台湾放浪記 Day6 グラビアとアイドルとアヒル【高雄/台北:駁二藝術特區→光榮碼頭→鹽埕埔→左營→饒河街觀光夜市】
朝の憂鬱
台湾6日目。
今日は高雄から台北に戻る日だ。
前日の小琉球でのバイクと夜の高雄巡りの疲れが色濃く残っているため、ゲストハウス2段ベッド上段に散乱した私の荷物を片付けるのが非常に億劫に感じる。
荷物をパッキングしながら、これまでの高雄滞在の中での現地の人ととの交流を思い出して、全ての出会いが愛おしく思えてきた。
もっと中国語を話せたらよかった...
中国語を勉強してもっと深い話をしたい...
このまま高雄の語学学校に入学してしまいそうな勢いである。
そんな傍目から見たらよく分からないであろう感情を押し殺しながら高雄を出る準備をする。
今日の台北行きの新幹線は午後。新幹線の時間まで、この2日で回れなかった高雄の街を観光することにした。
駁二藝術特區(芸術特区)
駁二藝術特區(芸術特区)は若い高雄の学生に創作発表の場を提供しており、高雄でもっとも人気のある文化スポットだ。特区内では不定期でさまざまな芸術文化イベントが催されており、多くのアート作品を見ることができるエリアである。
数年前にここを訪れた時は、確か音楽フェスをやっていたような気がする。
先鋭的なモニュメントと絵画
芸術特区を歩いていると、至るところに先進的なモニュメントが設置されている。日本人の感性とは少し異なる作品で非常に見応えがある。
立派なイチモツ的アートも日本ではアウトな作品だろう。
それが許される台湾の緩さというか、素直さというか、普段からユルユルな私の感性と非常に合っていると感じた。
建物の壁に描かれた絵も色合いが鮮やかで目を引くものがある。
近未来の台湾新幹線を描いたものであろうか。
この未来を見据えてる感じがいいよね…
芸術に疎くて美的センス0の私であるが、この壁に描かれた絵を見て素直に綺麗だと思った。
グラビアモデルと怒りのカメラマン
芸術特区の倉庫街を歩いていると、露出度の高い服を着た女性を複数のおじさんカメラマンが取り囲んでいた。
どうやらグラビア撮影中のようだ。
普段は女性に関心はないのだが、野次馬根性で写真撮影現場に近寄ってみる。するとカメラマンが怒りの顔か大声で何かを言ってきた。中国語はよくわからないがとりあえず「邪魔すんな」ということは彼の鬼の形相から伝わってきたので、とりあえず日本語で「朝から声でかいんじゃ」と爽やかに日本語で伝えてその場を去った。
こういう時は笑顔で言うのがトラブルを防ぐコツである。
台湾ダンスグループとの出会い
倉庫街を抜け、港を目指していると爆音で音楽を流してダンスしている女性の集団を目撃した。
普段は女性に関心はないのだが、ダンスが非常に上手なので近くに寄って見学することにした。どうやらK-popアイドルのコピーダンスをするグループのようである。少し体格大きめのカメラマンが彼女達の周りを駆け回りながら撮影している。
ダンスはキレキレでなかなかに目を見張るものがあった。
普段は女性に関心はないので下心はないのだが、撮影終了後に彼女達に話しかけてみた。
急に声をかけたきたどこの国のやつかも分からないオッサンに対して、彼女達はノリノリでお話ししてくれた。
Terp Siiは高雄在住の10代後半から20代前半の女性で構成されるコピーダンスグループとのこと。
ちなみに台湾では同じようなダンスグループが多いらしい。
そして別れ際に記念撮影までしてくれた。
もっと仲良くなりたすぎて、今すぐ高雄の語学学校に入学してしまうかもしれない。
素人目線で見てもダンスがキレキレで上手だった。下心なしに日本から応援していきたいと思う。
Terp Siiのオススメ動画はこちら
Terp SiiのInstagramはこちら
光榮碼頭(高雄の港)
Terp Siiのメンバーと別れ、芸術特区から光榮碼頭(港)までやってきた。
現在高雄には大きなアヒル(ラバーダック)が二匹来ている。
このアヒルが高雄に来るのは10年ぶりだ。
巨大アヒルとの再会
実は私は10年前にこのアヒルと高雄で出会っている。
10年前は屏東(ピンドン:高雄から少し南の田舎町)と日本を行き来する生活をしていた。
久々に高雄に来たこのタイミングで久しぶりに再会できたことが非常に感慨深い。
アヒルを無言で見つめながら色々な思いを巡らせていると、同行している二人が私から離れていった。きっと私のアヒルを見つめる目が非常に気持ち悪く、仲間と思われたくなかったのだろう。
冷静に考えるとただの大きなアヒルが海に浮かんでいるだけなのだが、それを忘れさせるほどアヒルがかわいい。だからなのか、アヒル見学に来た台湾の方々で港が埋め尽くされ、多くの方が写真撮影に興じていた。
「みんなそんなにアヒルが好きなのかな?」
疑問に感じてはいけないような感情を抑えつつアヒルに別れを告げ、港を後にした。
鹽埕埔(ヤンチェンプー)
ちょうど昼飯時でお腹が空いてきたので、LRTとMRTを乗り継いで、港から少し離れた鹽埕埔までやってきた。鹽埕埔は高雄の街中から少し離れたエリアなので人も少なくゆっくりご飯を食べれると思いきや人が多い。
確かに美味しいご飯屋さんが多いエリアだったからな...
