虚無

死なないで欲しい

そう言う人は何人かいた。
絶対に死なせない、と強く意気込まれたのは初めてだった。

命ってそんなに重い?

私からの問いかけにもシンプルに頷いた。

私は3日間地元から離れた大都会にいたがその間に私のすぐ側で一人は高所から飛び降り一人は人生舐めるなと叫び人を刺した。

ゴミの掃き溜めのような澱んだ町で軽々しく飛び交う命を目の当たりにもした。

それでも命は尊いらしい。


私を忌み嫌い切り離す人も増えたが同時に大事に思ってくれる人も増えた。

自分に言い聞かせるように大丈夫、大丈夫と連呼し合った都会の夜道を美しいと感じた。
美しく映ったのは涙で視界がぼやけたせいかもしれない。

2月までは生きる事を約束した。
それ以降も生きていたらご褒美にある島へ連れて行ってもらう約束もした。
ただ生きているだけで褒美が与えられるそんな甘い世の中ではないはずだが喉から手を伸ばしてしまう。

曖昧な未来に希望を見出すなんてらしくないなと思う。

生きていれば必ず良い事がある、なんて大嫌いなキャッチフレーズだ。
実際言われて心に響いたわけでもない。
臭い。
ただその臭さは今回鼻につくものでもなかった。

会える人には会えるうちに会っておきたいね。
いついなくなるか分からない、それを寂しいと思いながら体は地元に運ばれた。

寂しさと虚無感に襲われながらまた普通の日々に襲われる地獄だ。

とりあえず2月のライブ当たれ。

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