小池都知事の学歴詐称について調べた(カイロ大学首席?)

一平ちゃんの学歴詐称の話題があったばかりで、
ショーンK再評価の流れが起こった珍事も記憶に新しい4月!
(ちなみに、わたしはショーンKけっこう好きです)
またまた学歴詐称の話題が再燃。
当方、調べ物は好きなのでネットの海から断片的な素材を集めて考えてみた。先に言いますが、極めて黒に近い状況と言わざるを得ません。
結論だけ気になる人は最後の方をご覧ください。


事実の整理

①卒業証書は実在している(2020年6月15日)
②2017年6月5日、週刊ポストが「現地取材で卒業を確認」という記事
③2020年5月27日、プレジデントより「カイロ大学卒業は本当」という記事
④2020年5月29日、文春『女帝 小池百合子』(石井 妙子 著)における告発
⑤2020年6月9日、カイロ大学からの声明文が出された
⑥同上、エジプト大使館から⑤の翻訳文が出された
⑦2023年11月10日、文春youtube動画で、同居人が再度告発
⑧2024年4月 9日、小島敏郎氏が学歴詐称について告発 [New]
⑨2016年8月1日、Wikipedia「カイロ大学」には「出身者」として掲載有.
[補足]カイロ大学卒業前後の氏の動向

以下に事実①から⑨まで順を追って、わたしの調査結果・見解を記す。

①卒業証書・証明書について

小池氏が保有している証明書は、テレビのニュース番組やメディアで公開しているので、ググれば画像は容易に閲覧可能。
書類としては、確かに実在している(事実)
ここで焦点となるのは、この卒業証明書の真贋についてとなるが
このアイテムを本物だと証明する側は不利な状況である。
偽物だ、という指摘はいくらでもできるけれど、
本物だ、という証明は大学側の助けが無いと厳しい
ましてや70年代の書類であるからして、
多少の粗さはあるだろう、とわたしは思います。

このアラビア語の証明書を、独自に翻訳してみたという記事が
2020年6月15日に毎日新聞から出ていた。
これによると、証書・卒業証明書共に「1976年10月に学士を取得」とある

次は、JBpressというサイトの記事。
このメディアは岸田批判などもしており「左寄り」「信ぴょう性低い」という批判もある、反自民系であることは頭に置いておきたい。

JBpressの指摘内容は以下
・あるべきエジプト外務省のスタンプが無い
・小池氏と同じ76年卒の他の卒業証書と比べると学部長のサインが違う
・写真に押されている割印が合致しない などなど。

JBpressの記事にある写真に、わたしは色をつけてみた。
赤色=写真の印鑑/緑=台紙の印鑑
言われてみれば、形が異なるようにも見える…

上記のJBpressによる記事中には、他にも捏造の指摘が数点あるが割愛。
ただ70年代の書類の粗なんて、探せばいくらでもあるだろうな
とわたしは思う…

②週刊ポスト「現地取材」について

週刊ポストが2017年にカイロ大学の現地取材を敢行したという記事がある。この記事によると、ジャーナリスト・山田敏弘という方が、学術部-日本語学科の客員 アーデル教授を訪れた結果、教授が調べて回答してくれた。という内容だ。

大学の記録では、小池さんは文学部社会学科を1976年に間違いなく卒業しています。

https://www.news-postseven.com/archives/20170605_560954.html/3

なお、この現地取材を刊行された山田敏弘氏は、直近にこんなツイートをしている。

山田氏がエジプトに言ってヒアリングを行ったのは事実だろう。
実際に現地のカイロ大学教授が履歴を調査して回答した
これは中々強力なエビデンスではないか?と思う。

ちなみに、このアーデル教授(アーデル・アミン・サーレ)とは何者か?調べてみた。 カイロ大学の学術部(Faculty of Arts)のページhttp://arts.cu.edu.eg/は日本語学科の項目はあるので、現在も日本語学科は確かに存在しているようだが、客員(講師)のページがエラー状態
アーデル氏が過去・現在在籍しているかは判らなかった。

上記は、Google語訳をかけた様子。このように、日本語学科のページにアクセスしようとしても、残念ながらエラーになってしまい、確認することはできなかった。

このアーデル教授についてWikipediaの方には、いつ頃にカイロ大学に就任したのか、今も在籍しているのか?明確な時期の記載が無い
出典はあるものの、リンク切れだったりして、いまいち不明瞭だ。

1997年一橋大学社会学部助手。大阪大学外国語学部客員教授、カイロ大学文学部日本語日本文学科准教授等を経て、
カイロ大学文学部日本語日本文学科長・教授

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%AC

その他には、2011年11月15日のネット記事ぐらいしかなく、この時点でカイロ大学の学術部-日本語学科の客員だったようだ、という憶測の域は出ない。(出典が不明瞭)

