チムニーと女の子　番外編**　　　　　　　ママンのピアノの音色

 2021/1/10 21:55   

  『 何を　想いながら　その　指は　跳ねるの？

       何を　浮かべながら..….？ 』

...

だって...

とても　こわい顔を　していたから...。

最初は...   こわい人なのかと　思った...の...。

声も低くて　ボソボソっと　してたし...

でも、ママンは　

お隣の　...   そう　　お隣のお家の  男の子のママンはね、

男の子が生まれる前の、　　　もっと　もっと　前、

ずっと　下を　向いて　ピアノを　弾いていたから... 

小さな頃から　いつも　いつも

白と黒の並びに　夢中で....。

あまり　外に出かけることもなく 

毎日　毎日、　

とてつもない　時間を　ピアノを弾く練習に......

費やし...

毎日、毎日、

ピアノに　向きあって

情熱と時間を　捧げて　

あんなに　心に響く音色　を....

心に　届く　音を　奏でるように　なったのね......。

（　怖いなんて　思って　ごめんなさい......。　）

心の中で　そっと　

（　ごめんなさい....  ）を　呟く　女の子がいました。

あの音は 

ママンの心の　透明度

曇りのない　純粋な　美しさ 

儚く 

せつない　　

雨音のような....

知らなかったわ。

男の子の前では　あんなに　柔らかい笑顔になるんだ....。

うふふっ

私が　怖がって　勝手に怯えていたから

それで、　なおさら　怖く感じたのかもしれないわ...

そうね　きっと...。

......

何か伝えたくても　    もう　　同じ世界にいないのなら......

もう、会えないのなら　心の中で　そっと　

( ごめんなさい ) って。

あんなに優しい　音を　

（ありがとう）って......。

時計の針が回って

時の　砂が　降り行きて....  

.... わかることって　あるものね。

（ 大丈夫だよ。それはきっと、会えなくても　伝わるからね。）

えっ、誰？　　声が聞こえたわ。

「　..….はい 。  」

（　そうね、思いは伝わるものね。

　　ごめんなさい...。そして、ほんとうにありがとう...... 。  ）

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※この物語はフィクションです。