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「建材業界のデジタルインフラを創る」 ArchiVillageが描く建材業界の未来

スタートアップを工場のように生み出すスタートアップファクトリー事業を運営するBLUEPRINTは、建材分野のDX推進の起爆剤となるプラットフォームをつくるべく、2022年2月に株式会社ArchiVillage(以下ArchiVillage)を立ち上げ、建材商品情報プラットフォーム「建材サーチ」を提供しています。

事業を立ち上げて数ヶ月しか経過していない中、YKK APや三協立山・三協アルミ、四国化成、LIXILなど日本を代表する建材メーカーが参画し、急激に事業を拡大させています。

今回は、「建材サーチ」を立ち上げた背景から、建材業界を変革する戦略について、BLUEPRINT CEOの竹内と、BLUEPRINT Founderの鶴岡に話を伺いました。

建材業界が抱える情報連携の問題

— ArchiVillageを立ち上げたきっかけを教えてください。

竹内:「建材業界のデジタルインフラを創りたい」という思いがきっかけです。

建材業界は、下記の図のような多層構造で成り立っています。施主が家を建てようとしたとき、すべてのプレイヤーが上手く連携しなければ、理想の建築は実現しません。

昔ながらのレガシーな文化が残っている建材業界では、デジタル技術を活用したデータ連携などが、現在でもほとんどできていません。そこで、私たちは、属人化した連携から生まれてしまう連携ミスや納期の遅れ、機会損失などをなくすためにVertical SaaS(業界特化型のSaaS)の立ち上げを検討し、「建材サーチ」のローンチに至りました。

第一歩として、「建材サーチ」に込めたのは「紙カタログを無くそう」という思いです。各メーカーがカタログのデジタル化を独自に進めてきましたが、バラバラでうまくいっていないのが現状でした。

そこで、私たちが第三者の立場で建材業界で共通の情報プラットフォームを作り、求めていた建材商品をより簡単に探せる世界を実現し、建材業界のさらなる発展に貢献していきたいと考えています。

データを使えていないがゆえの非効率

—建材業界の課題を知ったきっかけはなんですか?

鶴岡:BLUEPRINTでは、現場のリアルな意見をヒアリングし、ニーズがあるかを念入りに検証してからサービスの開発を開始します。「建材サーチ」を立ち上げるにあたっても、メーカーや代理店の営業パーソンなど、さまざまなステークホルダー数十人に話を聞きましたね。

建材業界のアナログな現状や課題について、リアルな話をたくさん聞き、課題を実感しました。その中でも「建材業界にもAmazonのように、あらゆる建材商品が検索できるサービスがあれば嬉しい」という話を聞いたことが「建材サーチ」の立ち上げのきっかけになっています。

—DXが進んでいない建材業界では、具体的にどのような問題が起こっているのでしょうか。

竹内:メーカーに対する問い合わせの量が多く、対応に時間がかかってしまう問題です。膨大なページ数の紙カタログを見ながら、大量の問い合わせに対応していくには途方もない時間がかかります。

メーカの営業の価値のある提案活動に時間がかけられていないのです。

—そんな課題を解決するための「建材サーチ」のサービスについて教えてください。

竹内:「建材サーチ」は、各建材メーカーの建材商品の情報を1つに集約する総合プラットフォームです。ECサイトのような高い検索性により、目的にあった建材情報を早く、的確に検索できます。

建材サーチは、ひとことで言うと「今までにないデジタルカタログ」です。しかし、デジタルカタログはあくまでも入り口であり、最終的には建材のマスターデータベースのようなサービスを目指しています。各社の建材商品に関する情報が集約したデーターベースを作り、それをもとにカタログやECなど、連続性のあるサービスを構築するのです。

今までメーカー各社が進めてきたデジタル化は、カタログのpdf化程度です。単なるpdfでは、建材商品の価格が上がった場合、情報の更新が難しくなってしまいます。データベースを作れば、全てが一括反映され、さまざまなサービスとの連携も容易になります。

このように、今までにない価値を提供するデータベースを作り上げ、最終的には建材分野のあらゆる業務が完結できるようなプラットフォームを目指していきたいと考えています。

