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子供に中学受験やめさせたら偏差値が30上がったことについて④

やめてよかった。中学受験

さて、中学受験をやめることにし、自分で塾に説明させて退塾しました。

そこから高校受験向けの塾に入りなおすのですが、入塾早々先生に言われたのが「中学受験生によくある、変なクセがついていますので、それを直すことから始めます」とのこと。

何のことかな?と思って聞いてみるとそれは以下の点とのこと
・板書は早いが雑(中学受験塾はとにかく板書が早いらしく、ついていくので精一杯で頭には入っていない)
・ゆえに字も汚い(誤字で計算や漢字をミスる)
・勉強への苦手意識(特に算数。中学受験塾では偏差値30台)

確かにな、ということでお任せをすることにしました。


私の方といえば、まずはボロボロになった子供の自己肯定感を育むことからはじめました。

本人がやりたいこと、ほしいもの(おもちゃやゲーム以外)は自分なりの理由さえしっかりと説明できれば基本的には応諾していきました。

例えば、

スポーツ
小5までは本人が小4のときに読んだスラムダンクの影響でバスケをさせてましたが、ちょうど塾を変えるとともに「これからは野球がしたい」とのことで急遽野球へ鞍替えさせました。
理由を聞くと、「バスケはある程度できるようになったが、得意技がバスケ1本では心もとないので、野球も身に着けてスポーツの得意分野を増やしたい。しかも本人がネットで調べたらアメリカの学生は複数スポーツを行うのも一般的だとのこと」


小さなころから興味の行き先がラッキーなことに、日本史→地学と個性的な興味だったので、「***な本、図鑑がほしい」と言われれば数千円しても無条件に与えました。何冊かは1度しか読まずにしばらく放置してますが、いずれ見るだろうと思って辛抱中・・

文具
常に使う相棒のようなもの。筆記具やノートなどは使い放題買い放題で与えました。ただし、短くなった鉛筆や空っぽのシャーペンの芯ケースは捨てずに箱に「財産」として保管しておくように伝えてます。「俺はこんなに頑張ったんだ」ということが可視化できればいいなと思ったからです。

そんなこんなで数か月ほど新しい塾で慣れてきた頃、徐々にクラス内での順位も上がってきました。
もともと中学受験塾ではメジャーリーガーばかりで底辺レイヤーにいたのが、少し周囲のレベルも似た水準の子が集まっていることもあり「頑張れば上がる」という相対的な実感が付いてきたのかと思っています。

そんな中、小5の冬にこんなリクエストを受けます。

「算数の図鑑買って。しかも情報多いやつ」

今思えばこれが分岐点になったかもしれません。
今の今まで算数が超苦手で、私も半ば息子は文系になるのかなと思っていたので、いつもなら二つ返事で「いいよ」と言ってたのですが、この時だけは
「え、なんで?」と聞きました。

すると、シンプルに「何かかっこいいから」という理由。

とりあえず書店にいって、とっつきやすいイラストが豊富な算数図鑑を買ってきたのですが、えらくお怒りに。。。

「ほしいのはこんな子供だましみたいなやつじゃない!イラストもなし、文字も小さくて沢山書いてるもの!円周率の桁数が山ほど書いてあるやつ!」

とのことで、泣きながら喚き散らし、、私が唖然としてしまったことは言うまでもありません。

もう全くニーズがわからないので、書店に一緒に行くことに。

親としては算数の興味が出だしたことはいいことなので、ここぞとばかりにちょっとでも興味を持たせようと、薄目の問題集兼参考書みたいなのが手始めとしてはいいだろうと思ってそのあたりを探っていました。

真剣に問題集を選んでいると、少し離れたところから
「僕、何年生?」と上品なマダムが息子に声をかけているのが聞こえました。
息子を見ていると、手には「自由自在_算数」という広辞苑のような分厚さの参考書を持ち、真剣に中身を吟味しています。

「マジか!?」とさすがに目を疑いました。

自由自在といえば私の子供の頃から既にある、私は開いたこともない(難しそうな)数字と字が満載の参考書のイメージです。
いかにも算数マニアか中学受験生が小脇に抱えているイメージがあったので、あまりに今の君のレベルではしんどいのではと思い、余計に算数が嫌いになっては本望ではないので

