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「働き方改革」へのエール

全く突然ですが、私は喫茶店のモーニングが大好きです。仕事と家事、そして子育てでなかなかゆったりした時間が取れない私にとって、朝、出勤途中の30分間、おいしいコーヒーとこんがりトーストが至極の時間です。

お店には特にこだわりがあるわけではなく、いわゆるチェーン店によく寄るのですが、最近どこのお店でも気になるのが「人手不足」です。明らかにキャパをオーバーしていることです。喫茶店のアルバイトの方達はとても手際がよく、どんどん並ぶお客様の注文をさばいていくわけですが、トーストがぬるかったリ、白かったリ、コーヒーがこぼれたりします。「大変なんだろうなぁ」と思いつつ、こんがりトーストを求めて次の日は別のお店にいくわけです。働き手の確保が難しい時代になってきたんですね。

今回は、「働き方改革」について少し考えてみたいと思います。

1.「改革」への覚悟は?

これから、労働人口がますます減っていく中、「働き方改革」が大きな話題となっています。就職人気ランキングでいつも上位の大手広告代理店に入社した東大卒のとてもかわいらしい女性が過労から自殺したという大変衝撃的な出来事で、一気に「働き方改革」という意識が広がったように思います。これまでも「ブラック企業」といった言葉で長時間労働をさせる企業を非難することはありましたが、外食産業や小売業の接客スタッフやアルバイトといった一部の企業の一部の従業員を対象とした動きでした。今回は経営トップからも「働き改革」の言葉が聞かれるように大きなうねりになっているように思います。

この「働き方改革」、掛け声だけでは絶対にうまくいかないことはわかりきっています。本当に真剣に取り組み、働き方を変えていくのであればかなりの覚悟が必要となります。

「改革」中は、新旧の様々な価値観が入り交じり混乱します。働き方に対する 考え方は、業界や会社でも常識が異なります。それ加えて、それぞれの個人がこれまでどのような働き方してきたかによって価値観が大きく異なっているように思います。

どんな分野においても「改革」をしていくためにはリーダーシップが大変重要ですが、リーダーシップをとる方達の中には、家事・子育てをほとんど奥様にお任せして、残業、休日出勤を厭わず会社のために働きリーダーに上り詰めた方達も多いと思われます。ご自身の成功体験と異なる価値観を心から受け入れて、様々な反対意見や葛藤、 一時的な混乱を乗り越えてやり遂げなければならないわけです。

「やっぱり、定時に帰るなんてムリだよな。」「顧客との関係があるからどうしても時間外対応は必要」とできない理由をつけて中途半端で、むしろ建前だけが先行してしまうリスクもありそうです。「改革」ですからある程度の混乱は当たり前。それでもやり遂げる覚悟と忍耐が必要となってきます。

2.プロセスでなく結果を評価する

仕事に対しての考え方は人によって異なるのも事実です。仕事が大好きで、朝から晩まで仕事をしているのが生きがいの人だっているし、仕事以外に多くの時間を費やしたい人もいるわけです。子育てや介護のような場合は、自分の仕事に対する価値観や考え方だけでなく、強制的に仕事の優先順位を変えざるを得ない状況も出ていきます。そのような個別事情も職場レベル、会社レベルで斟酌し、様々な働き方や価値観を認めていくことが必要になってきます。

その上で、現実にはいろいろな課題が出てくると思われます。働き方改革をしていくためのポイントとして「頑張っているプロセスではなくその結果のみを評価すること」という言葉がいろいろなところで聞かれます。概念としてはとても分かりやすく、むしろ「当たり前の考え方」と考えている方も多いと思いますが、これを徹底するのは非常に難しいことです。

・結果重視といった場合の結果とは何か。(利益だけではないはず)
・同じ仕事をたくさん時間がかかる人と時間がかからない人をどのように評価するか
・2倍働いて2倍結果を出す人をどのように扱えばいいか

上司は現実的な様々な課題に「働き方改革」を進めながら対処し、正しく評価する眼力が求められることになります。

余談ですが、育児書、教育番組で必ず言われるのが「(子どもには)結果で なく、プロセスをほめましょう。」ということです。そう、子供のころはプロセスが評価され、がんばったことが褒められるわけです。それが仕事になるとがんばっていても間違った頑張りであれば評価が下がるのです。このギャップを評価する側も評価される側も受け止め、意識を変えていかないといけないわけです。これがオトナになるということなのかもしれません。私は職場では結果を重視し、家庭ではプロセスを重視しないといけないということですね。

3.まずは働く時間から考える

そういう私自身も自分の働き方を省みても、とても胸を張れたものではありません。ただ子供が生まれてからは、「子どものお迎えの時間」という絶対後ろにずらすことができない締切の時間として決まってしまいました。そういう「絶対の締切」があれば、それに向けて目の前の仕事を終わらせるためにどうすればいいか工夫するものです。

例えば
・会議前に「アジェンダ」を作る
・議題毎の時間配分を事前に想定しておく
・クライアントの疑問のポイントをあらかじめ想定してく
・作業に自分なりの締切を設けてる 等

実に基本的なことですが、意外に実践している人は少なかったように思います。「無駄だな」「ダラダラしているな」という打ち合わせも結構ありました。帰る時間が決まっていないことを羨ましいと思ったこともあります。全員が早く帰宅することが強制されれば、それだけで色々工夫も出てくるでしょうから、それだけでもずいぶん無駄は減るように思います。

働き方改革は、まずは残業時間の規制から始まるようです。残業時間の規制に加えて「絶対帰宅しなければいけない時間」を設けることをお勧めします。「長い時間働くことががんばるアピール」という価値観や行動を変える一番手っ取り早い方法ではないでしょうか。

ちなみに、労働基準監督庁の友人に聞いたところ、体に一番悪いのは「長時間労働が続くこと」との事。「続く」というのがポイントだそうです。様々な労災案件を見ると、ほぼ例外なく過労死ラインの80時間以上の残業が「続いている」状況にあるそうです。そして、この「残業が続く状況」が自分の意思でなんとも調整出来ない場合、例えば上司から言われる、顧客から言われるというような場合にはさらに状況は深刻になるということでした。みなさんの職場で、実質的に80時間以上の残業が続いている場合、それは すでに赤信号かもしれません。

4.そして自分を磨くこと

そして働く側は、今後「働き方」で職場を選択できるよう自身を磨いていくことが必要になるでしょう。改革という名ばかりで、旧来の価値感を強制するような職場は、自分から去ることができるよう爪を磨いておくことで、心の余裕も生まれると思います。

「ここしかない」のではなく「どこでもやっていける」と思える余裕を持てること、これも働き方改革が成功する大切な一要素のように思います。「死ぬまで働けるような自分を在職中から育て上げるべきだ」(ビジネスエリートの新論語 司馬遼太郎著)といった気概をもって日々の仕事を行うことで力を蓄え、人生の節目節目でより自分にあった働き方を求めてみる。働く側の意識の 改革も問われます。(作成日:2017年3月15日)

■執筆者:株式会社ビズサプリ 代表取締役 辻 さちえ

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