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元気があれば何でもできる!これは本当のことなんだ。

12月から1月にかけてのハードな仕事が悪かったのか、一気に体調を崩した。仕事の「量」ももちろん関係あるが、1つクライアントとの折り合いというか、コミュニケーションがうまくいかない案件があり、そのことが自分にとってはかなりのストレスになっていたのだと思う。
入稿が終わった後も何かスッキリせず、気持ちと並行して体調も悪くなっていった。

なんとかしなければと、お酒も飲まず、早寝早起きやウォーキングを心掛け、瞑想して心を落ち着け、日々穏やかに過ごしていると少しずつ良くなってきた。
これなら大丈夫というところまできたので、三連休の2日間は今年初のキャンプ(デイキャンプではなく泊まる)に行った。天気もよくぽかぽか陽気だったので、体調も良好で楽しく過ごせた。

しかし、はしゃぎすぎたのか、日曜日はダウン。
快晴から雨になり、急な気圧の変化も悪かったのだろう。下腹部の痛みがひどく、倦怠感もあり、朝から一日寝込んだ。
痛みが気になって他のことが一切できず、パソコンに向かうことも本を読むこともできない。ただ寝て、ぼんやりテレビを見ていた。

その間、普段は何もしない夫がいろんなことをしてくれた。三食料理をし、洗い物をし、お風呂掃除をしてお湯をためてくれた。
いつもは夫が「何もしないこと」にイライラしたり、時にはキレたりする私だが、寝ながら薄目で夫がぎこちなく動くのを見て、自分でいろんなことを「してあげられること」がどれほど幸せなことか気づいた。

最近、切実に思うのだ。「元気になりたい」と。
昔のように元気になりたい。
だって、元気があれば何でもできる。
これは本当だと、病気になるとよくわかる。
やりたいことができないこと、思うように体が動かないこと、人にお世話をしてもらうことが、どれほど悔しいか。
もっと書きたいし、もっと本も読みたいし、もっといろんなところへ出かけたいし、もっとお酒も飲みたい。
おいしい料理も作りたいし、家もピカピカにしておきたい。
そんなこれまで「当たり前だったこと」が、しんどくてできないのは、とても辛い。
人が「当たり前」だと思っていることは、実はちっとも「当たり前」じゃないんだと思う。ものすごくありがたいことなんだ。

私の場合、どこかが痛くて体が動かない時は、嫌な想像しかできなくなる。

体中にがんが転移しているんじゃないだろうか。
こうやって痛みに耐えながら死んでいくんじゃないんだろうか。

次第に痛みよりもその考え、その恐怖に、押しつぶされそうになるのだ。
痛みと恐怖に耐えている時、ネガティブなおもいをはねのけて、「いや、そんなことはない。絶対にない。元気になる!!」と自分を奮い立たせることは、人が想像している以上にパワーがいる。

でも、私が暗い顔をしていると、夫が言う。
「あっ、そんな顔あかん。にこーってして。はい。にこーは?」
「はい、ウシシ、ウシシ、笑おうか。はい、ウシシ、ウシシ」
私はそう言われると、無理やりニコニコしたり、ウシシウシシと笑わなければならない。
でも、不思議だが、無理やり笑っていると、少しだけ体も心も楽になっていくのだ。

日曜日、一日そうやって寝込んで、時折無理やり笑いながら過ごしていたら、翌朝はかなり調子が良くなっていた。
ホッとして遅れていた原稿を書き、午後から取材へ行った。
外を歩いていると、気持ちがシャキッとしたし、体調も良くなっていく気がした。取材も問題なく終えた。

帰りに京都の伊勢丹で夫にバレンタインのチョコレートを買った。
私はあまりバレンタインデーというものを意識していなくて、むしろ「チョコレート業界の戦略に乗せられてはいけない」と思っているくらいで、毎年夫にチョコをあげることもないのだが、今年は何かお礼がしたいなと思ったのだ。

バレンタインとは関係なく、私はいつも人に会う時にちょっと何かプレゼントしたいと思ったら、ベルアメールのチョコレートを買う。
おいしいだけでなく見た目が可愛いので、女子にあげるとだいたい「わぁ~♪」と喜んでもらえるからだ。

夫にもベルアメールのチョコレートにした。
まだ買ったことがないドーナツ型のものを選んだ。

直径4センチくらいのドーナツ型チョコレート

帰宅し、「いつもありがとう」と言って渡したら、思った以上に喜んでくれて、「ずっと飾っとく~!」というから「いやいや、食べてよ」と制したくらいだ。

夜ごはんを食べて、9時からドラマを見ていたら急激に眠気が襲ってきた。取材して神経を使い、人混みの百貨店をうろうろしたせいだろうか。
意識を失ったようになり、私はお風呂にも入らず、そのまま9時半に寝てしまった。
朝6時までぐっすり寝た。

起きたら体が軽かった。
あれ?どこも痛くないし、すごく元気だ。

はりきって、朝から家事をして、仕事をして、今これを書いている。
2月はずっと体調が良くなったり悪くなったりの一進一退でスッキリしない日が続いていたが、今朝は昔のように体が軽くてパワーがみなぎっている。
何より「どこも痛くない」ということが素晴らしすぎて、涙が出てくる。

元気があれば、何でもできる!!
これは、本当なんだ。

今日やれるなら、明日に延ばさない。
目の前にいる人を大事にして、感謝する。
何よりも、今を楽しむ!

それを、私はバカだからすぐに忘れてしまうけど、時々こうやって私の中のがんが痛みや死をちらつかせながら、私に教えてくれる。

怠惰に生きてないか?
文句や愚痴ばっかり言ってないか?
感謝の気持ちを忘れてないか?
眉間にしわを寄せて、ため息ばかりついていないか?

私には、そう言われているように思えて仕方がないのだ。

今日からまた仕切り直しだ。
朝から私が元気にバタバタと動いているのを見て、起きてきた夫が目を輝かせた。

これが2022年の私のバレンタインデー。


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