sadsは耽美
また最近になってsadsを聴き始めています。
清春さんの活動のキャリアとして最も大きいのは黒夢である事でしょう。
90年代の名古屋系の先駆けであり、後世にも非常に大きな影響を与えた黒夢ですが、清春さんの最もロックな面を見られるのはやっぱりsadsだと思うのです。
特に2010年に黒夢と共に復活させた後のsadsは復活前のものとは違うアダルトな妖しさが常に付き纏うようなサウンドに昇華されている。
バンドサウンドであるものの、黒夢でのある種の様式美的ではない音は、日本のヴィジュアル系に於ける耽美的な世界観に更に厚みを持たせた音。
復活後のメンバーとほぼ同じラインナップでありながら、ここまでの振り幅を魅せられるメンバーの手腕はやはり凄いと思わされる。
元々sads(SADS)は1998年末に突如、黒夢が活動休止宣言をして数ヶ月後に清春さんが新たなメンバーと共に始めたバンドでした。
黒夢の後期のサウンドを更にハード且つヘヴィにした音で、80年代のロックを想起させるような楽曲を次々に発表します。
デビューシングルである『TOKYO』の最初の歌詞が
「途切れた黒い夢に今日も惑わされる」
という言葉から始まる事から黒夢を想起させた事もあり、非常にインパクトの強いデビューシングルでした。
そして、SADSと言えばこの曲と言われる曲はコレでしょう。
この『忘却の空』は当時、高視聴率ドラマであった『池袋ウェストゲートパーク』のメインテーマに起用された事からSADSの代表曲という地位を確立します。
黒夢とは違う様々なジャンルの音楽を取り入れ、SADSの音として次々に新曲を発表し、ロックバンドとして非常に魅力的な存在となりつつも、その活動には様々な問題が降りかかります。
記録としても公開されたものだけでもこれだけあるのですから、実際はもっと壮絶だった事でしょう。
この様な波瀾万丈なバンド活動を経て、結果的にSADSは2003年に活動を止めてしまいます。
しかし、そこから7年後の2010年に再始動が発表され、メンバーは清春の他に黒夢の解散ライブでもギターを務めたK-A-ZとドラムのGO、そして清春ソロのサポートベースであったクボタケイスケと共に新生sadsとして活動を開始します。
新曲に加えて過去にSADSとして発表された楽曲も全く新しい印象になって、別の曲と言っても良いくらいに音の重さや鋭さがオリジナルとは段違いなものになりました。
再結成後はかつて程のライブの本数は減ったものの、多くのライブイベントへの出演が多くなり、そこで多くの夢の共演が実現した事も印象的な出来事でした。
sadsというバンドをザッと振り返りましたが、やっぱり凄いバンドなんですよね。
復活後、コンスタントに活動はしながら、新曲も作りながらなんですけど、それが殆どライブ会場で販売や配布という形を取っていた事から、多く世には出回っていない。
復活後に一般流通したのは『THE 7 DEADLY SINS』と『FALLING』の僅か二枚のアルバムのみです。(付属のベストアルバム等は別にして)
この2枚のアルバムの期間が実に8年…。
この間に1枚くらいはアルバムが聴けるのではないか?と淡い期待を持っていたものの、結果的にはそれが叶わないままでした。
しかし、結果的に見ると凄いアルバム2枚なんですよね。
THE 7〜で完全に以前のSADSを踏襲しつつも払拭して、それを基にどんどん激しいライブを展開して行って、最後には本当にこれからの音を期待させながら終わるというのは、復活したバンドとしては最高の終わりかたなんだと思います。
本当にメチャクチャ格好いいから聴いてほしいっていうのが本音です。
HYDEさんのVAMPSも物凄く海外向けの音だったと思うけれど、sadsは日本的であると同時に、非常に海外を思わせる音。
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