ある日の二時間サウナコース

ある日のサウナ。ちょうど二時間、睡眠時の心拍数(bpm)が50、平常時が70、サウナに入ってかるーく汗をかくくらいが140、140を超えたら水風呂に入るか寒空の外気浴にに行き、いいかんじになったらすぐにサウナに戻るというのを細かくひたすら繰り返したい気持ちの日のサウナでした。なお私は高血圧と心臓病の家系です。

bpmはリンダリンダのサビのところがちょうどbpm200だと暗記しておくといろいろ便利です。リンダリンダーリンダリンダリンダーアーのタンタンタンタンタンタンがちょうどbpm200。その半分だとbpm100だし計算しやすいです。
気象庁が採用している雨量の数字のmmも暗記しておくと色々便利な数字シリーズのひとつです。10mmは土砂降り、30mmは台風、50mmは自動車のワイパーを最強にしても視界が確保できない、80mmは室内にいても恐怖を覚えるほどの雨量、100mmはNHKの気象予報士が退職まで口にしないレベルの天災、だと20年くらい前に半井小絵さんが言っていました。そして私はなにか物事を暗記したいときは無目的に全体をごそっと暗記する派でもあります。

サウナでは手首足首から背中とお腹までびっしり入れ墨の人が背中にびっしり入れ墨入れた人にけっこう意味不明な内容の説教を、要約すると<1>誰にも舐められてはならない、<2>全身脱毛しろ、<3>サウナには長時間滞在しろ、をしていて、その他にも口からゲコッゲコッと謎の音を出す常連さんとかいろいろいました。
そんななか、なんとかスタン出身の巨大な外人さんの集団がサウナに入ってきたのですがどうやら無銭飲食ならぬ無銭侵入で、ゲコッゲコッのおじさんがなにを言っても日本語も英語もワカリマセーンの態度ですべてを無視するし、入れ墨おじさんズも彼らに対して我関せずだし、しかたないのでお店の人に声掛けをしてもらってもやはり人間の言葉がワカリマセーンの態度で、しかたないなあ通訳してやろうかとばかりに私が大きめの、若干大きめの声で英語にて立て板に水であなた達は違法な利用をしているよ出ていかないと困っちゃうってお兄さんも言ってるじゃない出ていきなさいね、と諭すと、なぜかサウナのお兄さんが日和って不良外人たちの足の裏をペロペロなめんばかりに態度を急変させて私の若干大きめの声はサウナの室内にほわーんと消えていったのでした。そしてメンツを潰されず王様のごとくかしずかれた不良外人たちは満足気にサウナをあとにしたのでした。
ここで問題なのは不良外人、特に〇〇系と〇〇系の人たちはメンツを潰されたら結構な割合で報復に来るので、はしごを外された私だけが彼らのメンツを潰したことになっていないのかということに水風呂の中で、シャッキリとした頭の中で思い至り、あの入れ墨おじさんズのその場の判断力、何もせずにボーっとしていたとも言うけど、彼らの不作為が正しかったのかとも思うわけで、私も若干ビビり気味になって上記の謎の2時間サウナコースになったわけです。その途中で内風呂にも外風呂にも更衣室にもトイレにもどこにも不良たちがいないことを確認してさらに1時間サウナにこもってブルブル震えるには高温ドライサウナは暖かかったのでぽっかぽかになってからいい気持ちで更衣室をでたら不良外人が番台の前でじっと待っていたのでした。眼鏡をかけた外国人つまり私の容姿が区別つかなかったのか、そもそも私はずっとサウナハットをしていたので顔を抑えられていなかったのか、彼らは寒空の下1時間何を待っていたのか謎は謎を呼びますが創作でないリアルな怪談話によくあるようにこの二時間サウナコースの話にもオチはありません。


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