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はせがわ酒店グランスタ東京店へ。これが令和の立ち飲みなんや。

山形県の酒蔵を取材した帰り、東京駅で降り、構内にある「はせがわ酒店 グランスタ東京店」へ寄ってみた。昨年8月に移転オープンしたと聞いていたが、コロナでなかなか東京出張もなく、まだ行けていなかったのだ。

小売りと立ち飲みスペース。それに、どぶろくやリキュール、清酒を醸造する「東京酒造場」が併設されている。

私はまず立ち飲みスペースへ。QRコードを読み込んでスマホから注文するシステムだ。withコロナ時代にはちょうどいい。

まず選んだのは「山和spring夜桜ラベル」と酒粕クリームチーズ。
「山和」らしい、控え目な香りと味わいにホッとする。甘みと酸味のバランスの良い、優しい気持ちになれる女性的な酒だ。
酒粕クリームチーズが思っていたより濃厚だったので、少し酒が負けたのが残念だった。(これは私のミス)

2杯目。やっぱりどうしてもこれがあると注文しないわけにはいかない。
「乾坤一 特別純米」
私が家に常備しておきたい酒の1つだ。これこそまさに、ササニシキで醸す酒の究極。地味で華やかさなどないけれど、気づいたらずっと飲み続けている。そんな酒だ。
お腹がすいていたので、「卵焼きと肉団子」という奇妙な一皿を一緒に注文した。そうしたら、この肉団子と乾坤一のペアリングが最高だった。

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最後にもう1杯だけ飲みたくて、久しぶりに「加茂錦 黄水仙」を注文。
しぼりたての生酒ということもあるが、目が覚めるようなフレッシュな発泡感。美味しい!攻めた酒だなぁ!ぜひ若い人に飲んでほしい。
ただ、私にとったら「若い頃なら大好きだっただろうな」と思うような酒。
いろんな酒を飲んで、そこそこ生きた私は、今は「乾坤一」のように主張しない酒に惹かれてしまう。

オッサン思考的に言えば(なぜオッサン?)、若い時は派手でピチピチした女性や、グラマラスな女性を好んでいたのに、いい歳になったら、決して目立たないけれど、凛とした芯のある女性と穏やかに暮らしたいと思う。そんな感じだ。

3杯目を飲んでいる時、ふと周りを見たら、私を含む6人の客が全員30~40代(たぶん)の女性だった。それも全員、私のように一人。
これが令和の立ち飲みなんや。
東京駅構内の洗練された店内で、それぞれ黙ってグラスを傾ける6人。
斜陽産業と言われ、年々国内の消費量は減る一方の日本酒だけど、ここに光を見た。
いつだって流行を決めるのは女性。特に飲食関係はそうだ。
「大丈夫、まだ日本酒は大丈夫だ。」
そう自分に言い聞かせながら、この立ち飲み屋の光景に、目の奥が熱くなった。

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