現地調査の話①-フィールドワークとは-

 フィールドワークとは調べようとしている"現場"に出かけて、当事者である人々と密接な接触を保ちながら行うタイプの調査です。現場の社会生活に密着して、調査を進める質的(言語データを使った)研究手法であり、近年、社会科学全体において再評価される動きがあります。

 フィールドワークには現場を観察する人文社会科学系のものと、実験室などの室内で行われる自然科学系のものがあります。公衆衛生学や看護学など、主に人を対象にした人文社会科学系のフィールドワークは"関与型フィールドワーク""非関与型フィールドワーク"に分類されます(図1)。

図1 フィールドワークの分類

 関与型フィールドワークには、現場での活動に参加する現場密着型のものや、現場で一次資料を収集するタイプの調査が含まれています。関与型フィールドワークは、現場で起きていることを目の当たりにし、現場の人々の声を直接聞くことができます。そのため、現場を直接見ることのできないアンケート調査などの量的調査と比較すると、より現場の実態に合った調査や分析が可能です。その点が、関与型フィールドワークの強みとも言える点です。

非関与型フィールドワークは、現場の人々とは関係を持たず、アンケート調査を行ったり、現場を訪れて観察するだけの調査方法があります。また、図書館や資料館などで、文献や資料を収集することも非関与型フィールドワークの特徴です。


 私が強く関心を持っているのは、関与型フィールドワークの方です。なぜなら、事前の調査が不完全なままのアンケート調査では、本当の現場の実態に促していないことが多く、本当の問題を把握することは困難であると感じているからです。

 もちろん、関与型フィールドワークは現場の活動に身を置くこととなるため、現場の人々との関わり方が、調査の様々な段階で難しくなることがあります。調査者は、そのような困難を経験しつつ、現場で何が起きているのか明らかにしていくことが求められます。

 そのため、現場に入って人々と直接語り合い、現場の社会や文化を体験することが、現場の問題把握や解決の第一歩であると信じています。今後も、問題解決の手法として、フィールドワークが活用していきたいと考えています。今後、随時フィールドワークの方法やまとめ方などについて記事にまとめていく予定です。

参考文献
佐藤郁哉. フィールドワーク-書を持って街へ出よう-. 新曜社. 2008
佐藤郁哉. フィールドワークの技法-問いを育てる、仮説をきたえる-. 新曜社.2007


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