初恋という狂気の日々 第五十七章

第五十七章 夫婦円満

前章から数日が経過し、遂に卒業式当日となった。
教室や廊下では、別れを惜しむ生徒 昔の思い出を語り合う生徒 普段通り過ごす生徒 人それぞれ様々であった。 
私のクラスでは、卒業アルバムの寄せ書きページを 書き合っていた。私はクラスメイトの寄せ書きを終えると、足早に絢辻さんのクラスに向かった。

絢辻さんと数分談笑すると、お互いに寄せ書きに記入をする。私の内容は確か “いつも本音で語り合える仲で良かったと心から感じてる” みたいなコトを書いた気がする。

絢辻さんからの寄せ書きは “アナタにはいつも助けられてばかりだったから、本当に恩しかありません 改めて長年ありがとう” といった感じで、感謝や恩を全面に出す文章だと記憶してる。

その後も少し会話をして、私は絢辻さんに伴奏の話題を出した「そういえば 詞は卒業式では伴奏やらないんだね 聞きたかったから残念だよ」

絢辻さんはぶっちゃける様に 「あぁそれねぇ……受験終わって もう疲労困憊だから 流石にやる気が起きなかったわ……温厚ちゃんとかいるし、私が出る必要も無いかなって思ったのもあるかな。でも アナタが楽しみにしていたなら出れば良かったか ごめんね 」
言い方からして、合唱コンの時に感じた 自信が無い雰囲気から打って変わり、清々しい言い方だった
私はその様子見て少し安心してクラスに戻る

そんなこんなで卒業式が始まる。
式は練習通り順序よく、進んでいった。生徒会長温厚さんの素晴らしいスピーチも終わり、いよいよ卒業式は終わりを迎えた。
  中には泣きだす者も少なくはなく あまり感動しない私でさえ ❨あぁ色々な思い出ばっかりだったなぁ❩ と少し物思いにふけた。

 そうしてクラスに戻ると、親や自分のスマフォを持ち出して、思い出の写真を一枚一枚撮影する。
私も温厚さんに誘われて、温厚さん 美人さん 私の三人で撮ったりする。 私がソワソワと隣クラスを気にしてると 「早く行きなよ 円満な関係なんだからw」後ろから温厚さんがイジってきた。
私はタジタジしながらも 絢辻さんのクラスに向かうと、絢辻さんではなく 絢辻さんのお母さんが私に気付き、話しかけてきた

「いや〜探したよ〜 テツバドくん(私)」
私は思わず驚く

そうすると絢辻さんのお母さん(以下 絢辻母)は
「いつも娘がお世話になっていました。娘がここまで頑張ってこれたのは テツバドくん(私)の支えがあったからです どんな時も娘に長年寄り添ってくれて感謝しかありません」

私は「えっ?えっ」としか反応できないが

絢辻母の感謝は止まらない「癖のあるワガマな娘ですけれども、優しくしてくれたのは母としても 凄く嬉しいコトでして……いつも娘が君のコトを話してましたし、入試日には娘の心のケアをしてくださり 何と言えばいいのか………」

私は驚きで言葉を詰まらせつつ返答する
「いえいえ……詞さんも私に長年優しく接してくれましたし、助けられた回数は数え切れないので、お互い様だと思いますよ。それに私にとって詞さんはやはり長年の関係で特別な存在なので……

そうすると絢辻母は

「いや〜そんな言葉を娘に言ってくださるなんて ありがたいです。
それに娘の前で言ったら怒られますが、、、将来的にも娘をお願いします、、、『仲睦まじい円満な家庭』が築けると思いますので…」と意味深な発言をした。


私は一瞬理解できなかったが、すぐに理解して恥ずかしくなる。 そうして 絢辻母と会話をしているとら絢辻さんが私に気づいて近づいてきた。

その様子を見た 絢辻さんのお母さんが「丁度良いじゃない二人でツーショット撮りましょう」と提案をしてきた。 
 棚からぼた餅とはこのことだ 自分から言わずに、ツーショットを撮ることが出来た。
そうして撮り終えると、絢辻母と私の母が話していた。 どうやら先程の感謝を母にも伝えている様子である。

私はその間 絢辻さんと会話をしていた
内心では❨二回目の告白をしようかな……❩と一瞬悩んだが、中々良いタイミングにも恵まれず、とりあえず春休みの予定を合わせるコトになった。

分岐路の正門でもう一度写真を撮ると、私は母校を後にした。

私は家に帰宅すると、母親に絢辻さんのお母さんとどんな会話をしたのか聞いた。
母は「え、世間話と長年お互いに世話になりました〜って会話をしただけだよ それにしてもアンタ随分気に入られてるみたいね 向こうのお母さんから何度も感謝されたよ」

私は少し赤面で「あぁ……俺にも直接感謝された 何か長年寄り添っていただいて〜みたいな感じで」

母は冷静に「まぁ癖のある子だもんねぇ、、、それにあのお母さん厳しそうだから、、、余計思うところがあったんじゃないかしら…… あたしもアンタよく付き合っていれるなぁと思っていたよ」

私は思わず反論気味で「そうかぁ?別によくいる優等生って感じだろ 人には特徴なんて一つや二つあるだろうし」

母は予言するかの様に「それで何もなきゃ良いけど 言いなりにばっかならずに、気をつけなさいよ」

私には意味がわからなかった。

そうして早速 絢辻さんとの会話をラインで楽しむのであった。

この記事の時点での時系列 中学3年生 春 出会って六年


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