ニートからバイトに復帰した時の話
働いてお金を稼いで、ストレスに揉まれながらやりくりして生活するって大変だけど、それよりも人生で一番つらかった時期は、ニート時代
働くつらさとは、また別
会社員として就職していた私は、親の病気の看病のために、休みがちになっていた
そこに、上司から 「人手不足なんだけど、お父さまはいつ亡くなる予定なの?」と、言われた
いつ看病が終わって、仕事に完全復帰できるの? という本音が出てしまったようだが、言葉選びが悪すぎる
この件をきっかけに、私は退職した
その後に勤務していた職場では、私が責任感が強すぎたためか、いつのまにか重要なポジションをまかされ、ストレスで病んで、退職
鬱病なので、精神不安定で1年間働けなくなった
人生、うまくいかない
この頃に同棲していた彼は1年間、生活費を助けてくれたし、おこづかいもくれたけど、1年もニートしてると、援助してもらえる生活が当たり前になってくる
生活援助してもらっている罪悪感、働けない無力感は消えないけど、なんとか生きていけてるから、明日こそ、また明日こそって、ずるずるニート生活が続いてしまった
バイト募集のページは何度も見たし、コンビニの面接も行ったけど、落とされた
糖質とりすぎの鬱状態で、当時は太っていたし、鬱で挙動がおかしくなってる自覚もあったので、面接でそれが出ちゃってたのかもしれない
ある日、彼に
「ねぇ、そろそろ働いてくれないかな……」と、言われた
机に伏して、泣いた
「働けなくて情けない」って叫びながら、泣いた
彼は、頭を撫で続けてくれた
でも彼の言葉で、動き出さなきゃ!と思って、コンサート会場のグッズ売り場の単発バイトに申し込んだ
……過酷な仕事だった
仕事内容はグッズテントの設営(激重ポールを地下倉庫から何本も運ぶ)、撤去作業、激重ダンボール運搬、グッズ陳列も含まれるうえ、値段は10分で暗記させられた
お客様は長蛇の列を作っているので、強制的に仕事に慣らされる
7時集合、19時解散(延長の場合あり)と募集要項に書いてあったのに、実際は終電24時まで働かされた
12時間も勤務して、日給は募集要項の9000円のままなので、結果的に時給換算が激安になってしまった、詐欺じゃん
たった2日間のバイトだったけど、ほんの少し、根性がついた気がした
フリーターや学生や主婦など様々な人と、休憩時間に会話をした
「怒鳴られてもハイハイ言ってればいいよ、どうせ短期だから」
「5daysコンサートとかでバイトすれば、すぐに5万円稼げておいしい」
舞台やコンサートなどの、裏方の仕事を将来したいという学生もいた
若くて、ギラギラしていて、みんなやる気があった
学生たち、強いなって思った
ちょっとパワーをもらえた
給料を派遣事務所に取りに行ったら、不愛想な男が、椅子にふんぞり返ったまま、一度もこちらを見ずに、無言で給料を投げてよこした
は……?何様? と思ったけど、もう会わないからいいかと思って、「ありがとうございます!」と一礼して、給料を受け取った
あんな、バイトを人間扱いしてなさそうな、ふてぶてしい態度のおっさんが働けてるんだから、私だってどこかしらで働けるはずって思った
ある意味、いい社会勉強をさせてくれて、ありがとうと言いたい
この2日間の単発バイトのおかげで、次の面接に行く勇気がもてた
次にバイトとして雇って頂いた会社が、今の職場
最初はシフトがあいてなくて、少ししか働けなかったので、その間にクレジットカードのキャッシングをして、借金が増えてしまった
今はフルタイムで働いて、時給も上がったし、有給が20日もあるので、ありがたい
本当は就職したほうが将来のため……と思い、一度就活したけど、なんかダメでした
心が折れた
職業訓練のため、資格もとってみたが、それも合わなかった
この業界では働きたくないとさえ思った
だから今も、同じ職場にいる
バイトの給料、手取り15万円
会社員だった時代も、手取りは14万円だった
(そのかわり、ボーナスは年2回、少ないけどあった)
なんとか続けてこられたというだけで、本来の自分は、たいした能力もないし、就活する持続力もない、弱い人間
「社員」という肩書に戻りたいと思った時期もあったけど、今はフルタイムのバイトでもいいと思ってる
何より、今の仕事は楽しいから、やめたくない
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