山田氏から証拠の提示は無く
取材結果は文言だけであり、エビデンスが無いのが惜しい…

③プレジデント「卒業は本当」について

2020年5月27日にプレジデントオンラインが公開した「カイロ大学卒業は本当」という記事について。
まず、
プレジデントオンラインというサイトの評判は、あまりよくない(笑)
このメディアは安倍政権批判などもしており、政府寄り/保守寄りではないようなので、機密費を貰った工作的な擁護記事の可能性は低いとわたしは思う

しかし、いわゆる「釣り」のような嘘・デタラメが多いという批判を度々受けているメディアだと言うことは、頭に置いておきたい。

さて
この記事では、カイロ大学の教授にインタビューした、とあり、
その中で「アリ・メッカウイ名誉教授が卒業を認めている」とある。

メッカウイ氏は「小池氏は若くして親元を離れ、異なる文化社会のエジプトで暮らし、熱心に授業に出席していた。その社会に溶け込み、大学を立派に卒業できた小池氏のことを誇りに思う」と語り…

https://president.jp/articles/-/35768?page=4

前述のアーデル教授に続き、このアリ・メッカウイという人物が実在しているのか調べてみたが、写真や著書など、Google上やFacebookにも全く見つけられない。ネットの海で、この記事以外に何のかけらもヒットしない

大学教授ともあろう人が、そんな事ある?

※余談:Google検索では10年以上前の古い記事やサイトが除外されるため、
 ググっても見つからない=実在しないという証明にはならない

英語名での海外記事の検索なども試みたが、この名前の教授・講師は見つける事ができなかった。

また、この記事の筆者は「新宿コンフィデンシャル」というペンネームの人だが、この記事1本以外に著書は無く

素性も判らないペンネームの人の記事実在するかも判らないメッカウイ教授という人物、という2点を見ると、この記事の信憑性は非常に疑わしいと言わざるを得ない。 だって、出典が何も無いんだもん。
このような記事がまかり通るようでは、世も末である。

尚、2018年ツイッタで同様の試みをしている人が居た。

この学士検索のページでも、
②のアーデル・アミン・サーレ氏、
③のアリ・メッカウイ氏、
どちらもヒットしない…
(現役じゃないからヒットしないのか?わからない…)

④文春『女帝』における告発

2020年5月29日発行の文春『女帝 小池百合子』(石井 妙子 著)における告発がこの事件の発端と言えるのではないかと思う。
残念ながらわたしは、この本までは読んでいない。
幸いなことに、この本の内容を補足する動画が文春のyoutubeに公開されているので、わたしはそちらを拝見した。この④項は
⑦2023年11月8日、文春youtube動画で、同居人の告発動画を公開
へ続きます。

⑤⑥「カイロ大学声明」について

ここでは、⑤の声明文と⑥の大使館の翻訳文について記す。
2020年5月29日発行の文春『女帝』による告発を受け、
在日本エジプト大使館がフェイスブックで声明文を公開
これが通称「カイロ大学声明」と呼ばれるもので、
20年当時、かなり物議を醸したようだ。

Mohammed Othman Al-Khasht博士の事務所が発行した声明です。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1103403096719497&id=520203215039491&__xts__[0]=68.ARBU_4HMLvsKwhHQAytI1d4f73gDEP1rrr_yQnxEcXOdA4curhdynNizmcaMaJmDQfHyfx2ZkgtjX9u4TfRD18Q1YJcCVdbRVDB-ymRqcg8qeTHToN9bEqC94LcMQg84ipFff23GSY06Xqc61ZojOfm5Lc-HV99WDMhD0FZy4BgsHlF2OMitI2Z4sSTB7yzGvusLtxUhvh9j9KU8BIkNnghiwbe5ImXfby6t35R50UTPoqniPmP3l76edhz5rXibygxmBcnRrA9fDXk-RGxzMbJDL-5EKpzc94WOkb__n8jJK8gaQPPa-7DeP3AzuqjSf6UshkJCfmJaxQpLFtpJYE3Hvw

⑤の声明文を発行した、カイロ大学の
Mohammed Othman Al-Khasht(モハメド・オスマン・エルホシュト)
について調べると、この方は間違いなく実在し、カイロ大学の学長として掲載されている。( https://nauss.edu.sa/en-us/about-nauss/Pages/supreme-council/prof-muhammad-alkhasht.aspx )
カイロ大学の学長の署名がある声明文は、本物だろうとわたしは思う。
(大使館が勝手に名前を使っていたら国際問題だ)

不審な点は、上記2つの文書が大学からではなく大使館から発行されたという謎。
更に、大学側から(何の証拠も出さず卒業生だと)声明"だけ" 出すのは不自然という指摘がある。
たしかに、カイロ大学から卒業証書や成績表は公開しないのはなぜ?
というのは、率直にして大きな疑問点。
カイロ大学から直接メディアにエビデンスが提示されたら終わる話だと思うのは私だけか?

