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また、はるかをうめた。

こんにちは~。青野です。

今回はシナリオ形式でお楽しみください。

 
 俺は、外回りをする営業マン。一息つくためにファミレスに入った。こんな時には、ブラックコーヒーと甘いパフェを食べるのを楽しみにしている。
 
 さぼりではない、英気を養っているのだ。

おばさん2人がとなりの席でしゃべっている。
話はきこえるが、仕切りがあって二人の顔は見えない。

「わたし、この間、はるかうめたの。」
嬉しそうに、おばさんAが言った。
「ちゃんと、ばらばらに切って、うめた?
前から、やりたいって、言ってたもんね。」
「うん、ちゃんと、ばらばらに切った。でも面倒よね~。」
「確かに。あ、そうそう切り口に、石灰塗るといいらしいよ。腐り防止だってさ。インターネットに書いてあった。」

おい、ちょっと。あの、おばさんたち、やばくないか。
コーヒーカップを持つ手が震えてきた。

「私ね、別のはるかも挑戦する。こっちは、バランバラに切らなくていいし。」
「ひとりで、できる?
土掘るの大変じゃない。大きいスコップ貸してあげようか?」
「大丈夫よ。今は、なんでもネット見れば、わかるから。」
「ねえ、ねえ。今度、長野県からはるかが帰ってくるって聞いた?
LINE来た?」
「うん、知ってる。うちらに会えるかなー。」

あ~。長野県のはるかさん。逃げ切ってくれ~。
なんか、理由をつけて断ってくれ。お願いだ。
あいつらは、はるかさんを笑いながらコロスさつじん鬼だ。

「やっぱりさ~。庭先にうめるのが、一番いいよね。
見つかるとさ~。やばいじゃん。」
おばさんAは、明るく言った。
「え~。なんで、悪いことしてないじゃん。自分の庭に埋めてるだけなのに、文句言う人いる?」
「そうなんだけど、掘り返す奴らが、いるのよ~。」
「え~。ひどい奴がいるね。」
「猫なんだけどね。掘り返すだけ、掘り返して何もしなかったけど。
やっぱり、なんか対策したほうがいいかな~?」

おい、自分の庭だからって、なんでもしていいってことないんだぞ。
めちゃめちゃサイコパスおばさんなんだけど。この人たち。
猫なんて可愛いもんだろ。

「それでね、はるか、メだした。」
「良かったね。」
「まあね。これからよ。」

土からメを出す。おっそろしい。
どれだけ後頭部、ぶん殴られて目がでたのか?
サスペンス劇場だな。オイ。

「秋になったら、あなたにもあげるね。
ねっとり食感で甘み抜群。」
「ありがとう、期待して待ってるわ。」

俺は、どうしたらいいのか、、。
臆病者とののしられてもいい。ここは、そっと逃げるしかない。
ちょうど、いちごパフェも食べ終わった。

帰り際に、彼女たちのテーブルをみた。


ジャガイモ はるか
サツマイモ ベニはるか

二人のテーブルには、プリントされた植物の写真があった。
よかった、芋だった。

大きく育て!
そしてあいつらに食われてくれ。はるか。

                             おわり

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