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いつか消滅するとしても

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原稿用紙86枚程度の短編を載せています。
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記事一覧

いつか消滅するとしても 最終話

 自分のアパートの前に来て、部屋の窓に灯りがついているのを眺めていた。優に説明したら、な…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.11

 僕と氷雨は、駅ビルの2階にあるマックに入った。もっとガッツリ食べられるところを提案した…

ふじこ
3年前
1

いつか消滅するとしても EP.10

 数日経っても、優の身体は変わらなかった。  パチンパチンと、伸びた足の爪を切りながら、…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.9

 俊介って呼んでいい?  僕と弘子が友だちだといえるようになったのは、たぶんあのときだろ…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.8

 隣で寝ている優の傍で、僕は弘子に返信した。空いているよ、ちょうど休みだし――そう打ち込…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.7

俺って、女を好きになれないのよ。  大学の読書サークルで優と会話をするようになって初めて…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.6

「――弘子が心療内科にかかるようになったのって、いつだっけ」   身体に合わないカーディガンを羽織った優は、袖から見せる小さな指でどんぶりを支えながら、食べている。顎についた米粒も気にせずに、僕の問いに視線を宙に浮かす。 「卒業して就職してからだった」 「何年前になる?」 「……さあ。弘子が手首の写真を送ってきたのが、俺が研究所に入所した年だったのは覚えている」 「……もう5年は経っているんだな」 「それよりも、多い時間を俺らは弘子とつきあっているんだよ」  だから、チャラだ

いつか消滅するとしても EP.5

 それから、弘子の誕生日が来ると、僕たちは弘子との距離感に合ったささやかなプレゼントを贈…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.4

.「もうそろそろ、弘子の誕生日だよな」  定食屋に入り、おしぼりで小さな手を湿らしながら、…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.3

 子どもの頃から学生時代にかけて、僕は優しくすることと愛することの違いが、よくわかってい…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.2

 ポストを開けると、中には何もなかった。もしかしたら、と思いながら階段を上ると、玄関ドア…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.1

 欲望など、ほとんど感じていなかった。ただ、優の手のひらが温かそうだったから、僕はその温…

ふじこ
3年前
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