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【ボクシング】2・20アメリカ・デトロイトのUSBAタイトルマッチ2試合批評&考察


止めてタメて打つ。ホームズ会心のKO勝利

☆2月20日(日本時間21日)/アメリカ・ミシガン州デトロイト/ウェインステート・フィールドハウス
USBAスーパーウェルター級タイトルマッチ10回戦
○アードレアル・ホームズ・ジュニア(29歳、アメリカ=69.55㎏)チャンピオン
●マーロン・ハリントン(31歳、アメリカ=69.82㎏)
※使用グローブ=REYES赤(ホームズ、ハリントン)
TKO2回1分25秒

 BoxRecによれば、ハリントンはオーソドックスとなっているが、サウスポーでスタートしたハリントンの出来が素晴らしく見えた。クイックのフェイントをかけまくり、素早いステップインから強い攻撃を仕掛けていく。けれども同じくサウスポーのホームズは、バネを利かせた俊敏なステップバックで見事に反応していく。ハリントンは右構えも織り交ぜながら、ホームズをどう攻略しようかと探っている様子だった。

 2ラウンド、左構え同士のにらみ合いの最中、ホームズが一瞬左方向へ体を倒し、動きを止めるような形となった。が、次の瞬間、右を打ち出そうとしたハリントンに、オーバーハンド気味の左をスローテンポでかぶせると、これがドンピシャでアゴを打ち抜いた。
 ガクンと腰を落とし、ホームズにしがみついたハリントンを、ホームズは振り払う。キャンバスに倒れ込んだハリントンは、2度3度と転がりながらもなんとか立ち上がる。

 意識朦朧状態のハリントンは、オーソドックスで対峙するが、ホームズは一転して素早い左ショートストレートから繋ぎの速い右フックでアゴを薙ぐ。前のめりにバッタリと倒れ込んだハリントンだが、今度もまた立ち上がってきた。これは信じがたい光景だった。
 しかし、ダメージの深さは尋常ではない。ホームズは決して慌てずに、獲物をロックオン。狙いすました左、さらに右フックから左を突き刺してまた倒し、アンセル・スチュワート・レフェリーはようやく試合を止めたのだった。

 速さに対応し、動きを止めてハリントンの意識をそらし、タイミングを遅らせたパンチを当てて倒す。そして次は速度を速めたコンビネーション(長谷川穂積がウィラポンを倒した2パンチに酷似)。速い相手をスピードの罠にハメたホームズの技あり勝利だった。

ホームズ=15戦15勝(6KO)
ハリントン=12戦10勝(9KO)2敗

懐かしのセコンド顔合わせ。試合はイスマイロフが圧勝

USBAライトヘビー級タイトルマッチ10回戦
○アリ・イスマイロフ(30歳、ロシア=79.26㎏)チャンピオン
●ブリットン・ノーウッド(36歳、アメリカ=79.45㎏)
※使用グローブ=RIVAL赤(イスマイロフ)、RIVAL青(ノーウッド)
TKO4回1分28秒

 初回を見るかぎり、イスマイロフは対サウスポーに慣れていないのではないかと思えた。ジャブを打たないだけでなく、ノーウッドのパンチに対し、左の照準が合う位置へ頭を倒す癖があったからだ。
 けれども2ラウンドに入ると、偵察は終わったとばかりに右をどんどん使い出す。それはリードブローにもダメージングブローにもなりうるもの。一気に気圧されてしまったノーウッドは、腕を絡めて難を逃れようとするばかり。しかしイスマイロフは黙々と右ストレートを顔面に集め、意識を集中させておいてボディに突き刺してダウンを奪った。

 完全に主導権を握ったイスマイロフは、決して慌てて攻めていかない。じっとりと右で痛めつけていこうという姿勢だ。4ラウンド、ノーウッドの左に対し右を合わせ、さらに右ストレートを顔面に打ちこんで倒すと、右サイドへステップしながら右をヒットさせ、返しの左フックもヒット。ずるずると後退するノーウッドを追いかけるが、ここでセコンド(ホエル・カサマヨール!)が棄権の意思表示。試合は終了となった。

 イスマイロフにはジョン・デビッド・ジャクソン(元WBOスーパーウェルター&WBAミドル級チャンピオン)、ノーウッドにはカサマヨール(元WBAスーパーフェザー、WBC&WBOライト級暫定チャンピオン)が参謀としてつくという、オールドファンにとってはそちらも気になる顔合わせだったが、試合はイスマイロフの圧勝だった。

イスマイロフ=12戦12勝(8KO)
ノーウッド=20戦13勝(10KO)5敗1分1無効試合

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