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◎物語の説明とあらすじ
妻とはセックスレス、ここ数年は婚外恋愛の出会いもない40男、浦野けいすけ。2児のパパ。風俗以外でセックスできない「性の砂漠」に苦しむなか、昨今の自粛ストレスが加わり、「今までしたことのない経験がしたい」と、パパ活に手を染める。そんなアラフォー男の性と愛のサバイバル物語。
初体験の「パパ活アプリ」で次々に美女とマッチングした浦野は、最初の美女、杏奈さんとの「顔合わせ」に動き出す。

◆待ち合わせ当日

パパ活アプリで最初に「いいね！」を押してマッチングできた、女優の松岡茉優さん似の杏奈さん（24歳・会社員）と約束した月曜日がようやく来た。
昨日の夜から、そわそわしていて、とても仕事が手につかない。
取材や原稿締切、リーフの校正など、やることはたくさんあるのだが、半ば上の空で右から左である。

ひと仕事しては、アプリを開き、またひと仕事してはアプリを開く。
もちろん、移動中やトイレでもアプリを見る。
とてもよくない。

が、コロナ禍でずっと我慢してきたうっぷん晴らしの「祭」である。
少しの期間、こんな仕事の仕方、こんな生活でも許してほしい。

アプリを開くたびに杏奈さんの写真を見る。
大きく加工した印象は受けないが、本当にこんな美人に会えるのだろうか。
本当にこんな美人なら、よくマッチングできたと思う。

彼女には、1,000近くの「いいね！」があり、多数の中から選んでくれたということだろうか。同性のページは見ることができないため、登録している男性陣のレベルは分からない。
僕は、優良なほうなのだろうか──。

他の女性の場合も、「普段は会えないような美人、あるいは可愛くて驚くような若い子」という方針で選んでいるにもかかわらず、かなりのマッチング率である。４、５割はマッチングできている。

確かに、写真もプロフィールも、誠実できちんとしてそう、知的で品がありそう、小金はありそう、こんな感じの印象には仕立てたが……、ちょっと半信半疑である。
いくら「金を配る側」としても、これはちょっとモテすぎなきがするが、まあいいや。

しかし、今週から大変である。
水曜日にアプリを始めた僕は、すでに５人以上とのアポイントが確定していて、今週は明後日と金曜日、来週は月曜日、火曜日の夜に、「顔合わせ」することになっていた。
待ち合せ時間は大抵、夜7時とかなので、仕事を早く終わらせなければならない。

◆いざ、待ち合わせの新宿三丁目へ

ようやく、夜6時半になった。仕事は中途半端だが、終わったふりをして、ささっと会社を出る。新宿三丁目まで30分くらい。ちょっと早めに行って、身支度やお店のチェックを終えなければならない。

さあ、いよいよ、夜7時20分。僕は、待ち合わせ場所の、新宿三丁目駅C3出口のルノアール前に立つ。ここなら通路から少し入ったところだし、目だたない。そして、地上までエレベーターが使えるのが利点である。店も出てすぐだ。

アプリを開いて、「着きました」と入力。
服装の情報は、すでに電車内で送り済みである。
彼女は「グレーのニット、カーキのロングスカート、黒いレザーのトートバック」とのことだった。

「どの人かな、どの人かな」

通路を行き交う人を目視する。

「あ、あの人だといいな！　あ、違った。あ！　服装違うけど、あの美人だったらいいな……」

完全に、犯罪者か公安警察のような観察ぶりである。

時間は、７時半を少し回った。
「あれ、来ないな……。まだかな……」
少し不安になってきた。まさか、来ないとか ── 。
まあ、そういうことも、あるだろうな。
実は、どこかで動画撮られて、YouTubeでliveされていたりして。

そんなことを考えていた瞬間、背後から声がした。
「あ、あの～、けいすけさんですか？」
「はっ」と振り向く、僕。
いらっしゃい、松岡茉優！！！　生まれて初めて会うパパ活女子！！

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん？

えーと、少なくとも、松岡茉優ではない。似ている人がすぐに思いつかないが、強いて言えばお笑いコンビ「パーパー」の、あいなぷぅを少し美人にした感じである。
（あいなぷぅさんも十分かわいいです。ファンの方すみません！）
そして、なんか、全くキラキラしていない。
総じて、微妙である。

不思議なのは、どのように写真を撮ったら、あいなぷぅが松岡茉優になるのだろうか。

いや、写真は確かに本人に間違いないのだが、本人認証が通る感じで別人になるという自撮り＆加工技術というのが、僕の想像の範囲を超えていた。

確かに、最近の加工アプリはすごくて、また若い女性の自撮りの腕はプロ級とは、聞いてはいたのだが……。
しかし、その技術、いるか？笑笑

（あいなぷぅさん、そのお笑いと仕事に対する全力で後ろ向きの姿勢が好きです。ファンの方すみません！　それとお写真借用してすみません）