安田早苗

自宅展→メールアート→種をまく→芽が出るプロジェクトと、オフミュージアムで、長期的にリ…

安田早苗

自宅展→メールアート→種をまく→芽が出るプロジェクトと、オフミュージアムで、長期的にリレーショナルアートに取り組んできた、現代美術アーティストです。2018年から個展活動再開。2020年よりBloom studio ZOOM Party主催。

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土と火 マザーフッドが咲く展によせて 浦田(東方)沙由理(東京家政大学 期限付助教)2024・3・9-17 @なるせ美術座

 3/11(月)安田早苗さんの個展「土と火 マザーフッドが咲く」@なるせ美術座にお邪魔させていただきました。早苗さんとはエコフェミニズムという思想(理論)をきっかけに知り合った仲で、お会いするのは2021年に講演に呼ばれて以来でした。  今回の個展はマザーピース・タロット(Motherpeace tarot)を基盤とし、そこから汲み上げてきた豊かな自然と女性の世界(土の世界)と、異様な火(原子力)がもたらす世界(火の世界)が表現されていました。それはまさにエコフェミニズムが

    • ディスク(ペンタクル)の物語

      安田早苗は、1968年滋賀県生まれ。 地元の公立小中高を卒業し、国立の滋賀大学教育学部美術研究室を卒業。中高美術科の先生になるコースで、教員になるのは、4人兄弟の長男のため高卒で銀行員になった父の夢でした。  学生時代から制作に励んでいたわたしは、卒業後中学校教員になり、教員2年目の23歳で同級生でアーティストの詫摩昭人と結婚します。  実家は、昔ながらの価値観が強い家庭で大変やかましく窮屈だったので、家を出るには、当時付き合っていた彼氏と結婚するのは最も効率が良い方法でし

      • だれも女神をとめられない  

        なるせ美術座「運命の女神が咲く」にむけて、読んでいた、モナ・ショレ「魔女」  現代魔女が、あらゆる支配を逃れたポジティブなパワーを象徴するものとして「魔女」を名乗るという流れは本書からのようです。無意識に女性に植え付けられている弊害を、リズミカルに情熱的に書き出していて読みやすかった。  この本の第四章に、「自然の死」が出てきます。これはC・マーチャント著書のタイトルで、安田は東京家政大学の浦田(東方)沙由理先生にお薦めされて、読みはじめていましたが、全部読みました。

        • 『運命の女神が咲く』開催によせて 齋藤 レイ

           安田早苗の個展『運命の女神が咲く』がこの春に開催される。本展では過去作が一堂に会し、創作活動の中で作家の興味関心がどのように移ろってきたのか、その軌跡を辿ることができるだろう。  最初期の作品『慈しみ』(1988年)は、新表現主義に影響を受け、油彩にビーズや布などの異素材を組み合わせた100号の大作である。オレンジ色に輝く象と少年が向かい合い、その中央には仏教の聖典「スッタニパータ」の引用、背景にはイスラム寺院の装飾が描かれており、ひとつの画面に複数の宗教観が混在している

        土と火 マザーフッドが咲く展によせて 浦田(東方)沙由理(東京家政大学 期限付助教)2024・3・9-17 @なるせ美術座

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        記事

          1990年代の安田作品

           前回、魔女や女神について書きましたが、今回は、90年代の安田作品を紹介したいと思います。  安田自身は洗礼を受けてないので、クリスチャンではないのですが、日本では総人口の0.8%と少数であるクリスチャンに接していたせいか、他の宗教と、そもそも宗教とはどういうものなのか?などは、漠然と気になっていました。 これは20歳の時にほぼ初めて描いた100号サイズの油彩です。ビーズや布の額縁など、当時流行していた、新表現主義の影響をうけています。中央の文字は、仏教の「スッタニパータ

