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2021年11月29日のTOKYO854の放送内容です|Blooming Days -日々是好日-|倉嶋桃子

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

11月も下旬となり、北海道、東北、関東地方近郊の標高の高い山などでは雪の便りも聞こえるようになってきました。

スーパーの目立つ場所には、温かいお料理が恋しくなる時期ということもあってか、お鍋やスープ、煮込み料理にぴったりの旬のお野菜たちがだんだんとお手頃な値段で並びはじめました。

つい先日も、青々とした葉が付いた大きな大根が、お買い得品として並んでいたので煮物の材料にしようと購入したばかりです。

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統計上、大根は、春大根、夏大根、秋冬大根に区別され、秋冬が全体の7割を占めていますが、季節ごとに栽培地に適した品種が出荷されるため、一年を通して購入することができます。
国内で約9割の流通がある代表的な品種「青首大根」は、12月から2月が旬となり、甘みがあって瑞々しく、煮込み料理や汁物だけでなく、生で食べても甘みが増して美味しい大根です。

日本人と大根の深い関係

大根は、漬物から煮物、汁物、炒め物など、和食の材料としてとても馴染み深い野菜ですが、大根の起源となる栽培種は、中央アジア辺りと考えられています。
古代エジプトでは、今の「廿日大根」に近いものが、ピラミッド建設労働者の食料とされていたという栽培記録が残っていて、古代エジプトやギリシャ・ローマでは主要な野菜として栽培されていたと言われています。

その後、ユーラシア大陸各地へ伝わっていき、シルクロードを経て中国へ向かい、紀元前500年頃には中国でも栽培され、多くの品種が生まれました。

日本では、712年の歴史書「古事記」で、仁徳天皇が詠んだ歌に「於朋泥(おほね)」という文字が含まれており、これが今でいう「大根」のことを指し、最も古い記録と言われています。
「だいこん」と呼ばれるようになった年代は定かではないものの、室町時代の文明年間(1469-1487)ごろ成立した国語辞典『節用集』に「大根(だいこん)、又蘆菔(ろふ)、蘿菔(らふ)」とみられるため、この頃だろうと推測されています。

大根の栽培が盛んになったのは、江戸時代。
江戸の町に多くの人が住むようになり、食料も多く必要となります。
大根は重く遠くから江戸へ運ぶのが大変だったため、江戸近郊の板橋、練馬、浦和、三浦半島辺りで栽培されるようになり、栽培法も確立。
これら江戸で食べられるようになった大根は、参勤交代や伊勢参りなど、人々の行き来と共に日本各地に普及しました。
大根の栽培は、土壌や気候が違っても比較的簡単に育つことから、その土地にあった大根が作られ、1730年代の江戸中期頃、各地で作られていた大根の品種は、90種類にのぼったそうです。

特に有名な「練馬大根」は、五代将軍の徳川綱吉(1646-1709)と関係が深いものだったようです。
若い頃脚気を患い、占い師に方角や「馬」のつく土地が病を治すには良いと言われた綱吉は、練馬に御殿を建て養生したと言われ、その時、脚気に効くと言われた大根の種を尾張から取り寄せ、その土地の農家である大木金兵衛に大根を作らせたところ、味も形も素晴らしい大根ができたそうです。
その後、病気が治った綱吉は、江戸城に戻り、将軍となった後も、練馬の大根を献上させ、諸大名にもふるまい、下練馬村(現・東京都練馬区)は、日本一の大根の村として有名になったそうです。

現在多く出回っている「青首大根」は、1974年に主に西日本で栽培されていた青首系の「宮重大根(みやしげだいこん)」などを基に、タキイ種苗によって開発されました。地上に伸びる性質が強く収穫作業が楽である点は生産者に評価され、また、甘くて大きすぎない点は消費者にも評判が良く、急速に普及していき、現在に至ります。

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お刺身のつまに「大根」が使われている理由

お刺身を購入すると、必ずといっていいほど大根で作られた「つま」が添えてあります。子どもの頃から見慣れているものなので、なぜこの「つま」が大根であるのか考えたことはありませんでした。

そもそも「つま」とは、お刺身やお吸物に用いられる付け合わせのことをいい、生臭い匂いを消す作用や、見た目を美しくすることによって食欲をそそる働きがあるものです。

「つま」の語源は、主となる料理のそばに置かれることから、夫婦の関係に見立てた「妻」とする説と、料理の端に置かれることから「端」の転用説があり、漢字では、「褄」と書かれることもあるようです。

