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ベルガモットの香りを、色で感じる。

10代の終わり頃は調香師になりたいという夢があり、数年間働きながら調香の学校へ通っていました。

アロマテラピーの世界に入るのは、もう少し後になります。

香水を自分自身が日常的につけることはほぼ無かったのですが、調香師がブレンドした昔からの名香といわれる香りを集めて、
作品として香りを嗅いで、その世界をイメージするのが好きでした。
それは音楽や絵画の鑑賞とも似ていて、様々な色や風景、映像に包まれてその香りの世界を旅するのが楽しかったのです。
だから、部屋で1人で居る時に香りを纏って居ることが多かったです。

自分でも、いつかオリジナルの香りを作りだせたら素敵だろうなと夢見ていました。

調香の学校では、数百種類以上あったかもしれない香水の材料となる香気成分を、ひたすらひたすら嗅ぎ分ける訓練をしました。
これが、とても私には楽しかったのです。
毎回定期的に、前回学んだ香りの嗅ぎ分けテストがあり、私はいつも良い成績だったので。
自分は生まれつき、香りの嗅ぎ分けが得意なのかもしれないなと思っていました。

香りの特徴を自分なりのイメージや記憶と結びつけて覚えていく方法がありましたが、イメージと共に私にはいつもその香りに対応する色を、嗅いだ瞬間に感じるのでした。
あとその香りが音のように、からだのどこに響くかという体感もありました。
なので、イメージと色と体感を組み合わせて記憶していました。

ある日私は数日間、ジュースや水分だけを摂取する半断食のようなことを5日間ほど続けている最中に、調香の学校に行きました。
その日は天然の精油を嗅ぎ分ける授業。
その頃から、沢山の精油を家でも揃えていて嗅ぎ分けたり使ったりしていましたので、
それぞれの香りの特徴は捉えているつもりでした。
いつものように、ある精油の香りを先生がムエットに染みこませ、生徒全員に配りました。
断食中で、かなり感覚が冴えすぎていたのかもしれません。
精油の全体的な香りよりも、その精油を構成している多くの種類の芳香成分が色となり、グリーンから薄いクリーム色まで様々な色調のグラデーションが重なってる帯のように輝いて流れてくるような映像を感じました。例えるならば、様々な色の糸で織られた繊細な香りの織物のようでした。

それが余りにも美しく、みとれていましたが、肝心の精油の名前が出てこない。
それは、忘れたというよりも、嗅覚が冴えすぎて精油を構成しているそれぞれの香りの成分をばらばらに嗅ぎ分けすぎていて。それを全体の香りとして捉えられない意識状態になっていたのかもしれません。

その精油は、いつも好きで良く使っているベルガモットでした。

後にも先にもこんな体験は初めてで、面白いな~とも思いましたが、それからはそれぞれの成分を嗅ぎ分けつつ、全体としても一つの融合した香りとして特徴を捉えていく訓練を心がけていきました。

結局、私は調香師にはなりませんでしたが、
この香りの成分を嗅ぎ分ける訓練をしたことは、その後アロマテラピーの学校に入ってから精油を学ぶ時や、精油の品質を見分ける際にとても役に立ちました。


意識を開いて、香りや音を感じてみると、いろいろな感覚やイメージが湧いてくることがありますよね。
数年後、このように香りや音楽や文字から色を感じたりすることを、「共感覚」というのだと知りました。
(きっと意識したことがないだけで、
共感覚を持つ方は結構いるのではないかな。。)

そして、その感覚を、私がボディワークやヒーリング、療術をする時にも使っているのだなと気づいたのは、だいぶ後になってからです。

(🌿2021年4月12日に投稿した文章に加筆して再投稿)




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