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詐欺からあなたのお金を守る9

あなたのお金を守るゴールキーパー


詐欺の手口を知ることが、あなたのお金を守ります


第9話 「みんなのたまご倶楽部」詐欺事件


<「みんなのたまご倶楽部」と称し、毎月卵を買えば報酬が得られるとうたっていた“ねずみ講”が摘発された。
 警視庁によると、ねずみ講の摘発は約10年ぶりだという>



 こんなニュースが先日、報道されました。
「みんなのたまご倶楽部」という名称、なんか可愛い、ファミリー的な名前です。でも、やり口はえぐくて卑怯な組織でした。
 
「ねずみ講」って?なんだ?と思われた人もいるかもしれません。
年配の人はわかりますが、若い人は「?」でしょう。

 はっきりいって、これは詐欺の手法です。「ネットワークビジネス」と言い換えた方が若い方にはわかりやすいかもしれません。
法律で禁じらている違法の手口です。
 その手口は 儲かる、配当金がはいる、とか、謳って、会員を募るやり方です。
 一人が複数の会員をあつめると、そのあつめたひとの数だけ、お金が入ってくるやり方です。つまり、会員を5人増やすと、増やした分の5人分のお金が入って来て、さらに自分が入れた会員がまた別の会員を増やすと、その会員の分のお金の一部が、さらにまたはいってくるという、どんどん儲かる、とても「おいしく」感じられるシステムです。
 でも、会員は無限にふえるわけではないので、最初の会員はもうかりますが、末端の会員に行くほど、もうからなくなり、むしろ大多数が損をする仕組みです。
 まるでたくさんの子供を産むことで知られる、”ねずみ“のようだと、「ねずみ算」から「ねずみ講」と呼ばれています。

 こんかいの「みんなのたまご倶楽部」G-PEXという会社はどんな手口だったのでしょう、

「みんなのたまご倶楽部」のパンフレットには、
【入会金1万円 月額1万3900円(定価150円の卵を月90個)】
と書かれています。

 逮捕された「みんなのたまご倶楽部」運営会社社長の峯岸正治容疑者(58)らは、月額1万3,900円を支払い、新規会員を紹介すると、毎月卵90個と、最大でおよそ160万円の配当を受け取れるという条件の話でしたが、でもそんな美味しい話はあるわけもなく、
 実際には、
およそ8割の人たちにはそもそも卵が送られていなかったそうです。
(当然、配当金もありません)

 年金暮らしの高齢者や母子家庭に対して、この制度は、持続化給付金みたいなものを毎月配ろうという組織、会社だと宣伝していました。
 困っている人を助ける組織といいながら、弱者を狙った卑劣なやりくちでした・。

 実在の卵会社や、商社の名前をあげて、さも、公的な支援を受けた仕組みのようによそおってだましていました。
 “ねずみ講”を営んだ無限連鎖講防止法違反の疑いで逮捕された、東京・港区の運営会社「G-PEX」社長の「峰岸妙光」こと峯岸正治容疑者(58)はどんな人物で、どんな方法で人を騙したのでしょうか。

 峯岸らは高齢者を集めてセミナーを開催し、そこで、年金などの不安をあおり、自らのペースに引きずり込み会員をふやしていました。
 
「おばあちゃんでも、おじいちゃんでも『できない』じゃないよ、ということです。」
「できる証明をして、たった2カ月で24万3750円取る」
「毎月(お金を)欲しいという人。欲しいよね。うち24万3750円配るんだけど、欲しいっていう人。(手をあげて)」
「その代わり、あるんだよね。1万3900円で卵を買わないと給料をもらえませんよ」

 まるで漫談家の「きみまろ」のように、喋りはうまく、中高年をおだてて、そしてデスって、人を落としてはもちあげる。
 巧みな話術で、集まった人たちに、
『入会金を払い、栄養価が高く、高級の卵を毎月購入すれば配当が得られる』とうたい、さらに『新しい会員を紹介すると追加の配当を得られる』と説明していました。

