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1minute七十二候 鴻雁北(こうがんかえる)

晴明<次候>
4月9日から4月13日頃

春が深まるこの時期、自然界では多くの生き物たちが活発に動き出します。その中でも、雁(かり)の帰行が始まります。冬を日本で過ごし、北のシベリアへと戻っていく雁たち。その名は「カリカリ」という独特の鳴き声から来ていると言われています。雁の姿は、別れと再会の季節の移ろいを感じさせてくれる存在です。

一方で、文化の面では「十三参り」という重要な行事が4月13日頃に行われます。関西地方を中心に、数えで13歳を迎える子どもたちが、知恵と福徳を授ける虚空蔵菩薩にお参りをし、成長の一歩を祝うのです。特に有名なのが京都の法輪寺や大阪の太平寺。参加する子どもたちは、それぞれの願いを込めた一文字漢字を半紙に書き、お身代わりとして奉納します。この漢字には「知」や「美」「友」「夢」といった、彼らの希望や夢が込められています。この行事では、13種類のお菓子である「十三智菓」をいただいたり、新しい数珠を購入するなどして、家族全体で13歳の節目をお祝いします。13歳という年齢は、自分が生まれた干支が一巡りして戻る特別な時。小学生から中学生へと大きく成長するこのタイミングで、さらなる成長を願うのです。

虚空蔵菩薩は無限の知恵と福徳を授ける仏様とされ、弘法大師に知恵を授けたという伝説もあります。このようにして、子供たちは大人への階段を一歩ずつ上っていくわけですが、京都の法輪寺では、帰り道の橋を渡りきる前に振り返ると授かった知恵が失われるという言い伝えがあります。まるで、人生をしっかりと前を見据えて歩むように、と教えているかのようです。

自然と文化が織りなす春の訪れは、新たな始まりと成長のシンボルとして、私たちに多くの教訓と希望を与えてくれます。自然の中で旅立つ雁を見送るように、私たちも子どもたちの新たな旅立ちを見守り、彼らが知恵と勇気を持って成長していく姿を支えていきたいものですね。

七十二候ってなに?
日本には一年を24に分けた二十四節気(にじゅうしせっき)と、さらにその二十四節気を3つずつ合計72に分けた七十二候(しちじゅうにこう)という季節があります。
七十二候は鳥や虫、植物、天候などの様子で季節を表現しており、細やかな自然の移ろいを感じることができます。 骨董・アンティークバイヤーとして活躍する傍ら「古き良きものの美しさや、ものを大切に使うことの楽しみ」もご紹介中。 ここでは ゆとりある心づくりのヒントとして、季節の話題を記しています。

What is 72 micro seasons?
In Japan, nature's rhythmic seasons are deeply cherished, inspiring a fascination with the mesmerizing 72 micro seasons. Unlike traditional divisions of four or six seasons, these micro seasons paint a vivid picture of nature's transitions with astonishing precision. Imagine the thrill of witnessing the delicate blooming of specific flowers, the graceful arrival of migratory birds, the tantalizing ripening of certain fruits, or even the intriguing behaviors of animals. This admiration cultivates heightened awareness of the surrounding world, immersing individuals in the mesmerizing beauty and rhythmic harmony of nature's ever-changing tapestry.


written by Yuuki Usami-Nakamoto © antique blue Parrot Co.,Ltd.


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