2001年~2009年までの山口市の創業比率が高かった理由は。③ 2009年から2022年まで、そして、これから。
2006年から創業比率が全国的に下がり始める。
創業比率の定義で計算方法が変ったこともあるかもしれませんが、創業支援を仕事にしていた私としては、実感していたことがありました。
創業支援など、このような支援先は国の方針と連動しています。
国がベンチャー支援を始めると県や市(自治体)からも始まっていきます。
終わりも同じで、国が支援を辞めると県や市も辞めていきます。一部例外の自治体もあります。福岡市は例外で、新たにスタートアップ支援を始めました。
国が行うドリームゲートが終了したのがこの時期で、ベンチャーブームが萎んでいき、本物が生き残っていく時代になりました。
県や自治体の支援も縮小していく中、政権交代による事業仕分けの影響で、創業支援という施策は、どこかに行ってしまいました。
山口県も同じような流れもあり創業比率が一気に下降しました。
2006年~2009年は地道な活動
V-スクールの卒業生でベンチャー企業の経営経験があることから、山口大学経済学部で始まった「新事業創造論」の授業で、学生にアドバイスしたり、ビジネスプランの発表で審査員をつとめたりしていました。
新事業創造論の授業をしておられた教官から相談があり、2007年より教官から継承して「新事業創造論」の講師として授業を受け持ち、履修生へ事業の起こし方や経営の考え方、事業計画作成方法を教えることになりました。
数年後、この授業を履修した学生が福岡市でスタートアップし、週刊東洋経済の特集で「すごいベンチャー100」に選ばれるCEOになりました。
6年間、山口大学経済学部 新事業創造論で指導したことは、間違いなかったと思います。
創業支援や企業間の連携を行う山口市産業コーディネーターは2009年3月で終了しました。この年から3年は、全国的に創業比率の底辺になりました。創業支援があるのは、一部の商工会議所が行う創業塾ぐらいでした。
2012年~2016年に創業比率が急上昇する。
政権が変って、創業施策多く出たのがこの時期でした。
どの自治体でも創業支援や補助金が施行されて、創業し易い環境が生まれました。ただ、創業が増えていくものの、短期間で廃業する起業家も多くいることが課題になってきました。短期間での廃業は統計に反映されにくとも、聞いています。
2010年代は福岡市のスタートアップが盛り上がって創業比率でも全国でもダントツで高い状況になりました。
スタートアップ支援団体や投資ファンドも生まれて起業家を支える環境が整っていきました。
スタートアップが盛んな福岡市に行き、私も支援者や起業家を交流を増やしていきました。スタートアップ支援者には山口県出身の方も多くいて、同郷のよしみで適宜、情報交換させてもらったり、イベントに呼んでいただいたり、人を紹介していただきました。今の交流がありますが、本当に熱量が高くて圧倒されました。2006年頃の山口市の起業の熱量と一致していて、そこにいることが重要だと思いました。
山口市の起業は、専門用語で言えばスモールビジネス型のスタートアップや個人事業型が大半でした。2010年代の福岡市は、本来のスタートアップ型が多く、スケールの違いを実感しました。
2011年からは全国で創業塾が盛んになります。
国の施策で創業支援が活発になり、全国で創業塾が開催されるようになりました。2006年から創業支援が縮小し、政権が変り打ち切られたことから創業塾も壊滅的な状況になり、それに伴って創業塾の講師は別の仕事を始めました。私もそうでした。そのため創業支援が再び始まり、全国で創業塾が始まったこの時期は講師不足でした。
創業塾の講師経験者に全国から声がかかります。私もご縁をいただいて、鳥取県で5年間、創業塾講師をしました。
また創業塾の統一されたテキストも用意されて、テキストの使用が必須となる支援機関もありました。
オリジナルなテキストと全国版のテキストを併用して使う講師もいました。
RESASには、2014年~2016年までのデータしかありませんが、下降気味になったのは、創業支援がマンネリ化してきたのと、ある程度の創業需要が収まったからだと思われます。
しかしながらソフト面からハード面に切り替わり、自治体主導でコワーキングスペースの設置が2015年から始まり、年々増えてきました。
民間主体では2012年頃からコワーキングスペースやシェアオフィスの開設が始まり、フリーランスが仕事をする場が環境が充実してきました。
自治体のコワーキングスペースが増える中で、創業者を伴走しながら支援するコーディネーターの設置が始まりました。これは、今も続いています。
2023年からスタートアップ支援がよりパワーアップします。
国の施策でスタートアップ支援が今以上にパワーアップします。
金融機関も自治体もスタートアップに力を注いでいきます。
スタートアップの仕事をしつつも、スタートアップ以上に地方では後継者への施策が必要であると考えていますので、事業承継、第三者承継を含めて後継者支援、アトツギベンチャーの支援を「温故承新」として繰り広げていきます。
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