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祖母の"ものがたり"を聴くーーきっかけ

ICレコーダーを買った。必需品のキッチンシンクの菊われとかマスクとかと一緒に。
ICレコーダーを使って何をするかというと、これから先しばらく、実家に帰る度に祖母の話を聴いて、それを録音することに決めたのだ。そして、聴いた内容を文字に起こしてここに書いていく。

話を聴こうと最初に思い立ったのは、実はずいぶん前のことになる。私が高校生の頃、関西圏で開催される同窓会に祖母(東京在住)がどうしても行きたいということで、娘である母が同行した際、同窓生たちの話がとても面白かったそうで、そういう話を聴いて書いてみたら? という提案をされた。もともと祖母から昔の話を聴く機会は多く、なかなか面白いとは思っていた。

きっかけとなる出来事はほかにもいくつかあったのだけれど、勉強や仕事が忙しいだの、腱鞘炎で文字打ちができないだのと理由をつけてはこれまで先延ばしにしていた。

最近になって、母が“自分で書く私の履歴書“的な講座を見つけて祖母に勧めたのだが、書くのは疲れる、話すのにも相手がいない、ということで頓挫していた(母は、祖母の相手をすると言い合いになると言って早々に降板を申し出ている)。
そこへ、コロナの不安定さと、そうでなくても30歳になってこの先10年どう生きようかと悶々としている私は、祖母に指南を求めるでもなく(そんなことをしたら言い合いになって終わる)、純粋に気分転換としての”ものがたり”を聴きたくて、ついに実行に移すことにした。

ちなみに、この先書いていく内容は、話し手の祖母(そして私)の脚色や美化が確実に入っていると思っている。ただ私は、一人称で語られる話は脚色や美化も含めて、その人の“ものがたり”という考えでいる。
また、祖母はあちこちに話が飛ぶ(これは私も受け継いだと自覚している)。そのため、時系列はバラバラ、公開した内容に追記することも多々発生するんじゃないかと今から覚悟している。


さて、話を聴こうと決めたのはいいけれど、祖母に何をどう切り出せばいいかが分からない。ICレコーダーを持ち歩いて2泊3日したあげく、最終日になってようやく聞いてみた。「おばあちゃんの話を聴いたのをこのICレコーダーで録音したいんだけど、どう?」答えは「いいけど、今はだめ」。
やっぱりそうきたか――と思ったものの、何の収穫もなしに自分の家に帰ったら次がなくなる(私のモチベーションの問題)。ということで、昼食の後のおしゃべりのなかで、母とふたりでそれとなく水を向けると、あっという間に勢いよくしゃべるしゃべる――お腹いっぱいでうとうとしていたのが嘘のように2時間弱。

ちなみに、突如始まったもんだから、目の前にあったICレコーダーをポチっとするタイミングを逃し(録音に気づいたら嫌がって話を止めてしまう気がした)、携帯を見るふりをして録音アプリを起動する運びとなった。無念。

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