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2024年5月11日

2024/05/11 07:06

我が家の洗面台にある窓はガラスが薄い。
歯を磨くとき、髪を乾かす時に隣の家のテレビの音がしっかりと聞こえる。
早朝でも深夜でも元気よく聞こえるその音は時には番組名まで音から分かる。
先日は野太い特徴的な声で「東大へ行け!」と聞こえたので、間違いなくドラゴン桜だろう。東大を目指してみようかなという気分には、ならなかった。

挽いたコーヒーにお湯を注ぐ音、トーストが焼けた事をしらせる高く短い音、別の隣家が風呂掃除を始めた音。これらは私の朝の音に分類される。
8時を回ると歩行者信号から雛の鳴き声がして、9時になれば商店街に音楽が流れる。ノルウェイの森が流れると、懐かしい気分になる。
お店がそれぞれのタイミングでシャッターを開け、私の店の前を通過するワゴン車の車輪が轟音をとどろかせて、10時頃には配達のバイクがモーター音をさせる。最近は原付も電気で走るらしい。

生活はありとあらゆる角度で切り取ることができるが、ここでは音を軸に切り取ってみようと思う。

キーボードを叩く音は、気分が乗ってくるとまるで楽器のようにリズミカルになる。
手が止まるのは、音楽で言えば休符のようなものだ。休符も立派な音だと、昔だれかと話した記憶がある。
人通りの少ない商店街に昼がやってくると、靴を鳴らして歩く人々。
今日は何を食べようかと歩く音が聞こえる。

いつもと違う音がすると、特に意識を持って行かれる。
逆にいつもの音がしないのも、意識を持って行かれる。
あの爆音テレビ放送も、シャッターの開く音も聞こえないとなにかあったのかと心配になる。今月で3年目に突入した商店街暮らし。外出することが多い私でも、まとまった年単位でそこに暮らしていれば耳に馴染んでいる音がこんなにも増えているのだ。

これを書き終わったら、コーヒーを入れる音にいつもより少し注意深く意識を傾けてみる。

2024/05/11 07:21

終了の音がしたので、今日はここまで。

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