「ちょっとこれはもう少し慣れてからのほうがいいんじゃない?」

とさすがに釘を刺したのですが

「いや、これがいい。絶対これ。自由自在がいちばんカッコいい」

というので、渋々3000円くらいでしたか、レジに向かいました。

そこからしばらく見ていたのですが、学校と塾の宿題以外に、朝5時半から起きてコツコツやっており、ついに寝る時も枕とともに抱えて寝るようになっていました。中身を見てみると、確かに情報量は多いのですが、基本から発展まで理屈がわかりやすく書かれており、意外とビギナーでもがんばれば理解が深まる設計になっているのかなという印象でした。

そこから、急に数学への興味がわき
電卓を見て、”√ ”を見るやいなや、これは何だ?ということで教えてみると
乗数も平方根もすんなり理解し、とにかくこの記号のデザインがカッコいいということで超お気に入りに。

その後は自分でどんどんネットやYouTubeで数学的な動画を見るように。

そうして小5の終わりには

「調べたら数検というものがあるらしい、受けたいから申し込んでくれ」

とこれまた突然言われました。

英検、漢検は受けたことがありますが数検なるものがあるとは、あまり知らず、「お、おん・・・」ぐらいの返事しかできませんでした。

そこから猛勉強するかと思ったらそうでもなく、
「市内の駅伝大会に出たい」
とこれまた切り口の異なるリクエスト。

もう好きなようにしなさいと、申し込み。
ここから朝5時に起きて30分走ってその後算数をする。というスタイルに。
算数にあたってはもう勉強というか趣味みたいにウキウキしながら解いていました。

数か月後、申し込んだ数検会場にいくと

このテスト会場の雰囲気がたまらない。緊張しているけどスポーツの試合みたい

という独特の感性で、楽しんでいました。

結果は6級(小6程度)合格。

もうこれで弾みがつき、あとは私が何も言わずとも勝手に算数好きになりました。

その後は、こんな状況です。

・塾の算数テストでついに100点ゲット
 塾の校舎だけでなく他校合わせた全校生で1位。偏差値約70。
 テストしたグループが違うので単純比較はできませんが、事実として中学受験をドロップアウトしてから1年で偏差値が30超上がりました。これは相当本人の自己肯定感を高めたようで、その気になっています

・チャート式中1数学を購入して数学へ突入
 算数がある程度分かると、もともと√が好きだったこともあり、数学へと自然に興味が向いてきました。毎週書店で参考書コーナーに30分以上入り浸っているときに、ほしいと言われたので即購入。
※これも気に入ってクリスマスでサンタに中2数学をリクエスト

数検5級にトライ
 数学に興味を持ったこともあり、6級を取ったばかりですが、力試しをしたいとのことで、OKしました。5級からは中1レベルであり、本格的で1次試験2次試験と2時間くらいの勝負ですが、スッキリした顔で会場から出てきたのは印象的でした。結果はまだわかりませんがどんな結果だとしても本人の糧になると思っています
【追記】5級合格しました。正答率も9割前後。一年に二冠とよく頑張りました。

・自分で独自ロジックを使って証明をしだす
 文具以外にも大きなホワイトボードを要望されて買ったのですが、常にそれをにらんで、図鑑や参考書に書いている定理や法則を「何で?」という視点でにらめっこしています。先日は「トレミーの定理」なるものをネットで見つけて自分が持っている知識で証明を試みていました。
もうここまでくると私もコメントしようがないので、塾の算数の先生に話してみては。ぐらいしか言えません。


ということで、まだ進化の途上ですが、あの中学受験中は算数が大苦手だった息子が1年と少しでぐいぐい伸びている姿を見ると、中学受験をドロップアウトして本当によかったな、言い換えると子供の本音や心の声に気づいてその通りに意思決定してあげるだけで勝手に伸びていくということが実感できました。

また次年度には別の興味に移っているかもしれませんがそれもまた一興。かならず自分の糧になると思って応援しようと思います。

「中学受験をやめちゃったうちの子供は大丈夫かしら」と思われている親御さん、ぜひ子供の心の声を本当にやりたいことをどんどん聞いてやらせてみてください。どこかで親の想像を一気に超えるパワーが出てくるはずです。

※アーカイブ

https://note.com/blueu/n/neded24e404fb












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