「あの世に1万円を持っていったって仕方がねぇだろう」
「60年も70年も生きていて、そんなことも知らないんですか」
 
 良い事ばかりを言うと、人は信じない、悪い事ばかりを言うと、人は聞いてくれない、この飴と鞭の方法はとても人の心をゆさぶるのに有効です。
心理学の基本的な手法でマインドコントロールにとてもよく使われるやり方です。

 以前に「詐欺師の正体」という回で紹介したように、詐欺師は頭がいいのです。

 この峯岸容疑者という男、雑誌のインタビューでは、かつてクラブやコンパニオンの派遣会社を経営していたとし、警視庁に出資金の詐欺事件で摘発された男に師事して手法を学んだと説明していました。
 自分を「金もうけの天才」と自負し、自分の交流サイト(SNS)では都心の一等地のタワーマンションに住んでいることを自慢していました。

 写真をみると、そのふくよかな人相と、すごい「福耳」に目が行きます。悪い手口でどれだけのお金をいままで集めたのでしょうか、


 
 記事によると、「2021年10月ごろから、毎月24万円が手に入るみたいな謳い文句で集客をしていて、全国およそ1万人から、合わせて数億円を集めた」とみられています。
 
 国民生活センターには、同じ時期から
たまごをめぐる相談が十数件寄せられていたそうです。
その内容は、「代金を振り込んだが、商品の卵が届かない」「商品が届かず返金してほしいが、電話がつながらない」などで、相談者の大半が中高年だということから、最初から詐欺目的だったわけです。

この文章をみてください

”タマゴ届きました みんなのたまご倶楽部とクロネコヤマトさんに感謝です たまご掛けごはん戴きました 箸で持てるかやりました 強度は在ると思います 味は濃厚で美味しく戴きました”


 
 
 これは「ツイッター」にのせられた、いんちきなツイッターの内容です。
あたかも「みんなのたまご倶楽部」が正当であるかのように、疑いを持つ人を牽制するために作られたものです。
 
ツイッターはある種「口コミ」です。人間が一番信用しがちなのが、この「口コミ」です。でもツイッターに書かれていることが、本当とは限りません。
 多くのウソがツイッターで拡散されたことは何度もあります。
自分だけが知っている美味しい話、早い者勝ちの美味しい話に、人はとても弱いのです。
 
 この男がそうであるように、他の詐欺師に手口をおしえてもらいました。
今回のこの詐欺会社、峰岸ひとりで運営していたわけではありません。
 捕まらなかったその子分、残党がまた数年後、ほとぼりがさめたころに、詐欺を働くかもしれません。
しっかり覚えておきましょう。

手口>
高齢者や母子家庭など情報弱者を狙った
「たまご」という庶民的なイメージを利用
公的な組織、仕組みだと誤解させる
ツイッターなどSNSを利用した


 
*「ねずみ講」
多産で知られるねずみの増え方に例えた和算の一つが“ねずみ算”です。
このねずみ算になぞらえた違法ビジネスのことを、「ねずみ講」と呼びます。
アメリカ生まれといわれるねずみ講は、1970年代に日本でも大きな被害を引き起こしました。
ネズミの数のように『無限連鎖講』とも呼ばれ、会員が無限に増えていくという特徴があり、最終的にはシステム自体が必ず崩壊します。

「ねずみ講」は、親会員が組織外の人を勧誘することで2人以上の会員を作り、その2人以上の会員がそれぞれまた2人以上の会員を作って、その会員がまた2人以上の会員を作って……というようなピラミッド構造で成り立っています。
 その取り分などは組織によって異なりますが、自分が会員にした人から受け取った会員費の一部は自分に、残りは自分より上の階層の会員に流れることになっており、親を頂点に上の会員であればあるほど儲かる仕組みです。しかし、人口に限りがあるように、無限に会員数が増え続けることは不可能で、必ずいつかは破綻し、大勢の子会員以下に大きな経済的損失を与えます。
 このことから、1979年に無限連鎖講防止法が施行され、ねずみ講は完全に禁止されています。
 ねずみ講を開設または運営した者には、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられます。
また、ねずみ講の勧誘を行っただけでも20万円以下の罰金が科されます。
 
※本記事の記載内容は、2021年11月現在の法令・情報等に基づいています。
税理士法人事務所記事より


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