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2021/02/07 高岡大祐、桜井芳樹。祖師ヶ谷大蔵カフェムリウイ

昨夜は高岡大祐tuba 桜井芳樹ag 祖師ヶ谷大蔵ムリウイ、でした。


先月末のライブを週末に合わせて延期したこのライブ、多くの共演を重ねてきた桜井さんにアコースティックギターの演奏をお願いしました。
ムリウイの響きにはきっと合うだろうなと。

1部
1 some happy day(チャーリー・パットン)
2 カミナンド デスパシオ(大原裕)
3 Lawns(カーラ・ブレイ)
4 we shall over come(トラッド?)
5 渡良瀬(板橋文夫)

2部
1 african market place(ダラー・ブランド)
2 Mary hartman mary hart(チャーリー・ヘイデン)
3 braun rice(ドン・チェリー)
4 Batak hymn(スマトラの賛美歌)
5 news paper (大原裕)
6 candela(桜井芳樹)

アンコール
Dino(大原裕)

思ったよりもtubaが響くので音量を抑えるべく上下の前歯の間にほぼ常に舌が挟まっている状態。き、厳しい。

桜井さんが爪弾く時は控えめに、かき鳴らせば饒舌に。

大原裕の曲を沢山やった。
もう亡くなって17,8年。知らない人が多くなった。そういうものだと思う。
ただ、彼は録音されていなくとも曲を残したので、私達が演奏する事で伝えることができる。
皆体を揺らせて踊ったり歌ったりしていたよ。スカであるニュースペーパーではチキを入れてくれたお客までいたんだぜ。
アンタの曲で、だよ。
ザマーミロ!バカ。そんなに早く死ぬなよ。

ヘイデンのハートマンは、僕はもともとオーネットとのデュオで覚えている曲で、元はアメリカのホームドラマの為に書かれた曲だそうだ。思わず速いテンポになったらカントリーソングそのものになってビックリした。そういえばヘイデンのお父さんはカントリーシンガーだった。

ドン・チェリーのブラウンライスを僕がハミングしていたら、お客さんの方から小声で一緒に歌い始めたとき、嬉しくてたまらなく、ゾクゾクした。原曲みたいだ!

板さんの渡良瀬はアコースティックギターがきっと合うだろう、と思っていてやってみたら最高だった。南米の様な情熱的な三拍子、たまらなかった。

本編最後は桜井さんのカンデラを。
よく言うのだが、僕はこの曲を聴きながら死んでいきたいと思う。
死んだあとにかけてくれ、ではなく、死にゆくときに。きっと最高の死に様になる。
いつもエレキギターの時は、小さい音から始まるメロディーがただ繰り返される中でどんどんと巨大化していき、チューニングも徐々に乱れ、最後には聖堂の鐘をつくようなサウンドに満ちて、最後にほんの少し、ちいさくかそけき旋律の最初を鳴らして終わる。
生まれて死んでいくような曲。そういえば大好きなラヴェルのボレロもただクレッシェンドしていくだけの曲で、僕はそうしたものが好きだ。

いいライブ、なんて一言では言えない。

ムリウイに来るようになってからも長くなった。その間にいろいろな事があった。

ここで大事な人に出遭い、ここで別れてきた。
多くのミュージシャンを連れてきたし、演奏してきた。
店のたけしとかつよさんとは、家族同然の付き合いで、自分の音楽のあらゆる側面を見守ってきている。

ダイスケがやるならば、必ず特別になる、という期待はずっと更新され、そのために自分はずっと成長を心掛ける。
音楽を育てる栄養。

ライブは演奏するものが発する音だけで作り上げるのではなく、そこにいる全ての人で成り立つもの。一体感ではなく、みんなバラバラに。

昨日は特に、お客さんの力が豊かだった。
音楽が聴きたい、という高い熱量を始まる前から強く肌に感じたし、なにか起こるかわからない初めてのライブに対して、真剣に楽しんで反応してくれた。
音を放ち、受け取り、返してくれた。それがずっとグルグルと巡っていった。
最高でした。

嬉しすぎて楽しすぎて、バカみたいに笑っていた。ほんと、バカみたい。

誰よりも桜井さんに感謝を。


20代半ばの頃に耳にしていた桜井さんのアコースティックギターと共演する夢が叶いました。あの時ほんとしんどくて宿に戻ると毎晩聴いてました。
演奏中、夢の中のようだった。

夢といえば、この日の朝目覚める直前に、白いカサゴを釣り上げる夢を見た。あれは吉兆だったのだと思う。

いつも思っている。今日のライブが人生最後の演奏で、今日いまのためにこれまで楽器を奏し音楽を続けてきた。今日で終わり。これで死ぬ。そう思えば、常に全力で有り続け、楽しくて仕方がない。もう終わりだ。これで解放されて楽になれる。全ては報われる。そう思えば、一瞬一瞬全てが喜びに満ちる。

ライブの最中は全ての苦楽を忘れているが、明日がもうないと思えば、本当に自分自身のままにいられるし、もう長らくずっとそうやってきた。それが一番簡単で、それしか出来なかった。明日も生きていれば、またそうして一日を終えると思う。

アンコールを熱く頂いて、最後には大原裕のDinoを短く演奏した。
ねえ、大原さん、あなたの曲でみんな楽しんでたよ。


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