          1990年代の安田作品

          女神が咲く

           みなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。昨年は「現代魔女」の理解を深めた一年でした。今回は、その経緯と、今年の展望などを書きたいと思います。  2022年5月に、安田早苗個展「黄色い魔女が咲く」で、文化人類学者の河西瑛里子さんに講演してもらった「魔女の時間」。 父と子(男性神)であるキリスト教と違い、魔女は元々、キリスト教以前の自然信仰(ペイガニズム)に由来し、男神と女神を祀ります。ここから、女神信仰は生まれました。とくにイギリスは、女神信

          女神が咲く

          「魔女の時間」講演記録 河西瑛里子(文化人類学者)2022.5.5 @ギャラリー・パリオ(東京都町田市)

          〇はじめに 私は2005年から、魔女と名乗ったり、女神を崇拝したりしている人たちを調査している文化人類学者だ。初めはイギリスで、その後ヨーロッパ各地へ。そして、ここ数年は日本でも。そんなわけで、アーティスト安田早苗さんの個展「黄色い魔女が咲く」のトーク・イベントにお招きいただいた。本エッセイは、その講演とワークショップの記録である。  男女合わせて13名の参加者。自己紹介をしあった後、各自が持ち寄った「地」に関連するものを置いて、会場の魔女の祭壇を完成させる。 魔女たち

          「魔女の時間」講演記録 河西瑛里子(文化人類学者)2022.5.5 @ギャラリー・パリオ(東京都町田市)

          よそもんの花 2019.8.25トークイベント書き起こし ゲスト小吹隆文

          茶ろん坪六で行った個展「よそもんの花」のクロージングイベントとして 種をまくプロジェクト上映会とトークを開催しました。 安田は2007年3月まで滋賀県に住んでいたので、会場には友人・知人が25人ほど集まってくれました。😃 そしてトークイベント【関西1995-2005アートシーン】 ゲストは関西で長年アートライターとして活躍されている小吹隆文さん。 安田が貸し画廊で個展をしている頃からの知人です。 小吹 映像を見て、まず記録の重要性を感じました。画廊以外の場所で作品を発表

          よそもんの花 2019.8.25トークイベント書き起こし ゲスト小吹隆文

          魔女が開く扉 安田早苗論 アライ=ヒロユキ (美術・文化社会批評) 2022.5.3-15 黄色い魔女が咲く @ギャラリーパリオ

           「魔女」という、アニメや映画以外では耳慣れない概念を作品テーマに取り組んでいるのが、アーティストの安田早苗だ。なぜ魔女か問う前に、まずはこれまでの作品を概括してみよう。彼女の作品を縦貫するモチーフはふたつある。自然とコミュニケーションだ。  まず安田の代表的な表現は「芽が出るプロジェクト」だ。これは作家サイトから引用しよう。  幾つかの論点が読み取れる。「メールアート」の一種。風という偶然性が伴う。媒介物は植物。「返信」は受け取った人の「植物画」という解釈、あるいは自然

          魔女が開く扉 安田早苗論 アライ=ヒロユキ (美術・文化社会批評) 2022.5.3-15 黄色い魔女が咲く @ギャラリーパリオ

          Bloom Studio vol.9 イベントレポート  高橋かしこ 編集者・ライター

          2021年7月4日(日)に髙橋芳一*(電子音楽家)と安田早苗(現代芸術家)がコラボレイトしたネット・イヴェント「Bloom Studio ZOOM Party vol.9」が開催された。第1部はYoutubeによるライヴ配信、第2部はZOOMによる視聴者参加型のトークという構成。 ライヴは安田作品が展示される町田市のカフェ“ガレスピー”で行われ、演奏するリアルタイム映像と髙橋自身が制作した映像がスウィッチングされて配信された。「(安田早苗の)立体作品のモティーフを拝借し髙橋な

          Bloom Studio vol.9 イベントレポート  高橋かしこ 編集者・ライター

          種をまく人 安田早苗試論 神保弘多 文筆業

           安田早苗の作品を実際に目にしたのは2020年の1月、神楽坂のギャラリー eitoeiko で開催された安田早苗と五箇公一のコラボ展であった。この展覧会が興味深いのは国立環境研究所に在籍する昆虫学、生態学者の五箇公一と現代美術作家(コンテンポラリー・アーティスト)安田早苗の文字通り異分野、異業種の二人による展覧会である。鷲田めるろ参加によるこの公開鼎談には参加していないので、これについては安田のホームページのアーカイブから推測するしかないが、雑駁に言えば、五箇が外来昆虫の移動