とりあえず何か食べたいと思い、美味しそうな匂いのする路地裏へ。
路地裏の小籠包
駅から少し離れた路地裏で屋台で小籠包を売っているお店を発見。そういえば以前ここに来た気がする。当時はご老人二人で商売されていた気がするが、今日は老人は一人だけで代わりに若い男性が小籠包を蒸していた。
以前来たのも数年間だから色々あるよなと思いつつ、若い店員さんに注文。
路地裏に設置されたテーブルに腰掛けてしばらく待つと小籠包が運ばれてきた。
皮を破った瞬間溢れ出る肉汁の香りがたまらない。スプーンで肉汁を受けながら小籠包を口に運ぶ。
おいしすぎる
そういえば今回小籠包を食べていなかった。
この味を久しく忘れていた。
一部の界隈では小籠包を食べないと出国できないと言われているし、台湾に来たらやっぱり食べとかないとな。
路地裏の小籠包屋はこちら
行列のできるワンタンメン
小籠包だけでは満腹にならないため、近くのワンタン麺屋に入ることにした。お昼時なだけあって数人の行列ができていたが10分くらいで入店することができた。
席に通されワンタン牛肉麺を注文。冷蔵庫にお惣菜もあったので、店員さんに声をかけ冷蔵庫からとってくる。この時点で身体がアルコールを欲してきたので、ビールも購入。
お惣菜をアテにしてビールを飲んでいるとワンタンメンが来た。
大きめのワンタンで中から肉汁が溢れてくる。旨味が十分で、並んででも食べる価値がある逸品だった。
ワンタン麺を食べていると高雄のゲストハウス「あひる家」のオーナーSさんがやってきた。私が今日台北に戻るため、会いに来てくれた(嬉しい)。
"Die with zero"を信条とするSさんらしいコメント。
近い将来、本当にそうなるかもしれないなと思いつつ、今回は台北に戻ることに。
折角なので、Sさんと一緒に食後のスイーツを食べにいくことにした。
ワンタンメンのお店はこちら
ハトムギかき氷
路地裏を少し歩いてSさんオススメのかき氷屋さんへ向かう。
この日の気温は25℃くらいで、朝から歩きっぱなしだったので、冷たいものを食べたかった。
路地裏にお店を構えるかき氷屋には多くのお客で混雑していた。
なんとか座ろうと、様々な場所に散っている椅子をかき集め、我々のテーブルを確保した。
注文したかき氷は氷の上にハトムギと蜜がかかっていた。
甘さ控えめの蜜で食後のデザートとしてちょうどいい味だ。
横に座っていた全身にゴリゴリのタトゥーの入ったお兄さんが、こんな素朴なかき氷を一人で食べているギャップに高雄らしさが現れてるなぁと感じた。
そんな光景が愛おしい。
かき氷屋はこちら
その後あひる家のある美麗島に向かい、Sさんが経営するラーメン屋を見学。多くのお客さんで大繁盛しており、Sさんの成功っぷりを目の当たりにした。この成功もコロナ禍中であっても、負けずに一つのことをやり切ったSさんの努力と奮闘があってこそなんだろうな。
まさに今しかできないことを続けた結果なんだろう。
またSさんに会いに高雄に来よう。
Sさんの経営するラーメン屋はこちら
左営から台北へ
Sさんはこれからラーメン屋でチャーシューを切りに行くと言うので、Sさんと再会を誓い合い、別れることに。
最後に「チャーシューを切れるのは俺だけだから!」という謎の言葉を残してSさんはラーメン屋の奥へ消えていった。
そして新幹線に乗るために、乗車駅であるMRTで左営駅に向かう。
鶏肉飯、再び
同行してくれているNさん、Uさんがもう一度高雄初日に食べた鶏肉飯を食べたいと言うので、再訪することにした。
この二人はこの鶏肉飯の中毒性にやられてしまったのかもしれない。
カウンターにいる店員の婦人に注文し鶏肉飯を受け取る。
やっぱり美味しいな。
またこれを食べに帰ってこようと心の中で誓って、台北行きの新幹線に乗り込んだ。
鶏肉飯のお店はこちら
饒河街觀光夜市で夜市飯
新幹線から降りると、まるで違う国かのように冷気が身体を襲ってきた。
台北の気温は15℃前後。
そりゃ寒いはずだ。
半袖短パンで過ごせた高雄にもう帰りたくなっている。
今日は台湾帰国前の最終夜なので、折角だからと夜市で夕飯を食べることにした。
そして松山の饒河街觀光夜市へ。
生煎包、焼きエリンギ、他にもいくつかの夜市飯を食べた気がするけど、この時点でビールの飲酒量が10缶を超え胃がオーバフロー状態。
食べるのほどほどにして夜市を後にした(外は寒いし)。
宿に帰って明日の帰国に備えるために就寝した。
Day6 所感
今しかできないことをやる。そんな簡単そうに見えることができない自分がいる。
それはなぜなのか?
それはおそらく今しかできないことの先が定まっていないからなのかも。言い換えると自分が何者になりたいのかが見えていないから。
若い時は目の前の興味あることだけをやるだけで道が開ける感覚が確かにあった。だがアラフォーになった今、その感覚は薄くなってきている。だから、やりたいことに対して慎重になっているのだろう。
そんな慎重さなんか取っ払って目の前のことに集中して取り組んで「やり切る」経験を積んでいきたいと感じた。
そんな高雄での出会いと経験。
ここが私のorigin(原点)だ。
次回最終日 台湾との別れ編に続く
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