いつもの30倍かっこいい君

二日前に投稿した140字小説。僕のツイートの中で一番のいいねを獲得している(現在進行形)。

リプにも続けて書かせて頂いているのだが、これは関係性こそ違うが、8割5分ほど事実である。今回はこの小説の裏話を書きたくて久々にnoteを綴らせて頂いている。


僕は先日、久々に友人達と集まることが出来た。
僕より6つばかり年上の、だけれども、その集まりの中では比較的年が近い部類に入る僕の友人。
彼は時間をしっかりと守る部類の人でもあって、僕が少し早めについたその場所に僕よりも早く着いていた。

ドアを開けて、中に入った僕が一番最初に目にしたのは、その集まりのリーダー?である方と、今までの面影はあるものの、いつもの30倍はイケメンな僕の友人。

は?誰?
一瞬僕は固まった。彼が誰か認識出来なかったのだ。いつも下ろしている前髪を上げた、さっぱりとした髪型。凛々しい目つき。好青年だ。あまりにもイケメン、というか、顔が良すぎて。

とはいえ、1年半ほどの付き合いをしている身ではあるので、一瞬の間をおいて、彼が友人だと気づき、いつも通り挨拶をした。

続々と友人達が集まり、僕と彼の共通の友人(この人も憎たらしいこともイケメンなのだ。実に顔が良い。彼が好青年タイプなら、この友人は「ホスト」である。)が彼に「誰かと思った!めっちゃかっこいいね!」と笑った。僕も極めて同感だったので「かっこいいですよね!!」とはしゃいだ。

彼は照れくさそうに笑っていた。
ただ、美容室に行った後だから、いつもと違うだけなのだ、と笑うのだった。

ちょっとパーソナルな話をすると、彼はどちらかというと自分に対する自信を多くは持っていないタイプだ。謙虚な性格だし、ネガティブな言葉で言うと大分自己否定型の性格だ。
僕から見ると決してそうは見えないことも彼の目には悲観的に映っていることすらあって、それがどうにも勿体なく思ってしまう事すらある僕だ。


彼はずっと前から、初めて出会った時から、素敵な人だった。
僕が初対面で話したことを覚えていてくれて、わざわざ手紙?メモ?を書いてまで応答をくれたのだ。当時、もう二度と会う可能性がないとも思しき僕に対してそういう振る舞いをしてくださったことに心から恩を感じている。
僕等はいろいろな縁の結果、もう一度出会う事が出来たし、僕と彼はこうやって顔を合わせて話すことも出来ているが、これは運がいいか、神様とやらの大きな存在が仕組んだことだろう。当時の僕が聞いたらきっと驚いているはずだ。

彼は彼の存在を否定的に言う事がどうにも多く感じる。でも、彼が彼自身の事をそれほどまでに言うほど、彼が醜く、もしくは能無しや、配慮のない人間だと思ったことは僕の中では一度もない。


彼は「鉱石」のような人だ。
そもそもその存在そのものに価値があるし、磨けば高い価値のつく宝石になる。多くの人が彼の虜になるだろう。
長い年月をかけ、内側で加工を重ねて作り上げた煌めきが彼の中に確かにある。

僕は「鉱石」の彼とずっと向き合って来たつもりだ。
彼は鉱石と例えられるだけあって、少し頑ななところもある。少々小難しく、僕はたまに悩まされるのだ。

でも、この間の彼は「宝石」だった。
見た目を磨いた(意図的にではないにしろ)結果、彼は宝石になったのだ。
元々のスペックが既にとても高いのが見て分かった。
これ、普段からやっていたら、彼の虜になる人はとても多いだろう。おそらくこれは僕の友情による盲目ではなく、客観的な事実だ。

ただし、彼はこれを日常化はしないのだと思う。
彼は見た目に対してあまりこだわりがない、もしくはこだわりがあったとしても周りに合わせる事を優先するような人柄だからだ。

だからこそ、普段の「鉱石」の彼を知っている僕や仲間にとっては、彼が一等輝いて見えて、びっくりしたのだ。
彼は自覚していないと思うけれど、思うというか事実自覚ないと思うが、彼はものすごい輝きを纏っていたと思う。本当に。

あまりにも尊くて、素敵すぎるので、僕はもっと見ていたかったし、写真とか何かに残したいと思った程度だった。…もちろん、写真は撮ってない。撮っていいかなんて訊いたりもしていない。さすがに紳士かつ大人な彼に対して、そこまでの勇気と好奇心は出せなかった。

でも、彼に「30倍素敵だった!!」とはしゃいで伝えるくらいには僕も調子に乗っていたし、とてもわくわくして、心が盛り上がった。
彼のビジュアルの変化がそれぐらい強いインパクトであったのだ。


彼はこの春、生活に変化があり、僕等が今共に集っている土地から離れていく。しばらく彼に会うことはかなわない。
正直、僕はとても寂しい。
まあ、電話やメッセージのやりとりをすればいいと思うのだけど、あいにくそんなに僕はマメではないし、直接会って目を見て話す方が似合う僕等だ。

この話やこの思いを彼に伝えたいと思いつつ、さて伝える機会はあるだろうかと今は思う。伝えるのなら、何を持って僕は伝えるのだろうと思う。

それでも、僕はどうしてもこう言いたい。

あなたはとびっきり素敵な人で、僕はびっくりしたけど、何度でもそんな君の姿が見たいと思ったし、ますます君のことが好きになった。
君が君のことをどう考えているのかは僕には正直分からないし、僕には見えていない何かで君が悩んでいるのかもしれないとも思う。
でも、少なくとも、僕の目に君は尊い。本当に煌めいた「宝石」のような存在だ。
また再び顔を合わせる時にも他の誰でもない「あなた」であって欲しい。願わくば僕が大好きなあなたがあなた自身のことを少しでも好きになって、自信を持って、僕の隣でとびっきり素敵な自分でいたいと思ってくれたら、それ以上に幸せなことはないと思う。

絶対会いに行きます。
僕の行動力はそこそこなものなので、安心してください。(彼からしたら、絶対安心できない。)ついでに伝えたいと思うから言うと、あなたの行動力も大概のものだと僕は思っていて、尊敬しています。

あなたに、僕の大好きな友人、そして彼の未来、これからの時間に祝福あれ。

これを読んでくださったあなたに祝福あれ。


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