どうする!はいはい赤ちゃんとの生活

 ひなちゃんがはいはいを獲得し1ヶ月が過ぎた。よりいっそうはいはいは高速化し、大人たちの対応にも変容が求められている。
 ひなちゃんは大人の動きをよく見ている。一瞬開いたベビーゲートから台所へ入ろうとしたり、リビングのドアが開けば玄関に移動し、ミッフィーの玄関マットの端にあるタグを口でハムハムかじろうとしたりと、
「うわー、それはだめだー!止めてー!」
と言いたくなることをあえてする。
 何度となくベビールームと化したリビングにそんなひなちゃんを連れ戻さなければならず家事も進まない。
 はいはいで移動した先では、棚にしまってあるおむつをファサファサと大量に引っぱり出したり、おもちゃ箱をガチャガチャとひっくり返したりと、部屋を荒らしまわる。まるでちびっこギャングのようだ。
 対処法も特には無い。最近はただただ散らかっていく部屋をそのままにして過ごすことが増えた。なるようになる、ありのまま成り行きを見届ける「Let It Be」の精神だ。
きれいに片付けたところでどうやったって散らかす。せいぜい喉に詰まりそうなものや食べてはいけないものをひなちゃんの立ち入るエリアに置かなければ良いかという結論に至った。
 はいはいで移動するようになってから、様々な場所に頭をぶつけたり、隙間のような狭いスペースに入り込むようになったりと、私たちからすると何の問題もない場所がひなちゃんのような赤ちゃんからすると、危ない場所へと変わることに気づいた。
 そこでとがった角には緩衝材を張り、触ってはいけないコンセントのあるテレビ台の下には入れないよう網も取り付けた。
 家の中での私たちの行動も改善した。
 ひなちゃんは今までのようにおとなしくお布団やハイローチェアになど留まっていてはくれない。ひなちゃんは、家中興味のあるところへ移動し床で座って遊んだり、うつぶせのまま休んだりしたら、また別の場所へと移動する。気ままというよりも私たちからすると神出鬼没である。そのため、どこにいてもひなちゃんを踏んでしまわないよう脚を極力上げずにゆっくりと歩いて生活するようになった。強制的かつ物理的なスローライフだ。
 あまりにもひなちゃんが静かな時は、
「ひなちゃーん」
と声をかけ反応を待ったり、暫く立ち止まり、ひなちゃんの呼吸音を聞いたりして居場所を特定する。
 ここまで私たちの対応を書いてきたがひなちゃんのはいはいにも改善の余地がある様に感じる。ひなちゃんのはいはいはまだまだおぼつかないのだ。
頭が重く、バランスを十分取れない状態で勢いよくはいはいをする。結果、手や足が絡まって頭から床に突っ込んだり、横に倒れたりする。自分の速度と体の機能が追いついていないのだ。
明らかなはいはいのスピード違反であり、自主的な速度規制をしてもらいたいものだ。
 だが、赤ちゃんのはいはいにいちゃもんを付けるというのも大変大人げない。こちらができる限りの安全対策を行ないつつ成長を気長に待てたらと思う。

 番外編
 ひなちゃんをうっかり踏んでしまわないよう安全対策を考えている時、いっそのこと私も移動手段をはいはいにしてみようかと思い立って10分くらい試してみたがこれは失敗に終わった。
 ひなちゃんがはいはいをするようになり、少しお腹周りが閉まってきたことから、
「あら!これなら私も痩せられる?安全対策にもなってダイエットにもなるなんて一石二鳥じゃない!」
などと正直打算的な考えもあった。あまりにも浅はかであった。
 まず、はいはいでは物が持てない。洗濯物を脱衣場のかごまで持っていくにも首で挟まなければならず、何度も落とし、時間がかかってしまった。
 さらに扉が開けられない。結局1度立ち上がりドアを開けなければならなかった。
 何よりもはいはいでは床についた膝が痛くて我慢できなくなった。このままでは膝用のサポーターやコンドロイチンの購入まで検討しなければならなくなる。あまりにも出費が加算でしまう。
 はいはいは、私にとって非常にデメリットが多いためあえなく断念した。

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