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ブラックジャックのカウンティングの問題点

ブラックジャックはカウンティングによって攻略可能と言われていますが、最近のカジノ、特にツール利用が容易なオンラインカジノではテーブルルールを変更することによってカウンティングの効果を弱くすることで対策しています。

現状では、カジノ側の対策の結果、カウンティングで利益を上げることが難しくなっていますが、より良いカウンティングを行うことでその対策を凌駕して利益を上げることは可能でしょう。そこで、この記事では現状のカウンティングの問題点(つまり伸びしろ)について語っていきます。

全てに対応するカウンティングシステムは作れない

カウンティングシステムの強さの指標を表す基準値として、BC、PE、ICというものがあります。BCは期待値(RTP)に関する指標、PEはプレイに関する指標、ICはインシュアランスに対する指標です。

これらのカウンティング指標というのは、0~1の値を取り、1に近ければ近いほど性能が良いのですが、すべての指標を1にすることは理論上不可能です。

例えば、ICを1にするカウンティングシステムを作ろうと思ったら、以下のようになります。

Tに-1、それ以外のカードにTの値を打ち消す(シューを引き切った時に0になるようにする)ような値を設定すればICは1になります。実際このシステムを使えば、デッキの中のTの比率が正確にわかるので、インシュアランスをするべきかしないべきか正確に判定することができます。

一方で、BCを1にするカウンティングシステムとはどのようなものでしょうか。これがBCを1にするカウンティングシステムです。

値が少数ですが、デッキからそのカードを1枚だけ取り除いた時の期待値の変化に等しいカウントになります。例えば、デッキからAが一枚取り除かれた時の期待値の変化は-0.61なのでカウントも-0.61にする、ということです。カウンティングシステムがこの値の定数倍に近ければ近いほどBCは1に近づくという仕組みです。

さて、ここでもうお分かりかと思いますが、BCとICを同時に1にするのは普通のカウンティングシステムでは不可能です。なぜなら評価の基準が全く違うからです。

ここで解決策として、3つのカウンティングシステムを同時に用いるという方法が考えられます。つまり、BCが1のカウンティングシステム、PCが1のカウンティングシステム、ICが1のカウンティングシステム、の三つを使うということです。

BC,PEの問題点

ですが残念ながら、PEが1のカウンティングシステムは存在しません。ブラックジャックは非常に複雑なゲームで、単純なカウントによって正確なストラテジーを導き出すことはできません。ある研究によると、PEの限界値は0.7程度だとされています。

さらに言うと、BCが1のカウンティングシステムでも、期待値を正確に予測することはできません。その理由は、カウンティングシステムの線形性にあります。全てのカウンティングシステムは以下のような式で表すことが可能です。

$$
Count = (Drawn_A × Point_A) + (Drawn_2 × Point_2) + ... + (Drawn_T × Point_T)
$$

要するに引かれたカード×ポイントを全て足し合わせたものがカウントだよっていうことです。当たり前ですが。
じゃあこの式にどんな問題があるのかっていうことなんですが、ブラックジャックの期待値の変化はこんな単純な式で表せないというところに問題があります。

話を単純にするために、デッキの中から8を狙って引ける凄腕ディーラーがいるとします。この人に狙って8だけ引いてもらうとすると、さっきの式を単純化できます。8以外引かないので、8以外の項は全部無視できます。

$$
Count = Drawn_8 × Point_8
$$

ではここで、実際に8だけ引いていったときに、どのように期待値が変化するのか確認してみましょう。計算で使用するテーブルルールは8デッキ6カードチャーリーです。


期待値の変化が直線ではないのが分かると思います。つまり、先ほどのような一次式では期待値の変化を正確に表すことはできません。つまり、BCが1のカウンティングシステムでも完璧には程遠いということです。

解決策

オンラインカジノでコンピューターが使えるならば、カウンティングなどという手法に頼らずにコンピューターパワーでごり押ししてしまうのが最も正確でしょう。私の開発したBJCMというソフトを使えば、一般的なPCを使っても数秒で正確な期待値、あるいは一瞬で最適手を求めることができます。


ランドカジノの場合、コンピュータでごり押しすることはできないので、他の解決法を考えなければいけません。
インシュアランスに関してカウントしても正直そこまで期待値が向上しないので、二人で同じテーブルに座り、片方はBCに関して最適化されたカウンティングをし、片方はPEに関して最適化されたカウンティングをするのが良いでしょう。通しを使ってカウント状況を共有すれば今のブラックジャックでも攻略できるかもしれません。

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