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深山さんのゆるみ日和 #3 家族

先日、実家へ帰った。

マスク着用も緩和され、コロナの心配も徐々に無くなりつつある今日この頃。
車で1時間ほどの距離に住んでいるとはいえ、県外在住の私。
ようやく気軽に実家へ帰れるようになったところなのだ。

両親も70歳を過ぎ、2人とも健在とはいえ健康そのもの!とは言えない状態。
色々と気にかかることもあるため、この半年は時間を作って様子を見に行っている。


父はまだ現役で仕事をしている。
心臓が悪いなど持病があるものの、建築屋として半世紀働いてきたプライドがあるのだろう。
家族総出で「引退しろ」と言っているが、一向に辞める気配はない。

母は、長年「自営業者」として働いてきた父を、日向に陰に…と支えてきた。
と、言えば聞こえが良いが…いわば「かかあ天下」な母である。
私の家は、この母によって維持されていると言っても過言ではない。

この両親のもとに生まれたのは、長女である私と弟、妹の3人。

2歳下の弟は、重度の知的障害を抱えている。
そして、10歳下の妹はいまだ独身で実家暮らし。


まぁ…そんな家族たちなのだが、最近私はあることに気が付いた。
「うちの家族は、仲が悪い。」

その思いを決定づけた出来事がある。

これもまた先日のこと…
弟をショートステイに預け、4人で遠出をする機会があった。

かれこれ数十年ぶりのことである。

祖父母が十年以上前に亡くなり、母の実家の面倒を見るために、両親と妹は定期的に往復4時間ほどの距離をドライブしているが、そのドライブに私も同行する用事があり、一緒に出掛けた。

その日の数日前、たまたま母と妹は些細なことで口論になったらしく。
妹は、いつまでも根に持って「母とは口をきかん!」とご立腹状態。

仕方なく、私がおしゃべり好きの母の相手を一手に引き受けることになった。

そして、運転する父は…超絶耳が遠い。
母がわぁわぁしゃべっていても、驚くほど何も聞こえていない。


そんな状態での長距離ドライブで、私の気持ちは相当憂鬱だったのだが…
いざ、昼食をとる場所を決める時になって「仲の悪い家族」の状態が露見した。

母と妹、そして父の意見がかみ合わず、全く場所が決まらないのだ。

私は…その日の昼食は「御馳走する」と言われていたので、口を出す権利はない(笑)

「うなぎ」をご馳走すると母が言うので、うなぎ屋さんを探すものの…
母が最初に指定していたうなぎ屋さんは、予定よりも金額が高かったことが分かり、母ためらう。
(おいおい、いくらでもいいからって言ってただろ…)

父は運転しながら、しきりに
「どこへ行くとか?」と連呼。
(そりゃあそうよね、運転手だもの…)

そして、妹に至っては
「せっかく食べるなら、少々高くても美味しいところがいいやろう」
と、のたまう。
(いや、お金のことも考えてあげよう…)

そうして延々と揉めながら、近辺をうろうろとして周り…
ようやくうなぎにありつけたのは、オーダーストップの15分前だったのだ。


空腹のピークをとっくに過ぎて、ようやく口にできた「うな重」は、とても美味しかった。
それが、空腹の果てだったから…かは定かではないが。

ミシュラン掲載店のうなぎを頬張りながら、私は思った。
「やっぱり、家の家族は仲が悪いんだな…」と。

そして…
結婚して子供を産み、自分が作り上げた現在の家族とは、できるだけ仲良く暮らしていこうと、改めて心に刻んだのだった。




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