柔術道場に入門以来二年くらい誰とも会話しなかった

↑私。

トライフォース池袋に紫帯で入門して、最初の二年くらいは基本的な挨拶とかは以外の雑談的なことは全くやっていなかった。早川先生の超絶テクニックに関しては一言一句漏らさずにメモに残したし、当時はアドバンストカリキュラムの策定時期で、私の手元のメモと現行のカリキュラムを見比べると早川先生のお考えの変遷が分かって面白いし、練習は結構行ってたけど雑談もなく練習が終わったらさっさと帰っていた。

何も話さずにじっと早川先生と早川先生の道場をみていた。トライフォース池袋が洗脳する系の道場だったら嫌だなーと警戒していた。
洗脳道場のほうが道場経営的には多分簡単で、いきったおじさんや若者をボコボコにして頭が空っぽになったところで優しくすれば一丁上がり。私に紫帯をくれた先生は親が瀕死でも練習に毎日来いってみんなに説教してた。
早川先生のところで柔術を学べば必ずプラスになることはわかっていたが、一方で、ここがヤバい系道場であったとしても覚悟を決めて殺される覚悟で学びを得ようと思っていたが故の弱きものの自己防衛、それが無言。
自分がヤバい奴だとか怖し屋だとか思われるのが嫌で、スパーリング中はスパイダーでずっと逃げていたし相手が超絶凡ミスしてバックをとれちゃったら仕方なくチョークを極めていた。スパイダーばっかり使っていたら弱くなるのもわかっていたけど無言なうえにがつがつしてたらもっと嫌だろうと思い、自分としてはまったく合理的な判断だった。得られるものと失うものが等しければ合理的。

洗脳道場のもう一つの特徴としては代表の神格化・カリスマ化があります。これはよろしくない。実によろしくない。無言の二年間、いちどたりとも早川先生にはそんなそぶりが無くてビビった。すごい。芝本先生や売り出し中の若手を前に出すようなことはあっても自分をあげさせることはなかった。科学的歴史的事実として早川先生の技法や考え方をそのまま評価するようなことはあったとしても。

シャイな私の心が解きほぐされ三年目くらいからとつぜん話し始めたのと、当時青帯のおじさんにニーオンベリーのエスケープを教えてくれと言われてトライフォースの技法を教えた日に早川先生からラインが来て「インストラクターやる?」と聞かれたのはほぼ同時期でした。


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