つまり同人活動は乙女ゲーです

 腐女子がジャンル移動について語るときの言葉は彼氏と別れる別れないという話と酷似している。全てがそうであるというつもりはない。でもだいたいそうだ。というわけで非オタクとの隠れ腐女子飲み会において今彼の話をどうしてもしなくてはならなくなった時などにご活用ください。

 ところでわたしは人生相談が趣味で、おおよそ二十年近い日々を人生相談に費やし、費やしすぎてあわや自分の人生が燃えるところまで行ったのは一度や二度ではない。インターネットでの軽いやり取りをのぞき、相談の相手は女性相手に限られているのだが(男性相手に行うと、非常に前提として申し訳ないとは思うが性暴力事件に発展しないとは言いきれないからである、女性相手でその手のこじれた感情が発生しないとは言っていないが、少なくとも今のところ暴力事件には発展していない)、そこで扱われる人生相談は二割で仕事、二割で家族、あとの六割は恋愛である。割合は適当に出したがだいたいそんなところだ。

 そして今のところレズビアンの恋愛相談には乗っていない(もしあればいつでも乗ります)。

 つまりわたしは男女関係における女性視点の恋愛相談をえんえんと受けてきたわけなのだけれども、だからそこに話を絞りますが、これがもう本当に、


 ジャンルに対する腐女子の感情と完全に合致している。


 まあ人によるとは思う。思うけれどめっちゃ似ている。

 まずジャンル(定義は人によるとは思いますが、作品や人物及びその二次創作、それにまつわる人間関係あたりを全体的に一括してジャンルと呼ぶという認識で話を進めます)に入ったとき腐女子は「すごい、めっちゃ萌える、運命の出会いだと思う」とか言う。新しい彼氏ができた子も言う。あと「そんなに興味なかったんだけど意外と良かったししばらくいようかなと思う」とかも言う。新しい彼氏ができた子も言う。「そんなつもりなかったんだよ事故だよ」も言う。新しい彼氏ができた子も言う。

 そしてジャンルで楽しくやっていくうちに「あーもうずっとここにいたい」とか言う。彼氏としばらくうまくいってこれはいけるでと思った子も言う。「運命かも、最後のジャンルかも」とかも言う。彼氏としばらくうまくいって(略)。「いつか飽きる日が来るの怖い」とかも言う。彼氏としばらく(略)。

 そして人間関係とか作品展開とか自分の好きなキャラの扱いのひどさとか単純に仕事が忙しくなってきて趣味どころとかじゃなくなってきたとかに疲れてきたとき「でもずっと好きだったんだよ」って言う。そろそろ別れたい子もこれめっちゃ言う。

 そして腐女子は「ジャンル上がりたいんだけど次のジャンル見つかんなくて」という謎の言動を取る。いやわかります。萌えが切れるとつらいよね。でも無理して萌えんなよしばらく休んで登山とか編み物とかしようよって感じなんですけど、でも言う。そしてやっぱり「今彼と別れたいんだけど次が見つかるまでは付き合ってようかなって」、めっちゃ言う。

 それはそれとして新しいジャンルに閃光のごとく貫かれる瞬間が来て、「飽きたんじゃないの! 今でも好きなの! でも!」うんうんそうだねそのとおりだね、「嫌いになったわけじゃないの! でも好きな人ができたの!」

 というわけで恋愛と同人活動は似てるんですけど、ですけどね。

 たいていみんな商業作品(か芸能人)に萌えているわけで、それパッケージングされたきれいなショーなんですよね。

 つまり同人活動は乙女ゲーです。

「俺って面白いだけだと思った? でも君が嫌がるようなことはできるかぎりしないようにしてる。媚びてるつもりはないけど、君のことはちゃんと見てるよ。でも勘違いしないで欲しいな、別に絶対君じゃないといけないってわけじゃないんだ。ほら俺って金も持ってるし頭もいいし実は時々優しいところもあるし、そのくせ君にそれなりにひどいこともしてる。言いたいこといろいろあるんだろ? ここは直してほしいって思ってる、知ってるよ? まあ……でも俺についてきなよ、残念ながら安心はさせてあげられないけど、そのかわり、誰も見たことがないような世界を君に見せてあげられるよ、それは俺にしかできないことだって、君も、知ってるはずだろ……二期、視野に入れてるよ」

 何の話とは言いませんが良い彼氏に恵まれて幸福です。

ここから先は

16字

¥ 200

気に入っていただけたらサポートいただけるとうれしいです。