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伝わる言葉、伝える言葉。文化、演劇に関する備忘録。

2023年1月21日(土) 芸術ホールリハ室で演劇に関するシンポジウムが開催された。

タイトル「伝ー演劇が伝播する、演劇を伝承する」

北海道教育大学函館校の授業の一環として開催されたこのシンポジウム。
パネリストは館宗武氏、田邊克彦氏、鈴木順子氏、田中良輝氏の4名。
各人の演劇事情などについてトークが行われた。

今回はここでのセッションで語られた内容で興味深かったことを備忘録的に書いていく。


まず出てきたキーワードは「生き方」「生き様」
この生き方や生き様を伝えるという考えが館氏と田邊氏の共通項としてあげられた。

現代社会の多様化と共に失われつつある共通認識という概念。
先人たちの背中に憧れてその道を進むという考え方も薄れつつある昨今の世の中。
そんな現代でも自分が良いと思うエンターテイメントを作ることの意義。

演劇というフィルターを通して生きることそのものが強く問われていると感じた。コロナ禍で演劇の存在意義も問われていたように思う。

多様化に迎合するか、己の感性を生かすか。
その狭間で揺れる演劇人の背中を見たような気がする。


館氏、田邊氏が演劇の作り手だったのに対して、鈴木氏は鑑賞者としてのトークがなされた。

その中で強く感じたのは、作り手に対する強いリスペクトの念。
「役者」を「感情のアスリ―ト」と表現していたのには非常に腑に落ちた。

生身の人間が目の前で表現するからこそ得られる、生活への潤いというものを言葉から感じ取ることが出来た。

たしかに生の舞台を観たあとの心の充足感は、舞台を鑑賞することでしか得られないと思う。


また、当日会場で配布された冊子が良く出来ていて感動した。

タイトル
「函館と演劇文化 演劇がつなぐ社会 -演劇人と学生仲間たちー」

今回のパネリストの寄稿だけではなく函館外の演劇人の寄稿であったり、学生たちの言葉で埋め尽くされた至極の一冊である。

私はこういう文章を読むのがたまらなく好きなのである。
この冊子を読むことも演劇を伝えるということといえるだろう。

私はテキストで人の言葉に触れるのが好きで好きでたまらない。
創作物も好きなのだが、こういったエッセイの方が好きだったりする。

貴重な一冊を手にすることが出来て非常に嬉しい。
身近な人物でも考えていることまでは知ることが出来ない。
出来ることならもっと読みたい。

この前の41×46の公演で販売された特別雑誌を購入しそびれたのが残念だ。
冊子が届いたら誰かからちょっとのぞき見させてもらえないか要相談だ。


函館には意外とエンタメ文化が根付いていたりする。
だがその認知率は低いと言えるだろう。
未だに演劇をやっていると話すと驚かれることが多い。

更にエンタメが普及し、函館やその近隣地域をより盛り上げられるように私も頑張って舞台を制作していきたい。