あお

子供に憧れる20代女子。好きなものは子供が主人公の映画、夢がある人、空の写真。

あお

子供に憧れる20代女子。好きなものは子供が主人公の映画、夢がある人、空の写真。

最近の記事

何者

何者にもなれなかった夜。 誰かが何者かにしてくれるんじゃないかと彷徨っていた。 水と泡の中で溺れている。自分の息で視界が見えなくなる。 そのまま底に沈んだらきっと誰にも見つけてもらえないんだろうな。 3年前、誰かに見つけてもらいたくてこの街に出てきた。 憧れの人を胸に抱いた10代の私。 そうだ。好きな音楽を聴くと、あの頃に戻れる。 あ、やっぱりまだ頑張れる。守ってくれる人も誰もいないけど。 人気のない街に一人踏み出してみる。磨かれてないままの輝きを見せつけるた

    • 戦争はなくなっても

      戦争はなくなっても 自分で自分を殺してたら 意味がないよね

      • 小説『ワンルーム』③

        私の家には床に座ることを想定した何かはない。私はいつもベッドの上から動かないから、意味がないのだ。 「座っていいよ、ベッドの上」 そう言うと女は素直に、ベッドの上にそのまま腰掛けた。私はそのまま突っ立っていた。 女はヒクヒクとしゃっくりを仕出した。10秒に一回くらいの高い頻度で出現する。びっくりさせるか、上を向くかの二択で今までしゃっくりを止めてきた私だが、どちらの提案もこの女にはできそうもない。 冷蔵庫に飲みかけの500mlペットボトルの水を入れていたのを思い出した。

        • いつかの備忘録の歌詞②

          素直に言葉にすると 裸の心が溢れそうで 目遣いで誤魔化してた  小さな日々     ある朝その灯火は  気付かないままに消えていた 次の日も見える世界は 残酷だった こんなことが続きながら  刻が続くんだな 繰り返して巻き戻る いつもいて欲しいんだよ これからもずっと 泣いて笑って怒ったり 悲しみはそっぽ向いて 後で見返すんだ 昔大人に聞いたんだ 小指に結んだ縁の証   見えないから大事なもの 眼に留めた ゴミになって落ちていた 記憶の破れ端集めて パラレ

          自分

          自分のことがよくわからない。自分なのに。 少し前ならわかった気がするのに、思い出せない。 何が好きで、何が食べたいのか。誰が好きで、どこへ行きたいのか。 心が空っぽ。 今が楽しい気がするのに、よくわからない。自信が持てない。 私はどこで探せば見つかるのだろう。

          小さな君へ。

          たまには君の小さな足跡を辿ってみたい。 君は何を考えているのかな? たまには君の臭いお尻を嗅いでみたい。 君はムッとした顔をして逃げ出すかな? たまには君と同じ夢を見てみたい。 どうせくだらないことだろうけど。 君の死ぬ時くらい一緒にいたい。 でも君は勝手に死んじゃうんだろうね。

          小さな君へ。

          やりたくないこと

          変化のない生活 普通の人生 お見合い 勉強 つまらない話を聞くこと 束縛されること 毎日同じものを食べること メンヘラのお世話をすること 周りの目を気にしながら生きること 上の人に気をつかうこと

          やりたくないこと

          いつかの備忘録①

          こんな夢を見た。 私は家にいるのが苦痛だった。 母の金切り声。父の暴言。一人暮らしをしたくても、親は私を引き留めた。お金の当ても頼れる当てもある訳じゃない。時間は淡々と過ぎていく。 私は金魚を飼い始めた。昔、お祭りで金魚すくいをした時、屋台のおじちゃんが入れてくれたような小さなビニール袋に入っていた。昔使っていた水槽を物置から取り出した。汚れていた砂利と水草を丁寧に洗った。 綺麗な水を入れた。そして、ビニール袋の中の金魚を水槽に入れた。 赤いヒレをひらめかす様はとて

          いつかの備忘録①

          心の闇

          人の心には必ず闇がある。 明るく、テキトーに見える、あの人にもある。 人の心の闇を見るのは簡単なことではない。 偏差値70くらい。 私だって人に言えないことだってある。 何かできることってあるかな? 多分、横にただ寄り添って心配してあげることくらい。 だから、闇がポロってこぼれ落ちたら、大切に拾ってあげようね。

          東京

          東京は夢が飽和している。 「ああ、歌手になりたいな」 「ああ、俳優になりたいな」 「ああ、お笑い芸人になりたいな」 「ああ、漫画家になりたいな」 夢がごちゃごちゃになって、東京を作り出しているのかもしれない。 「いや、東京にだって夢のない人がいるさ」 そういう人もいるかもしれない。 濁ったビルを見上げながら「そうなのかな?」と問いかけてみる。 あれ、下を見るとアスファルトの片隅に小さな青い花が咲いてる。 これが、私たちなのかもしれない。 あれ、もう少しで青い空が

          くだらないって素晴らしい

          くだらないことこそ、素晴らしい。 仲間内しかわからないギャグ。 寝っ転がって好きな人の似顔絵を描いたり。 毎日綴る誰にも見せない夢日記とか。 くだらないことは楽しい。 視聴回数10回の動画を毎日上げてみたり。 嫌いな上司に賞味期限切れのチョコをあげてみたり。 髪の毛の癖毛を探し出して机の上に並べてみたり。 くだらないことは自分だけにしかわからない。誰にも理解されなくなっていい。 だから、わたしもくだらなくていいし、君もくだらなくていいんだよ。

          くだらないって素晴らしい

          詩『わたしの好きなもの』

          好きなものがある人を尊敬する。 好きなものがある人は目が輝いてる。 ついでに、心も体も。 好きなものは誰にも壊されないもの。 美しく、尊い、繊細なもの。 心の羽の中で、大事に守っている。 心が溶けそうなときは、好きなものをそっと取り出してみる。 好きなものは老けることなく、永遠に、純粋なまま。 私は私を取り戻す。 そして、すぐに元に戻してしまう。 好きなものは壊されない。生まれた時の姿のまま。

          詩『わたしの好きなもの』

          小説「ワンルーム」②

          ピンクの自転車は3日に一度くらいの頻度でしか置かれていなかった。 たまに帰ってきているのを見るとなんだかホッとした。自転車についたラベルから、同じ大学の大学生だということがわかっていた。 オートロックを開けて、階段を上がる。部屋に入ると、洗濯物の部屋干しのせいで湿気がすごい。 すぐベッドに倒れ込む。隣の部屋からトイレを流す音が聞こえる。このアパートは壁が薄い。そのまま記憶がなくなった。 メイクを落とさずに寝ると肌が3歳老けると言う。それも入学してから1ヶ月で、10回は

          小説「ワンルーム」②

          小説『ワンルーム』①

          片道1時間半。 新幹線はガタゴト揺れることもなく、まるで瞬間移動したかのような時間の流れすら感じさせない。 夢に見た街、東京だった。 父さんには「東京なんか行ったら田舎もんはいじめられる」と何度も言われた。しかし、そんなもんへっちゃらだと思った。受験鬱に耐えながら毎日10時間の勉強を重ね、ついに夢叶った。 西武新宿駅にたどり着くまで、新宿で2時間彷徨った。最終的に新宿アルタの店員に半笑いで道案内され、やっと電車で一息つくことができた。 「『各停』しか止まらない駅だ」

          小説『ワンルーム』①