これは外来での尿路感染症治療でとても大事な薬ではないかと思っていた矢先,なんと諸般の事情により2013年10月に販売中止になってしまったそうです。漏れ聞くところによると「役割を終えた」からそうです。本当に,これからだというところで・・・。

現在,グラム陰性桿菌に対する新たな抗菌薬開発のパイプラインが枯渇してきています。新たに薬を開発するには,巨額のコストがかかるそうですし,国際的にはこういう昔からある薬を利用できないかと模索されています。

2013年当時,武田薬品に意見を送ってみたところ,担当部署に転送します,ということでしたが,特に音沙汰はありませんでした。なんとか日本でも復活できないものか・・・・・・

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