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家族の絆と経済的な安定


離婚した家族への支払い妥当な金額は?


離婚をしたとは言え、二人の娘が社会人になってからも前の家族の生活費を支払っているという話は、驚かれることも多いですが、あんまり好意的には受け取られません。
理由は、離婚をしたら他人であるから関係がないというものや前の奥さんの自立を阻害しているというものです。
特に色んな場所で話しているわけではありませんが、「そんなことをするなら、離婚する必要がない」と笑われることもあります。
この点は、男女の問題なので私の事情を語る必要もないと思いますが、私は私の意思で前の家族が住んでいる住宅のローンの支払いを続け、毎月普通に生活ができるくらいの金額は振り込んでいます。
時々、誤解されるのが、それは私に生活費を支払える経済力があるからだという話です。確かに、今は少し稼ぎが増えたかもしれませんが、独立して以降、数年前までは常にお金に困っていました。
売上がほとんどなかったので、金融機関からの借金(融資という名目です)をして賄いました。零細の個人事業ですから、銀行は相手にしてくれません。しかしながら、零細企業のお助け制度があって、政策金融公庫さんや保証協会さんからはお金を借りることができます。特に創業期は手厚く支援をしていただくことができます。とは言え、本質的に資金が掛からないのでコンサルタントになったわけですから、大きな金額を貸してもらうことができません。結果、商工会議所や税理士さんを通じて、複数回の融資を受けました。総額で1500万円になりましたが、ほとんどは家族への仕送りに消えました。
今から考えれば相当な綱渡りだったと思うのですが、そのうちに何とかなるだろうと楽観的に考えている自分もいました。結果は、家族に仕送りをしつつ、返済を滞らせずに完済をすることができました(7年かかりました)


昭和時代の夫婦の構造的な問題


なぜ、このようなことを続けているのかという理由は、夫婦の構造的な問題です。
私の両親の世代は、父親が働いてお金を稼ぎ、母親は専業主婦として家事全般をするというのが一般的でした。私の家は母親も正社員として仕事をしていたので、当時としては珍しい家庭でした。
私の世代でも、夫が働き、妻は家事をするという名残があり、奥さんだった人は仕事をしていませんでした。家計の苦しい時期には内職やパートに出ていましたが、生活ができるレベルの稼ぎが得られるわけではありません。
離婚当時は、娘が私立に通う高校生で、その後に大学進学を希望していました。
パート収入しかない母親が二人の娘を私立大学に行かせることは不可能でしょう(と私は考えたのです)。だから、できる限りの支援をしたのです。
では、社会人になっても何故に生活の面倒を見ているのか?という話になるかもしれませんが、理由は同じで生活ができない(だろう)からです。
もちろん、シングルマザーで子どもを立派に育てている人もいることは知っています。しかし、相対的な貧困率を考えた時に、できる限りの支援をするというのはおかしなことではないと思います。


家族の絆と経済的な安定性


家族といえば、絆などの心の分野に重きを置きがちです。それと同じくらい経済力も重要だと思うのです。実際のところ、離婚をして娘が希望していた進学をあきらめるような事態になれば、私は父親としての存在意義どころか、立場すらも喪失してしまうでしょう。
しかし、結局のところ、離婚後も生活の面倒を見るということしかできていない私は、父親としての責任を果たせていないと思っています。
子どもが大人にする過程で、親の影響というのは絶大です。大人になっても子どもが自立をできていないとしたら、子どもの成長過程で私が教えていなかったことがあるということです。
社会人になった娘に教育をするというのはおかしな話に聞こえるかもしれません。本音は、私自身が自分の父親としての存在意義を確立したいというエゴなのかもしれません。
しかし、お金に困っている姿ばかり見せてきたので、二人の娘は倹約家ですし、結婚をした後も共働きをすることを決めているようです。人生におけるリスクヘッジは、私たち親よりもしっかりとできています。そんな意味では、まさに私は反面教師です。
これも何がしかの教育なのかもしれませんが、悪い見本を見せているだけで、よい手本になっているとは言えません。
父親がいい手本になる必要はないのかもしれませんが、最低限でも自立した姿を見せる責任はあると思うのです。ですから、次女が精神に不調をきたして困っているというのは、経済的なこと以外に私が親としての存在意義を確立できるチャンスだと思うのです。
たぶん、あのまま家にいたら、私は娘に自立をして生きること手本となることもできず、極々普通の親で終わっていたでしょう。
ほとんどの家庭のように、大きな問題が起こらずに済めばいいですが、娘が心を病むようなことがあれば、的外れなアドバイスをしていたと思います。
さらに、経済的な支援もしなければ、父親面をしても、私は父親として認めてもらえなかったでしょう。そのことはわかっていたのだと思います。
私のように離婚をして、母親がお子さんを育てている方は、できる限りの支援をしていただきたいと思います。世の中、お金だけではないことはわかっていますが、お金がないことでできないことがたくさんあることも事実ですから。
あくまで私個人の考え方ですが、子どもとの絆は経済的な安定の先にあると思います。


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