②の山田氏の取材の中で、カイロ大学には入試がない(無かった)とあり、
さらに、小池氏いわく卒論(卒業論文)の制度は今も昔も無いとのことなので、アウトプットを提示するのは難しいのだろう、とは思う。
卒論やレポート、入試の試験結果が無いとしても、
成績表とか卒業アルバムとか、何か無いのかな??

更に、⑤の声明文について、次の指摘もある。
声明文に書いてある卒業科目が小池知事の公言する科目と異なる」というもの。この指摘をしているのは「選挙ドットコム」という怪しげな聞いたこともないメディアの記事(笑)

しかしながら、その指摘内容は興味深く、
声明文では、卒業科目が教養学部/芸術学部「Faculty of Arts」になっていて
卒業証書にある文学部-社会学科「Faculty of Literature」ではないのがおかしいという指摘。

「Faculty of Arts」も文学部と訳されることはあるので、単なる翻訳のニュアンスのちがいだけかもしれないが、これは興味深い。
ちなみに、この指摘をしている桂秀光という人の演説動画を聞いてみましたが言ってる事は別におかしくない(アタオカではない)ように見えます。

なお、24年4月時点のカイロ大学には、28の学科があると見えますが
文学部(Faculty of Literature)は無い。※
※今は無いだけで、昔はあったかもしれない。
 wikipediaも見たが、過去存在していた学科までは調査できなかった。


⑦当時の同居人の告発内容

④の告発本に続くもので、2023年11月10日にyoutubeに公開された動画。
在学中の小池氏と同居していた方が、実名での告発をしている。

わたしは、これがなかなかのクリティカルだと感じました。

というのも小池氏が中退してその後JAL(日本航空)に現地採用されたという証言。 更に、それを裏付ける決定的な証拠が読売新聞に残っています
1976年8月の読売新聞に、小池氏が日本航空(JAL)のカイロ駐在員として新聞の取材に答えた記録が載っています。

冒頭の、卒業証書の話に戻ると、
卒業証書・証明書では「1976年10月に修了」とある。
つまり、76年の9月までは、まだ在学中・学生の身分であるからして
大学を卒業する前なのに、すでに就職しているという事になり
これは一見、矛盾しています。

※ 日本航空カイロ支店での職歴が、正社員なのかアルバイトのようなものだったのかの真偽は不明。当時の読売新聞が勝手に「駐在員」とつけた可能性も、もちろんある。
仮にアルバイトであったなら、在学中にJALでバイトをしながら10月に卒業したということになり、これならば矛盾はありませんが、わたしは色々と疑問に思う所があります。

読売新聞としても、76年の記事の内容を今更事実確認もできないはずで、
これまた真相は闇の中。

⑧小島敏郎氏の告発 [New]

20年の告発本の出版に続き、文春砲二発目。
 ちなみにこの文春砲は今年の7月にある都知事選を見据えた攻撃だという説が有力です。この動画では、
「知事選を控えた20年6月6日に小池氏から相談を受けた」
「(20年5月に発行された告発本の件で)小池氏が困っている」
「カイロ大学から声明などを貰ったらどうか?というコメントをした」
「6月9日に"カイロ大学声明"が突如出て驚く。自分の発言が繋がったと思う」
「その後、知人Aに会った時に"あの声明文は私が書いた”と言われた」
このような概要。
「Aさんという人が、声明文を捏造した事実を認めた」 という伝聞であり
エビデンスは無い。文春砲は突き詰めるとエビデンスが無い事が多いのは周知の事実なので、この真偽は微妙なところ。
しかし、小島敏郎氏が顔出しもして証言しているというのは強い。

小島氏からエビデンスの提示は無いのが惜しいが、
これが嘘だったら、今度は小島敏郎氏がピンチですよ。
それを考えると、小島氏は事実を話してるとわたしには思えます。


⑨Wikipediaの「カイロ大学」ページについて

英語版のページには、小池知事が「著名な出身者」として掲載されている。

Yuriko Koike, former Japanese Minister of Defense and first female governor of Tokyo

https://en.wikipedia.org/wiki/Cairo_University

小池氏の名前が追加されたのは2016年8月1日、「IcknieldRidgeway」というユーザーにより追加されたという記録が残っている。

上記のページを編集した「IcknieldRidgeway」というユーザーは
イギリスの生物学者ということで、小池氏とは何ら関係のない人物のようだ
意図的な工作の可能性は低いとわたしは思う
しかし、残念ながら、出典の記述は無い
ウィキペディアン的には、出典の無い文章は無効である。

