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「娯楽」の域を超えて「文化」に

前回までは、私がスポーツライターとしてアメリカで取材を行った際に目にした、メジャーリーグにおける社会貢献活動の充実ぶりについて紹介してきました。

その時の経験をもとに、帰国後の2014年にNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)を設立したわけですが、今回からはその設立の経緯や活動内容についてご紹介させていただきます。

寄付贈呈式写真

BLFは、プロ野球選手たちのチャリティー活動のコーディネーションを行うほか、上記写真のようにプロ野球選手が一堂に会するチャリティーイベントを開催したり、野球にまつわる独自のチャリティープロジェクトを実施したりしています。

その内容については次回以降に改めてご紹介するとして、まず今回は、BLFに込めた思いや我々の掲げるミッションについてお話したいと思います。

私がメジャーリーグの社会貢献活動から得た学びは二つありました。

一つは、野球と直接関係のない、本当に困っている一般市民に支援が届いていること。もし世の中から野球がなくなってしまったら、球団や選手からサポートを受けている人々が困難な局面を迎えてしまうのではないか。そんなふうに思えてしまうほど、その支援は充実していました。

結果として、アメリカ国民にとって野球とは単なる「娯楽」ではなく、今後も永久的に守るべき「文化」として根付いていると感じたのです。

野球が文化として栄え、人々の「ニーズ」の域に達するまで成長するかどうかは、単に楽しみや精神的な励ましをファンに与えるだけでなく、どれだけ物理的に人々を救えているのかによるのだと思い知らされました。

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もう一つの学びは、とにかくチャリティー活動がアイデアに溢れていていること。参加者が楽しめる企画ばかりなのです。

日本では、社会貢献や慈善活動というと、どうしても肩に力が入り、真面目に深刻にやる傾向があります。真面目なのは日本人らしくていいことですが、スポーツの現場ならではの楽しさがもっとあってもいいはず。「楽しい」というプラス感情こそ大きな力を生み出すということに、アメリカで改めて気づかされました。

ですから、BLFで活動を進める際には、その二つの学びをどんどん取り入れていこう!と心に決めたのです。

いちばんのミッションは、野球という競技の振興を行うことではなく、野球の域を超えて「本当に困っている人」に、プロ野球の影響力・発信力をもって手を差し伸べること。

そのため、BLFのスローガンを「野球で、人を救おう」としました。

そのスローガンを達成するための”手段”として、BLFに関わるだけで楽しいチャリティーを体験できる仕組みを提供しています。

例えば、BLFのサポーターになった際、会員証の代わりに送られてくるのはプロ野球選手の直筆サイン入り硬式ボール。しかもそのボールは障がい者の方々が手作りしてくれた”再生ボール”を購入したものなので、サポーター登録するだけで障がい者の就労支援にも繋がります。

また、BLFに一定額寄付していただくと、お礼状の代わりにプロ野球選手の直筆サイン色紙が送られてきます。集まった会費や寄付は、プロ野球選手のチャリティー活動のサポートや、プロ野球のチャリティーの仕組みづくりなど、「野球で、人を救おう」の実現のために使われます。

BLFが目指すのは、野球によって救われる人がたくさんいる世の中を作っていくこと。それによって、これから先どんな世の中になっても、野球が文化として継承され、発展し、残っていくことです。

そのために、国民的スポーツである野球だからこそできるチャリティー活動を実践し、社会における野球の存在価値を高めていく。それが、私たちBLFが掲げるミッションです。

次回以降は、より具体的にBLFの活動内容を紹介していきます。





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