          種をまく人 安田早苗試論 神保弘多 文筆業

          アーティスト安田早苗氏の表現を支えるエコフェミニズムとは何か? 笹木依茉 Webライター

          アーティスト安田早苗氏は、生殖による増殖の功罪について考える作品を、これまで多数発表してきました。「ありのままの生」としての自然な「いのち」の表現は、生産性やテクノロジーに支配された現代社会に問題提起を続けています。そのアーティスト安田早苗氏が注目しているのが、エコフェミニズムです。 2021年3月27日の展覧会イベントでは、エコフェミニズムのレクチャーが行われました。講師として招かれた東京家政大学非常勤講師(当時)の浦田(東方)沙由理氏は、「女性差別が環境破壊に繋がっている

          アーティスト安田早苗氏の表現を支えるエコフェミニズムとは何か? 笹木依茉 Webライター

          Bloom Studio ZOOM Party vol.9

          種をまくプロジェクト→芽が出るプロジェクト→Bloom(花咲く) Studio    9回目のゲストは高橋芳一さんです。 高橋芳一さんは86年ごろP-MODELというバンドのメンバーだった方です。80年ちょうどぐらいにP-MODELが出演していたテレビ番組を見ると、68年生まれの筆者は懐かしい〜感じが。 最近、このYouTubeに出ている、ヒカシューもプラスチックスも継続して活動されているのを知って嬉しいなぁ〜と思っていたのですが、P-MODELのメンバーの方々も継続して

          Bloom Studio ZOOM Party vol.9

          Bloom Studio ZOOM Party vol.8   エコロジーとフェミニズムとアート、そしてエシカル

           緊急事態で、連休なのにどうしよう?などど思ってしまう今日この頃。町田のカフェ・ガレスピーで展示している安田早苗作品と共に、オンラインで映像上映、トーク、対話による鑑賞を楽しみませんか? 当日の流れを説明します。  まずは安田が2001〜2005年に取り組んだ「種をまくプロジェクト」の記録映像(40分)を見ます。  休憩後、Web雑誌「エシカルSTORY」代表/編集長の木村洋平さんに、フェミニズムやエコロジーとアート、そしてエシカルについて教えて頂きます。(40分)

          Bloom Studio ZOOM Party vol.8   エコロジーとフェミニズムとアート、そしてエシカル

          2021.3.27 お話し鑑賞会レビュー 笹木依茉Webライター

           2021年3月13日(土)から3週にわたる土・日曜日の計6日間、神奈川県在住のアーティスト安田早苗氏の展覧会「悪夢に咲く」が開催されました。27日(土)にはゲストに、東京家政大学講師の浦田(東方)沙由理氏によるエコフェミニズムのレクチャーと対話、案内人の青木雅司氏によるお話し鑑賞会という2つのプログラムからなるイベントが行われました。 会場は千葉県銚子市にあるギャラリーロクの家。このイベントはコロナ禍に行われたこともあり、会場で観賞するだけでなく、オンラインで全国どこからで

          2021.3.27 お話し鑑賞会レビュー 笹木依茉Webライター

          安田早苗の絵画 三上豊 美術書編集者 2021.3.13-28 悪夢に咲く @ロクの家

           2021年3月13日、千葉県は銚子に安田早苗さんの展示を見に行った。数カ月前にお声がかかり、展示会場では、ミニマルアートとか新表現主義などについて、私感を述べさせられた。会場は木造2階建ての旅館を改造し、アトリエであり、展示場であり、アーティストレジデンスとしての機能をもつ「6の家」と名付けられた空間で、宮内博史さんが1年以上をかけて改築した建物である。特に宣伝をしているわけではなく、知る人が少しづつ増えるなり、来訪した人が気にしてもらえればいいような、のんびりした、軽みを

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          安田早苗の絵画 三上豊 美術書編集者 2021.3.13-28 悪…