立ち上げ半年で1億円以上の契約|BLUEPRINTの事業立ち上げの成功の秘密

—2月にArchiVillageを立ち上げ、建材サーチをリリースしてからすでに1億円以上の契約を獲得しています。成功のポイントは何なのでしょう。

竹内:まずは、サービスそのものが持つ価値ですね。建材業界が抱えていた課題は、情報の検索性が低く、知りたい情報・必要な情報にすぐアクセスできないことでした。

こうした課題を解決するためには、「このページにいけばこの商品に必要な情報が全て載っている」という状態を作る必要があります。それを実現したのが「建材サーチ」で、「調べやすく、必要な情報がまとまっている」というコアな価値を提供しています。

また、代理店との連携を強化し、サービスの持つ顧客価値の検証を重点的に行いました。鶴岡から話があったように、ステークホルダーを洗い出し、実際にサービスを使う代理店など20社以上にヒアリングしました。徹底したヒアリングで、使う人にとって本当に価値のあるサービスなのかを検証したのです。

そして、ヒアリングで得た「実際にサービスを使う人の声」を営業に生かしました。メーカーが売上を上げるためには、代理店がメーカーの建材情報を調べやすい環境をつくることが大切です。

代理店が本当に使えると感じてくれるプラットフォームを作れば、メーカーの売上が上がるのです。このような「プラットフォーム化するメリット」を、ヒアリングの結果をもとにメーカー各社の担当者にしっかりと伝えられたことが大きいと思います。

このような取り組みが、事業の急拡大につながったと思います。得た売上は「建材サーチ」のさらなる発展のために再投資し、サービスをより進化させていきます。

住宅産業のデジタルインフラを創り、業界を活性化させる

—ArchiVillageで働くことの魅力を教えてください。

鶴岡:Vertical SaaSでは、顧客数が少ない分、価値をどれだけ多層に積み上げられるかがポイントになります。そのためには企画力を高める必要があり、企画力は一次情報をどれだけ取れるかに依存しています。ArchiVillageは、既にエクステリア領域でシェア80%と、トップシェアを獲得している企業です。それゆえ、多くの顧客と接し、一次情報が取りやすい環境と言えます。

さらに、BLUEPRINT自体の資本も活用できるため、大胆な仕事ができる環境です。

また、第三者的な立場だからこそ、大規模なプラットフォームを作れるポジションも、非常に面白いと思いますよ。

—ArchiVillageで実現したい世界のビジョンを教えてください。

竹内:建材業界にみんなが関心を持つようになってほしいです。そのためには、家の建築やリフォームなどを活性化させる施策が必要です。

その大きな一助となるのが、デジタルインフラです。デジタルインフラには、圧倒的な情報伝達力があります。食べログが普及したことで、外食が浸透したように、私たちが建材業界におけるデジタルインフラを作ることで、建材業界を盛り上げていきたいですね。


鶴岡:最終的には、全ての建材商品を調達できるAmazonのようなECの構築を目指したいです。ただし、シンプルな小売りと違い、建材業界ではさまざまなステークホルダーが複雑に存在します。業界の構造を理解したうえで、どれだけコアな価値が提供できるかが鍵になります。プラットフォーム上で商品設定や見積もり、発注・支払いなど、さまざまな業務を一気通貫で行えるサービスにしたいです。

ステークホルダーにとって余計な業務を減らすことで、本質的に価値のある仕事に割ける時間が増加します。それこそが、建材業界全体のパイを増やしていくことにつながると思います。

おわりに

今回は、BLUEPRINTが立ち上げたスタートアップ、株式会社ArchiVillageについてのインタビューをお届けしました。

ArchiVillageは、建材業界の活性化を目指し、唯一無二の総合データベースを作り上げています。エクステリア領域でトップシェアを誇り、BLUEPRINTの資本も活用できるArchiVillageだからこそ為せるチャレンジングな仕事が、みなさんを待っています。

現状の仕事に退屈し、チャレンジする機会に飢えてしまっている方、自身の価値を最大化した先に見える景色を見てみたい方は、カジュアルに話をさせていただければ嬉しいです。