[補足]カイロ大学卒業前後の氏の動向

1971年3月:甲南女子高校を卒業(自伝より)
   4月:関西学院大学 社会学部に入学(自伝より)
      →関西学院は9月までに中退か?(情報無し)
   9月:単身エジプトに渡航(自伝より)
1972年10月:カイロ大学に入学(自伝より)
1973年:1年生で一度落第。進級を逃す(自伝より)
1974年:大学の先輩日本人と結婚
    ここから1年半ほど同棲が続く(自伝・インタビューより)
1976年8月: 日本航空カイロ支店の駐在員として取材に答える(読売新聞)
      →いつ就職したのか?正社員かバイトか?情報無し
   10月:カイロ大学を卒業(卒業証書より)

まとめ

①公表されている大学の卒業証書・証明書は偽物と断定はできない。
 本物の可能性もある。両文書には「1976年10月に修了(卒業)」とある
②週刊ポストの現地取材により、卒業の記録を確認したという記事。
 現地取材を慣行したジャーナリスト・山田敏弘氏が
 日本語学科のアーデル教授に確認を取った。
 アーデル教授は "たぶん" 実在し、日本語学科にも在籍していた。
 (しかし、山田氏からエビデンスの提示は無い
③プレジデント「卒業は本当」の記事については何の出典も無く、
 信ぴょう性は低い。デマの可能性が濃い
 「新宿コンフィデンシャル」という人物はこの記事1つしか書いてない。
 素性も不明。
 記事に登場する「アリ・メッカウイ」という人物は実在するか不明。
④および⑦の同居人の告発について
 告発の証言と、1976年の8月に発行されていた読売新聞の記事は合致。
 そこでは、76年8月時点でJALの駐在員として取材を受けている小池氏
 まだ大学を卒業していない8月時点で、就職しているのはあり得ない。
 卒業証書の内容と矛盾する。 
⑤⑥「カイロ大学声明」について
 声明文を発行したモハメド・オスマン学長は
 カイロ大学のページにも掲載されている、正式な学長
 署名された声明文は本物(のはず) もし勝手に名前を使ってたら国際問題。
 しかし、声明文が大学側(広報など)からではなく
 なぜ大使館から発行されたのかは不審である。
 また、声明文に記された学科と、卒業証書の学科が合っていない事実。
 (翻訳のニュアンスによるズレの可能性はある)
⑧小島氏が⑤⑥の「カイロ大学声明」に関して告発。
 「"声明文は私が書いた”という知人が居る」ことを証言。
 「カイロ大学声明」は捏造無いし、後出しで作られたものという告発。
 (しかし、小島氏からエビデンスの提示は無い。)
⑨Wikipediaの「カイロ大学」ページに著名な出身者として
 小池氏の名前が有るが、出典は無いので無効

さいごに:わたしの見解

「卒業証書」や「カイロ大学声明」の真偽についてはさておき、
クリティカルなのは、1976年の10月に卒業したという内容と、
その前の8月に就職していた、という矛盾の部分。

76年の在学中にJALでバイトをしながら10月に卒業したという可能性も考えられますので、完全に黒とは言い難いものの、76年の時系列に関する指摘は他にもあり(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58847?page=4)
小池氏は、これを覆す証拠を出せていない。

個人的には、カイロ大学の動きが歯がゆい。
カイロ大学の広報とかが、一発エビデンスを提示すればそれで終わりのはずなのに、それがなぜか出ない

卒業証書・成績表・アルバムなど何かしら出せばいいのに、
それらのエビデンスが何年経っても全く出てこないので、
学歴詐称ではないか?という憶測が飛び交うのは無理もない。

いろいろ調べた結果、怪しい・不自然な点も多いので
学歴詐称(および各種の捏造)は十分あると思います。

エジプトの大学の卒業証明書って、再発行できないのかな?
日本の学校は、高校も大学も、どこも(有料だけど)出来る。
それをすれば解決でしょ?って思うんですが、
昔すぎて出来ないとか?
エジプトはそういうシステムが無いとか?
卒業の事実を確認するのって、そんなに難しいことなんだろうか?

火のない所に煙が立つご時世、情報の真偽を見極めるのは本当に難しい。
(終わり)


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