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平日日記 9月の終わり夏の終わり

6時20分起床。

膝下と腰と肘と手首をぐーんと伸ばして、勢いづけて起き上がる。隣で眠る同居人は、私の起きた気配に気が付いていない。

こそっと寝室を抜け出し、電気屋のお兄さんに唆されて導入したウォーターサーバーの水を飲む。一晩でしおれた身体に水分が行き渡って、目が冴える。ベランダの窓を開けると、随分とひんやりした空気が部屋に流れ込んできた。11月みたいな空気だ。鈴虫が、本当に鈴みたいな声で鳴いている。静謐な朝だなあと思った。

今日の弁当は昨日準備していたスパイスカレーなので、今朝はずいぶんのんびりできる。顔を洗い、朝食の準備をする。

今日はあんこを使い切りたい。生協で購入したさつまいものバターと合わせて、サンドイッチでも作るか。8枚切りの食パンを、焼き網で焼く。美しい焼き跡を均等につけるために、真剣になってしまう。やっと起きてきた同居人は、コンロの前に張り付く私を見て笑った。

7時朝食。今日は珍しく、テレビをつけないでいてくれたので、穏やかに朝食を食べることができた。

8時出勤。自転車でJRの最寄り駅まで駆け降りる。とても寒い。長袖に、カーディガンまで羽織っているのに、なお寒かった。いつも見かける、華奢なサラリーマンや熟年カップルたちも、いつもより秋の装いだ。左手に持った日傘だけが、やけに夏らしく、ちぐはぐなコーディネートになってしまったことを少し後悔する。

8時半、会社に到着。

まだまだ不慣れそうな素振りが隠しきれない。エレベーターで一緒になった、新卒で入ったらしき可愛い歳下の女の子に、仕事慣れましたか?と問われて、うーーん、どうでしょう、と返してしまった。もっと良い返事をしたかったな、と思う。

午前中は、何もやらかさずに何とか乗り越えることができた。ぺーぺーの私ができることは限られているので、先輩方に何かを頼まれると、自分が役に立てているような気になって、気持ちが明るくなる。

お昼は、カレーを食べた。給湯室の電子レンジを拝借して、カレーを温めた。私の後にレンジを使った方によると、かなりスパイシーな残り香だったようで、申し訳なかった。

午後も途中までは良かったのだが、1度だけやらかしてしまい、恥ずかしかった。部署で、私以外は20年選手のベテラン達なので、私くらいしか失敗しないのだ。大抵の失敗は簡単に解決してもらえるので、それはありがたい環境なのだけど。

ミスは焦りを呼び、次のミスを招く。というのは真理だと思うので、一度お手洗いに行き心を落ち着けてから、仕事を再開した。何とか立て直せたと思う。


今日は同居人が、ワクチンを打ってくると言っていたので、ポカリだのゼリーだのを買って帰ることとした。いつもはまっすぐ駅に向かうけれど、今日はスーパーに寄り道する。大きな駅前なのに、トンビのピュロロロロロロ、という声が聞こえて、田舎だなあなんて思ってしまった。

ヨーグルトやプリンはたくさん種類があるのに、ゼリーはミックスとみかん、ブドウの3択だったのが解せない。私はミックスとブドウを買った。


今晩の金曜ロードショーは、インディージョーンズなので、楽しみだ。


18時半。帰宅して早々、夕飯の米を炊く。最近、無洗米に変えた。米を洗わないで炊くのが、思った以上に楽で、やはり私は怠け者だと思う。節水になるので、よしとしてほしい。

今日は、試しに買ったミールキットでも使うか、と思って冷凍庫から取り出す。ラッキーなことに、解凍不要で火にかけて良いようだ。

自分でせっせとご飯を作るのも好きだけど、すでに材料が切られ、味も間違いないミールキットは素晴らしいものだと思う。世の中はどんどん便利になっていく。便利は悪いことではないのに、時折、真面目な人々は後ろめたさを感じてしまうみたいだ。不真面目な私は、ただただありがたく感じるのだけど。

少し霜がついていたようで、派手に油が跳ねた。とても恐ろしく、作る最中はとにかくバタついたが、出来上がって皿に載ってしまうと、そんな状況は想像できないほど、まとまった料理が完成した。

お米が炊けた合図が鳴って、ほぼ同時に同居人が帰宅した。19時15分。今のところ元気そう。

手洗いとうがいをしている間に、テーブルを夕食仕様に準備する。

いい匂いがするね、と同居人は嬉しそうだ。私の味付けではないけれど、それは伏せてニコニコしておいた。

9.25 小鹿かの子


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