旅行感

 普段の通勤には電車を使っている。
 職場と自宅は少し離れているものの通えないわけではなく、生活もなんとかなっている。
 そんな電車通勤で、たまにではあるけど乗り換えの関係でホームをてくてくとちょっとした距離を歩くことがある。
 その瞬間が少し気に入っている。

 電車の中で発車を待つ人。少しでも急ごうと階段を駆け上がる人。一本流して次の電車を待つ人。その先に延びるレール。こんなに沢山の人が居るのに、自分は誰も知らない。誰も自分を知らない。
 そんな中をのんびりと歩いていると急に知らない場所へ来たような錯覚を起こす。
 その瞬間が、非日常のようでワクワクする。
 その錯覚はすぐに消えるのだけど、知らない場所への期待と少しの不安を思い出させてくれる。

 そんな少しの旅行感と少しのワクワクもあるからこそ、次は何処へ行こうかと考えるのかも知れない。

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