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USO7(ウソセブン)


我が職場には、1つの大きな問題がある。
H副編集長の「知ったかぶりひどすぎ」問題である。


◆驚異の知ったか野郎


彼の風貌は、生瀬勝久さんを思い浮かべてほしい。金融論の専門家で、非常に博識である。いつも努力を惜しまない。

ついでに言えば、上役へのヨイショと部下へのマウントも惜しまない。とても優秀で性格も悪くないのだが、人格がゲス。

そんな人である。


彼は、プライドが高すぎるがゆえに、「知らないことを知らない」と言えない。だから、会議の席で、誰かが目新しい提案をしても、「僕も前からそう思ってた」「僕も前に同じようなことを言った」などと、呼吸するように言いやがる。

本当か、お前!(-_-#

今までそんな発言、聞いた事ねえぞ!ヾ(`д´)ノ


と、我々ベテラン組が思っても、なすすべがない。


せっかく、若い人が頑張って集めてきた新情報でも、「前から知ったけど」という態度である。特に上役がいるときなどはそうだ。

このままでは若手がやる気を失ってしまう……。

素直に誉めようぜ!

知ったか、最悪!🤬🤬🤬

部署のみんなが腹を立てていた。


◆ハンス・マクマホン


どうにかして、彼を止める手段はないか──。
我々、中堅・ベテランが話し合ったが、いい案は浮かばない。

そんなある時、彼と私を含む数人のメンバーが、ある事件について話し合う機会があった。直接の仕事ではなく、雑談である。

そこでも、彼は専門外にもかかわらず、「何でも知ってる」風の態度で持論を展開した。

「この事件は俺の専門なんだけど」と、むかっ腹がたった僕は、いら立ちに任せて「そうですよね、おっしゃる通り。ハンス・マクマホンの著書にもありますしね」と言ったのである。


ハンス・マクマホン……。

そんなやつは、いない。


つまり、口から出まかせで、その分野なら知って当然の研究者であるかのごとく言ったのだ。

すると、彼は驚くことに、

「ああ、マクマホンね」


と、さらりと言い切ったのである😨


お前、本当にすげえな。

「ああ、マクマホンね」じゃねえよ!

誰だよ、ハンス・マクマホンってよw


◆USO7結成


この件をきっかけに、7人の中堅・ベテランにより、ある「特別チーム」が結成された。名づけて、USO7(ウソセブン)

あ、間違えた、これじゃなかった。
こっちです。一番後ろでヘッドホン付けてタブレットを持っているのが僕です。


夜のもつ焼き屋での打ち合わせでの

「あれだったら、どんなでたらめ言っても『だよね』とか言うんじゃね?」

「ギリ、攻めてみようぜ!」

がキックオフである。

以降、我々は仕事に支障をきたさない範囲で、定期的に彼に攻撃を試みた。


■攻撃その1

「Hさん、さっき回覧された文書のこの部分、誤訳ですよね。カンマの意味を取り違えてます。本来なら〇〇と訳されるべきだと思うんですが」

「そうだよね。僕もそうだと思ってたよ。カンマ、難しいよね」


これはスノーデンみたいな風貌をした30代独身男子、Мくんの攻撃である。彼は、元々ロンドンの経済メディアにいたため、彼の英語力は抜群である。

ふだんはおとなしいのだが、今回はなかなかの強気。後で聞いたら、回覧文書の日本語訳、めっちゃ適切らしい (≧∀≦)

 

「カンマ、難しいよね」って、何だよww


うけけけけ。


■攻撃その2

その後も、さりげなく攻撃は続く。

「そのデータは、サンディエゴ王立研究所のものですから、信用できると思います」

「ああ、それなら大丈夫だね」

すげー、姐さん、「それなら大丈夫だね」、引き出しました!


なんだよ、サンディエゴ王立研究所ってwww


アメリカ、王様、いねーしw!!!


彼女は、通称、姐さん。50代の株式の専門家で、沢口靖子さんのようなおちゃめな美人。うちの部署の若い女性のメンターである。


■終局


こんなそんなで、1か月ほど、副編集長をいじり倒していたのだが、我々には誤算があった。

我々は「出口戦略」をもっていなかったのである。


とうとう破綻の時が来た。

ある日、我々の話をガチで信じた副編集長が、それを企画書に盛り込んで提出してしまい、編集長に大目玉をくらったのである。


編集長は、升毅さんに似た温厚な人だが、この時は激怒していた。

やべえ。


この嘘を仕込んだのはМくんである。

М君、いくらなんでも国際通貨基金(IMF)の報告書の偽造はやりすぎだぞ……。普段、おとなしいけど、相当にたまってたのね……。


この件は、みんなのごまかしで、巧妙なフェイク文書をМくんが信じてしまったということでなんとかなった。その後、USO7が解散したのは、言うまでもない。

誤報を出さなくてよかった……。


話はこれで終わらない。その1か月後のことである。

H副編集長に呼ばれて本棚裏に行くと、「午後の人事発表にウラノ君の名前があるから」と言うではないか。

左遷か、部署異動か、まさかの昇進か?😳

などと考え、数時間は落ち着かなかった。


午後1時、人事動静と書かれたメールを開くと、私の名前はない。

さっと振り向くと、Hさんは素知らぬ顔でいる。

え? どっち??(@_@)

(勘違い?? それとも仕返し??)




こんな職場で日々を過ごしております。


え? ちゃんと仕事はしておりますよ。



ネットで検索したら「ネット乞食」という言葉に出くわしました。酷いこと言う人、いるなー。でも、歴史とたどれば、あらゆる「芸」は元々「乞食」と同根でした。サーカス、演芸、文芸、画芸しかりです。つまり、クリエイトとは……、あ、字数が! 皆様のお心付け……ください(笑) 活動のさらなる飛