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一人多重録音・今昔物語(ミキサー編)

(参考リンク)一人多重録音・今昔物語(演奏スキル編)
 
1980年代において一人多重録音を行うためには、楽器の他に、MTR、ミキサー、マイク、エフェクター、ケーブル、その他周辺機器が必要となり、そのどれもが決して安価ではないため、楽器以上の「投資」が必要でした。
言い換えれば、大半のアマチュアミュージシャンは「ライブ活動」に音楽活動の主軸を置いており、そんなもの(録音機材)にお金をかける余裕はなかったので、一人多重録音を楽しんでいたのは、ごく一部のヲタクたちだったと言うことができます。
 
オイラはその「ごく一部のヲタク」の一人だったワケで、自慢ぢゃありませんが、録音機材にはかなりの額を注ぎ込んできました。
中でも高価な機材のトップ2はMTRとミキサー。
 
オイラのMTR+ミキサーの機材遍歴は次のとーり。

1 4トラックオープンMTR+4chコンパクトミキサー
2 4トラックオープンMTR+8chモニターブロック型レコーディングミキサー
3 8トラックオープンMTR+24chインライン型レコーディングミキサー
4 8トラックカセットMTR+24chインライン型レコーディングミキサー
5 16トラックオープンMTR+24chインライン型レコーディングミキサー

ミキサーのブランド、モデル名は次のとーり

1 TASCAM M09

2 TASCAM M308

3・4 TASCAM M2524

5 MACKIE 24・8

当然ながらこれらはすべてアナログミキサー。
当時のミキサーは使用目的によって、「PAミキサー」「レコーディングミキサー」に大別されていました。
主な相違点は、MTRからの信号を入力する専用インプット(=Tape In)が装備されているか、いないか、という点。(装備されていないのがPAミキサーで、装備されているのが「レコーディングミキサー」)
また、レコーディングミキサーは、専用インプット後のルーティングの違いにより「モニターブロック型」「インライン型」の2種類に分類されておりました。
ちなみに、「TASCAM M308」「モニターブロック型」「TASCAM M2524」「MACKIE 24・8」「インライン型」でした。
 
ハッキリ言って、PAミキサーはそれなりの音楽経験者であれば、誰でも扱えるモノですが、レコーディングミキサーに関しては、信号の流れを理解していないと「まったく使いこなせない」リスクがあるシロモノといえます。
 
2000年頃からは、「MTR+レコーディングミキサー」に代わって「DAW+オーディオインターフェース」がレコーディングシステムのメインとなったことにより、レコーディングミキサーは、あっという間に廃れてしまいました。
2023年の今日においては、ヤフオクに出品されることさえ「稀」という状況です。
 
しかし、レコーディングミキサーを使用するに際しての「思考」といいますか、どのようにレコーディングのプランを立てていくか、というロジカルな考え方は、その後のDAWやデジタルミキサー活用にも大いに役立ったので、あの頃の試行錯誤はまったく無駄ではなかった、と述懐する次第です。
 
ところで、現在のオイラは完全に「デジタルミキサー指向」となっていますが、その理由は、アナログミキサー時代に悩まされ続けた「アナログの致命的な欠点」が根拠となっています。
 
アナログ機材(特にアマチュア向けの安価な製品)の致命的な欠点。
それは「ノイズ」
 
アナログ機材を活用するためには、数多くのケーブルが必要となります。
16トラックMTRと24chレコーディングミキサーの場合だと、
・MTRのインプットとアウトプットをミキサーに接続するために32本。
・さらにその間にパッチベイを介在させるとさらに32本。
・ミキサーとエフェクター、パッチベイを接続するために約20本。
・各種楽器(ギターアンプシミュ、シンセ、音源モジュール、ドラムマシン他)の接続用に約20本。
 
100本を超えるケーブルすべてにカナレのようなブランド品を使うわけにもいかず、ノーブランドの安物を大量に使用すると・・・どうしたってノイズに悩まされることになります。
とにかく、アナログ機材を増やせば増やすほどノイズは増えます。決して減ることはありません。
 
また、ケーブル介在によるノイズに加えて「電源ノイズ」も侮れません。
なにせ、パワーオンした途端に、ミキサーに接続してあるヘッドフォンから「サー」という音が聴こえるくらいですから。
 
この頃のトラウマ(?)から、オイラはギターのコンパクトエフェクタを数珠繋ぎにすることに嫌悪感を抱くようになり、アナログ結線が不要な「マルチエフェクター」一択となって現在に至ります。
また、リバーブやディレイ、コンプレッサーといった、従来はアウトボードとしてアナログ結線が必要だったエフェクタが本体に内蔵されている「デジタルミキサー」は大歓迎でございます。
 
2023年の今日、オイラはDAWとオーディオインターフェースの組み合わせで一人多重録音を楽しんでおりますが、40年前の80年代とは隔世の環境であると実感しています。
何よりも、すべての機材をパワーオンしても、ヘッドフォンから「サー」というノイズがまったく聴こえないという状況は、マジでストレスフリーでございます。
 
なんてな。
 

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▼参考リンク
BLUES和也のSoundCloud
GarageMihoのYouTubeチャンネル旧ブログ「だからPA屋なんですってば」のアーカイヴ
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