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新型コロナによる合併症~心筋炎~


 新型コロナ感染症は肺だけでなく、全身の臓器に炎症を及ぼします
 特に心臓に炎症がおこった心筋炎は、致命的な経過をとりうる合併症です

 心筋炎の原因は新型コロナだけではありません
 新型コロナ以外のウイルス、薬剤、そしてワクチンも心筋炎の原因となり得ます
 新型コロナの発症・重症化予防で接種されているmRNAワクチン接種後にも心筋炎がみられます

 今回北欧4カ国でワクチン関連、新型コロナ関連、またはそれ以外の原因で心筋炎となり入院された7297人を対象とした研究をご紹介します

対象:
 2018年から2022年の期間中に北欧4カ国で心筋炎が原因で入院となった12歳以上の7292人
 心筋炎の原因でmRNAワクチン関連、新型コロナウイルス感染症関連、その他の3つに分類
 mRNAワクチンも接種し新型コロナに感染した場合は心筋炎と診断直前におこった原因に分類
アウトカム:
 心筋炎による90日以内の心不全または全死亡
 心筋炎による90日以内の再診率

 結果は
 7292人中530人(7.3%)がmRNAワクチン関連、109人(1.5%)が新型コロナ感染関連、6653人(91.2%)がその他の原因に分類されました

 その他の原因でおこった心筋炎と比べて、90日以内の再診リスクは
 mRNAワクチン関連が0.79(95%CI: 0.62-1.00)
 新型コロナ感染関連が0.55(0.30-1.04)でした

 その他の原因でおこった心筋炎と比べて、90日以内の心不全発症リスクは
 mRNAワクチン関連が0.56(0.37-0.85)
 新型コロナ感染関連が1.48(0.86-2.54)でした

 その他の原因でおこった心筋炎と比べて、90日以内の死亡リスクは
 mRNAワクチン関連が0.48(0.21-1.09)
 新型コロナ感染関連が2.35(1.06-5.19)でした

 基礎疾患のない12-39歳に限り検討したところ
 新型コロナ感染に関連した心筋炎は、mRNAワクチンに関連した心筋炎と比べて
 90日以内の心不全や全死亡リスクが5.78倍(1.84-18.20)
 と顕著に高い結果でした

 mRNAワクチン接種に関連した心筋炎では
 新型コロナ感染に関連した心筋炎やその他の心筋炎と比べて
 若者が多いといった研究上の限界はあります

 研究上の限界はあるものの新型コロナ感染症に関連した心筋炎は
 mRNAワクチンや他の原因による心筋炎と比べて
 90日以内の心不全または死亡リスクが高いと考えられます

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