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葉山藻場保全活動イベントでウニを潰す

こんにちは、HIROです。

週末は良いお天気でしたね。僕は土曜日に葉山で、葉山藻場保全活動イベントに参加しました。

これはスキューバダイバーによる藻場再生活動を継続して行っているダイビングショップNANAさんのイベントで、葉山アマモ協会、フリーダイビングスクールリトルブルー、そっか素潜り部、地元漁師さんたちが加わり、総勢50名以上が参加しました。

具体的には、磯焼けの原因の1つであるウニの駆除を行い、海藻のカジメを移植する活動です。

子どもたちも含めて磯焼けの原因やカジメの移植について説明を聞きます。
スキューバダイバーがこのカジメを深場の海底に移植します。


葉山のみならず、日本中の海で磯焼け(磯枯れ)と呼ばれる問題が起きています。

これは、豊かな海藻の森だった場所から海藻がなくなり、ただの岩場になってしまうことです。海の砂漠化などとも呼ばれています。

生物の多様性が失われて、魚も貝も蟹もいなくなり、寂しい無機質な海になってしまった状態です。

海藻は生命のゆりかごであり、魚や貝たちにとっての餌であり、棲家であり、産卵床でもあります。海藻がなくなれば、そういった生き物たちは消えてしまいます。

また海藻や海草は光合成によってCO2を吸収します。世界中でアマモ場が失われることは地球温暖化にも拍車をかけます。

磯枯れには、地球温暖化による海水温の上昇、環境汚染など複雑にさまざまな要因が関わっています。

そして生態系のバランスが崩れた海で、大量に発生したウニが海藻を食べ尽くしてしまい、磯焼けが進行します。

大量発生したムラサキウニ

その他、アイゴやブダイなどの魚による食害の影響も多いそうです。

今回、僕はスキンダイバー班として、磯焼けの直接的な原因になっているウニの駆除に参加しました。

まずはポイントとなる芝崎海岸へ。

右に見えるのが芝崎海岸

芝崎海岸は、葉山町の天然記念物に指定されていて、昭和天皇も海洋生物の調査研究に度々訪れられた場所です。

ダイナミックな地形と魚影の濃さで、シュノーケリングやスキューバダイビングのポイントとして地元で愛され、東京など遠方から通う人も多い人気の磯です。

しかし、この芝崎海岸でも磯焼けが進行しています。

まずは、スキューバダイバーによるカジメの移植作業を素潜りで見学します。

ポイントまでみんなで泳いでいきます
この船の下、水深6~8mくらいのところで作業が行われています
ダイバーによる深場のウニ潰しとカジメ移植作業。目の前に生えているのがカジメです。
カジメを移植した場所。2年前は完全に岩だけだったところにカジメが少しずつ自生してきています。


続いて浅場に移動してシュノーケリングでのウニ潰しです。

これには地元の子どもたちも参加して、みんなで一生懸命ウニを潰しました。

長めのドライバーやテントを張る時のペグなどでウニを潰します。
ウニの殻を貫通させるには少しコツがあって最初はてこずりました。
ウニの中身。これはマシな方だけどほとんどのウニが生殖腺が発達しておらす、身が少ししか入っていない。

「ウニ漁をして出荷すればいいじゃん」と思う人もいると思いますが、磯焼けが進んだ栄養の乏しい海では、ウニの生殖腺が十分に発達せず、身は痩せて味も良くなく、商品価値がないそうです。

最近では、神奈川県水産試験場の研究によって、駆除したウニに廃棄対象の三浦キャベツを食べさせて養殖した「キャベツウニ」が出荷されています。

ただ現状、多くの場合、駆除したウニは肥料などにされることが多いようです。

ウニはただ生きようとしているだけで、本当は悪者ではありません。

でも、人間の生活環境と接した沿岸の海は、里山と同じで人間の管理が入らなければ生態系のバランスを崩してしまいます。

だからウニは悪くないけど、間引きは必要だと思います。

今から15年前くらいから海に潜り始めましたが、葉山だけじゃなくて三浦や真鶴、伊豆諸島などでもここ数年で急激に磯焼けが進んで、海藻がなくなり、魚がいなくなったのを感じています。

これはスキューバダイバー、スキンダイバー、フリーダイバーといった直接海の中を見ている人たちは特に感じていることだと思います。

今回のイベントで駆除したウニやカジメの移植はわずかなもので、これだけでは磯焼けの進行を食い止めることにはなりません。

でもだからといって何もしないでいるのも違うと思います。

大好きな海が少しでもキレイであってほしいし、今の子どもたちにも未来の子どもたちにも海からたくさんの恵みを受け取って、海を楽しんでほしいと思います。

そんなのきれいごとだ、という人もいると思うけど、それでもできることから始めていきたいと思います。だって海が好きだから。

「星の王子さま」のサン・テグジュペリのこんな言葉があります。

「地球は先祖から受け継いでいるのではない、子どもたちから借りたものだ」

この視点から発想すると、地球は今生きている我々みんなのもので、同時に時間軸で見た、過去の人たち、今の人たち、未来の人たちみんなのものでもあります。

私たちは今地球を借りているに過ぎない。そういう視点に立つと自然との関わり方もこれまでとは違う捉え方ができるかもしれないと思いました。

海のある生活を始めたことや、エコやサステナビリティの意識が高い土地に住み始めたことで、以前と意識が変わってきた部分があります。

まだ大きなアクションにはつながっていませんが、自分にできることを模索していきたいと思います。

長文となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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