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ヨモギを摘む夢を見たんだ。

ゴールデンウィークの前半のある夜、ヨモギを摘む夢を見た。
旅先のキャンプ場だったし、あまりにリアルで予想もしないようなシチュエーションだったので、その日の午後になる頃には、夢だったのか現実だったのかわからなくなっていた。

車の中で夫に聞いた。
「私、最近、ヨモギを摘んだって言ってたっけ?」
「え?何それ?ヨモギ?」
これまで私の口から出て来たことのない「ヨモギ」というワードが理解できないようで、夫は聞き返してきた。
「ヨモギを摘んだ夢を見たと思ったんだけど、現実のことだったような気がしてきて……」
「いや、ヨモギを摘んだとは聞いてないで」
「そっか、そうやんね。やっぱり夢やったんやな……」
なんやそれ、変やねと、そんな会話をして終わった。
ちなみに私は子どもの頃以来、ヨモギを摘んだことはないし、最近特にヨモギと関わるようなこともなかった。テレビやネットでも「ヨモギ」に関するニュースを見た記憶がないし、ヨモギ餅もヨモギ団子も食べていない。
だからとても不思議だった。

それから数日後、ゴールデンウィークの後半は仕事で群馬県へ行った。1日目は飲食店の取材だった。
店主の男性が一人で切り盛りしている、こじんまりとした居酒屋。地元の食材や添加物の入っていない調味料などにこだわっているという。味噌や塩麹、醤油麹のほか、お酢まで自分で手造りしているという徹底ぶりだ。
さらに、ネズミモチという植物を取って来て、すりつぶして練って、丸薬までこしらえていたのには驚いた。この丸薬は「母親の健康のため」とのこと。(1粒もらったが、苦かった)

そんな取材後のたわいもない雑談をしながら、店主は私たちにお茶を出してくれた。自分は緑の葉をミキサーで攪拌し、搾り汁を飲んでいる。青汁かなと思いながら、「それ、何ですか?」と訊いてみた。

「あ、これ~?ヨモギです」

ビクッとした。
出た!ヨ・モ・ギ!!

「毎日摘んできて、搾って飲んでるんですよ」
店主はミキサーの中に残っていた搾りカスを私の目の前に置き、「この搾りカスは乾燥させて、煎って、お茶にする。今飲んでるお茶がそれですよ」と言ってにっこりした。
確かに薬草のような味がするな、とは思っていたが、まさかヨモギ茶だったとは……。
「健康にいいんですか?」と尋ねると、「うーん、なんかそんな気がするから、毎日摘んできて飲んでる。あ、白髪はなくなったよ」と言う。
確かに店主の頭髪は黒々としていたし、年齢を聞けば「今年で50歳」だというが、とてもそんなふうには見えないほど若々しかった。(30代後半と言われても納得したと思う)

しかし、こんなところでヨモギを摘む人に出会い、ヨモギ茶を飲むことになるなんて、あれは予知夢なのか、何なのか。
「ヨモギ」という不思議なワードを抱えたまま取材のお礼を言って店を出た。

移動中の車の中でクライアントとカメラマンさんにその話をしてみた。
「つい先日、ヨモギを摘む夢を見たんですよ。そしたら、さっきヨモギ茶が出たからびっくりして……」
「え~?なにそれ?おもろいな」「そんな夢見るんですね」「それはもう摘みに行くしかないんちゃう?」「白髪なくなるのはいいですよね」などと言いながら、2人とも笑っている。
私も「ほんま、そう」と相槌を打ちながら、スマホでこっそり「ヨモギの効能」を調べていた。メインの効能ではないが、最後の方に見つけた。

「ガンの予防」「抗がん作用」

帰って夫にそのことを話すと、「それはもうヨモギを摘むしかないやろ」と息巻いている。「かおりは時々、巫女的な力を発揮するからな。直感に従ったほうがいい」と。
私もそう思った。いつも自分の直感を信じて動くと、だいたいそれは吉と出るのだ。体のことだけでなく、仕事でも夫との出会いでも、私は何度も自分の直感で奇跡を起こしてきた。

よし、ヨモギだ!ヨモギを生活に取り入れよう。
そう決めたものの、近所でヨモギを摘める場所はわからないし、調べてみると3月~5月が旬とのこと。
とりあえず、市販のものでもいいからヨモギ茶を飲もうと決めて、Amazonで品質の良さそうなヨモギ茶を選び購入した。それから3週間ほど毎日ヨモギ茶を飲んでいる。

もう旬の時季は過ぎてしまったが、来年の春はヨモギを摘みに行こう。それまでは市販のヨモギ茶を続けてみようと思う。
ガンに効くかどうかはわからないが、デトックス効果はあるし、体に悪いことはないはず。
それに、あの店主のように、白髪がなくなったら儲けもんだ(笑)。

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