「つま」に大根を使用する理由には、大きく3つの理由があります。
1つには、盛り付けを美しく見せる見た目の役割、2つ目に、大根の辛み成分であるイソチオシアネートが細菌の繁殖を抑えるため、生ものに添えることで殺菌や防腐作用効果が期待できる点、3つ目に、お刺身の水分を吸収し、水っぽい状態になるのを防ぐためです。

ちなみに、売れない役者さんのことを、「大根役者」と呼んだりしますが、大根を食べると「食中毒にならない=あたらない」という意味から生まれた言葉だそうです。

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京都の伝統行事「大根焚き(だいこだき)」とは

京都には、11月末から12月前半(一部の寺院では12月下旬や1月に行われるものもあります。)にかけて、諸病を封じ健康増進を祈願するため、京都の寺院で行われる行事で「大根焚き(だいこだき)」という年中行事があり、大量の大根を煮て、参拝者に振る舞い、仏前に供える行事で、師走の時期の風物詩となっています。

由来や意味合いは寺院によって異なっていて、別々の由来・意味合いを持った行事として行われています。

ここで振る舞われる大根料理は、寺院によって違いがあり、単に塩で煮込んだだけのものから、油揚げと共に醤油で煮込んだもの、煮込む前に大根に梵字をいれるものなど、様々あるようです。

また、東京都台東区にある「待乳山聖天(まつちやましょうでん)」では、昭和49年(1974年)より、毎年1月7日に「大根まつり」が行われています。

こちらでは、大根は聖天様(仏法を守護し、 仏道を行ずる人々を守護する天部の神様)の「おはたらき」をあらわすものとして尊ばれ、聖天様の供養に欠かせないお供物とされており、そのお下がり(おさがり)を頂くことによって聖天様のお徳をそっくり頂戴し、身体と心の健康を得ると言われています。
このことから、「大根まつり」の日には、元旦以来ご本尊様にお供えされた大根を、「ふろふき」に調理して、御神酒と共にご参詣の皆さんに振る舞われるそうです。

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古くから日本人と深い関係にある大根。
大根に含まれるビタミンCは、風邪を引きやすい冬にぜひとも摂りたい栄養素です。
紅葉シーズンが終わり、本格的な冬が訪れるこれからの時期、甘くて瑞々しい大根を存分に堪能したいものです。

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2021年11月29日TOKYO854の放送内容について

さて、今回は、「知っているようで知らない『ヴィーガン』について」をテーマにお送りいたしました。

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番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。
従来のPodcastは、著作権の問題で音楽を除外したトークのみのものでしたが、クラウド音楽サービスを利用することによって、ラジオ放送と同じ構成で、トーク・番組内でかけた音楽、両方をお聞きいただくことが出来ます。

皆様からのメッセージお待ちしております

番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、皆さんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

それから、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない場合がございます。ご容赦くださいませ。

今週も皆様にとって素敵な1週間になりますように。

倉嶋桃子でした。

参考資料

ダイコン – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/ba9z
青首大根 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/fzoo
大根の旬はいつ?旬の大根の特徴とおいしい大根の選び方 – トクバイニュース
https://tokubai.co.jp/news/articles/4145
ダイコンの栽培 – 農業専門の中小企業診断士 秀農業経営コンサルタント
https://www.hidefmc.com/daikon/
江戸時代は100種以上、日本人と大根の根深き関係|食の安全|JBpress
https://blooming-days.njs.xyz/wo2i
ねりま大根 発祥の地
https://blooming-days.njs.xyz/445l
つま – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/0lsr
刺身のつま/さしみのつま – 語源由来辞典
https://gogen-yurai.jp/sashiminotsuma/
あしらい【あしらい】 – 東京の調理師学校・調理師専門学校|日本調理アカデミーで調理師免許取得
https://blooming-days.njs.xyz/oy2f
大根焚き – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/pkwu
大根焚き | 伝統行事 | 京都のイベント・行事 | 京都に乾杯
https://blooming-days.njs.xyz/et48
大根まつり 台東区ホームページ
https://blooming-days.njs.xyz/97sr
大根まつりの由来 | 待乳山聖天
http://www.matsuchiyama.jp/daikon.html

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