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なぜモールで月1億円売れてる会社でも自社ECで売ることができないのか

株式会社Bizgemの樋口です。前職の子供服D2Cブランドの取締役時代から、「ECモールでは月商1億円超えてるのに自社ECサイトでは全然」売れないという相談を受けていました。少し調べてみるとZOZO・楽天などで上位に位置する企業であっても、そもそも自社ECサイトがない会社も少なくありませんでした。

私自身は子供服D2Cブランドに入社する前は広告費をかけずにSEOとSNSで年間3万人以上のユーザーが登録するWebサービスをゼロから起業してスケールした経験がありマーケティングにもある程度知識があったので、入社した際にも自社サイトを伸ばすことの優先順位高く実行しました。結果として入社前には全体の売上の5%程度だった売上比率を25%前後まで高めて複数ある販路の中でもZOZOTOWNの次の売上シェアを占めるようになりました。

競争激しいECモールで売れる商品は競争力のある商品である

私が入社してすぐに自社ECサイトを伸ばすことに自信を持って取り組むことができたのも、「ZOZOTOWN」で月商1,000万円を超えており、ランキング入りする商品も複数あったことが大きいです。
楽天、Amazon、ZOZOTOWN、Yahoo!ショッピングなどのECモール複数のブランド・事業者がしのぎを削る競争の激しい売り場です。同カテゴリの商品を比較しやすく、ランキング機能・口コミ機能により、より魅力的な商品がより売れるようになる売り場です。そういった競争の厳しさ、顧客接点の薄さを敬遠して自社ECのみで販売する事業者も少なくなりません。
一方で、競争の激しいモールで売れているということは競争力のある消費者が求めている商品である証拠とも言えます。

「そのためECモールで売れている商品は必ず自社ECでも売れる」はずですが、多くの企業が取り組めていません。

ECモールで売れているのに自社ECで売れていない理由

相談を受ける中で、ECモールで売れているのに自社ECで売れていない理由としては下記が挙げられるのではないかと考えています。

理由その①優先順位の低さ

ECモールで月商1億円超えてしまうと、今更自社ECで数百万円売れたところで経営インパクトが小さく取り組みの優先順位が下がってしまうというのは大きな要因として挙げられそうでした。大手企業が新規事業の取り組みに苦戦してしまうのに似た構造がEC事業における自社ECサイトにもいえるのではないかと感じました。特に2010年よりも前に創業し、ECモールを主戦場に伸ばしてきた企業は自社ECを伸ばす知見・ケイパビリティがないため、余計に優先順位が下がっているようでした。

理由その②リソース不足

優先順位にも通じるものですが、既に大きな売上をあげているECモールでの売上アップ・維持施策に大部分のリソースが割かれてしまい、新規に自社ECサイトを立ち上げ・伸ばしていくリソースが全然ないというものです。EC事業を行う企業の多くがソフトウェア企業のように利益率が高いわけではないため、10億円規模の企業でも10人程度で運営していることも多く、人員の余裕は常になく、相対的に売上の小さい自社ECプロジェクトに割くリソースがないというケースがかなりありそうです。

理由その③費用対効果が不透明

自社ECサイトを立ち上げるとなると、ECモールとは異なり、ECサイト開発・マーケティング・物流・お問い合わせと全ての機能を自社である程度コントロールする必要があります。ECモールでは考えなくてよかったことを考える必要があり、まったく知見がないといくらかかるのかもわからず、費用対効果が不透明で踏み切れない企業も多いようです。

個別に依頼すると、サイト開発・改善で数百万円、広告費用含めて広告代理店に数百万円、ECコンサル企業に月間数十万円、それらをプロジェクトとして回せる人材を採用したら採用フィーと人件費で年間1,000万円と費用が膨大に見えて億劫になってしまうのではないでしょうか。投資として割り切って実施したものの、自社ECサイトの売上がまったく伸びずに苦い思いをしたという企業も少なくありません。

特にZOZOTOWNをメインとしている企業では、サイト開発は不要で商品登録のみ(楽天の場合は最低限のHTML・CSSが必要)・物流はZOZOTOWNの倉庫に送ればOK、お問い合わせも全て対応してくれるため、自社サイトに必要な知見が運用の中で身につかないというのも自社ECサイトの対応が遅れてしまう要因のようです。

モールで売れてる企業が自社ECサイトを伸ばすのに必要なことはなにか

その上でモールをメインとしている企業が自社ECサイトを伸ばすために必要なことを問われたら子供服D2Cの経験や自社ECで売れてる企業の話をまとめると以下三点になると思っています。

①最低限のサイト開発

10年前にスクラッチで作ったECサイトというものがまだあり、レスポンシブ対応がされていないサイトも見かけます。さすがにスマホでのアクセスが主流となった現代において最低限レスポンシブ対応されたサイトでなければ、そもそもCV率が相当低くなってしまうので、そういったサイトであれば最低限の開発は必要になると思います。

ECサイトの開発・構築というと数百万円かかるイメージをする方も多いのですが近年ではECカートの開発が進んだため、外注しても30万円〜と比較的少ない金額からの外注も可能となっており、初期にはその開発で十分だと言えます。私も前職の子供服D2Cブランドで利用していましたがShopifyであれば、月額数千円でおしゃれなサイト構築もある程度簡単に行え、必要に応じてスケールするために追加開発といったスモールスタートが可能なのでおすすめしています。

②モールと同様の販促企画・CRM施策

運用面も悩むところかもしれませんが、まずはモールと同様の施策を実施するというのがモールで販売してきた企業には楽に行える内容だと思います。週末タイムセール、クーポンの発行、初回購入特典などモールで実施している施策をそのまま自社ECサイトに転用する方法です。同様にリピート施策であるCRMも定期的なメルマガ配信・SNS告知から始めて徐々にマーケティングオートメーションによる自動化などに取り組むのがよいと思います。あまり難しく考えずにまずはモールで実施している施策と同程度の施策を自社ECでもやるのが取り組みやすく成果も出やすいのでおすすめです。

③モールの利益率を考慮した広告費用の投下

自社ECサイトはモールに比べると販売手数料が少ないため利益率がいいというのはよく聞くかと思います。一方で自社ECサイトは利益がいいはずと考えて適切に広告費用を投下しないと規模が出ずに経営にとってインパクトのある数字を出すのが難しくなってしまいます。
そのため、モールでの限界利益率を精査して、モールと同程度の限界利益率を出すのであればどの程度自社ECサイトの広告費に投下できるのかを整理して、初期はモールと同程度の利益率でよいと割り切って広告費用を投下することをおすすめしています。必要な広告投資をすることによって、初期から売上を作ることができ、成果が出ることによって経営陣のモチベーションも上がり自社ECサイトが伸びるサイクルに入りやすくなります。

自社ECサイトを伸ばすならお手伝いをしています。

最後に宣伝になりますが、自社ECサイトの伸ばし方はわかっていても自社ではリソースが足りないという企業に対して、自社ECサイトの戦略設計・サイト構築・運用設計・広告代行によるスケールまで請け負うサービスを立ち上げています。
売上20億円規模のD2Cブランドの取締役として、商品企画以外の業務全般を担当し、利益を出しながら自社ECサイトも月商数千万円規模まで伸ばした経験からサイト立ち上げからスケールまでサポート可能ですので、ぜひご連絡ください。


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