目を逸らしたくなる現実
　隠したかった醜い心
　溶けてしまいたい優しい暗闇
　真夜中 月明かりも差し込まない世界
　1人 迷い込んだように
　立ち尽くして 息をする
　
    上手くいかない毎日に
　疲れることにも慣れてしまった悲しい心で見た景色
　止まったように時間は流れ 輪郭は曖昧に
　瞳に映し出されるは
　淡き泡沫(ほうまつ) 青い揺らめき
　
    夜を泳ぐ魚たち 見上げた景色の美しき
　音なき音色 流れる旋律
　こんな自分にも優しい時間 望んでしまった儚き永遠
　叶わないと知りながら それでも今だけはどうか
　ありのままの弱さを認めて赦して

    嫌気が差した 狡い自分に
　消せなかった放った言葉
　巻き戻せない刻 滲む後悔
　赦しは請えない 深淵にも似た世界
　1人 逃げ込んだ場所で
　息を切らして 立ち尽くす
　
    眩しすぎる光を避けて
　嫌われないよう無難を望む青い闇と包む静けさ
　虚しい心が出逢えた感動 確かなる温もりで
　この手に触れてくれたのは
　言葉にならない さざめく感情
　
    夜を泳ぐ魚たち 巡った想いの美しき
　飾らぬ姿 静謐な命
　その優しさに救われた瞬間 浮かんで重ねた追憶の日々
　願い事はまだそのまま それでもこの先もずっと
　失いたくない想いはここに
　
　

　呼吸は今日も続いていた
　苦しいけれど止められなかった
　感じること 考えること
　できなくなってしまえたら
　心は楽になれるのか
　
　呼吸は今日も続いていた
　止めようとすると涙が溢れた
　見つけたもの 失ったもの
　大切だと思えているなら
　生きていく意味はあるのか
　
　嫌いなのに守りたい自分
　傷付けた後 傷付いた痕 すべて抱え辿り着いた
　この水槽の前でだけは 少しだけ素直に穏やかに
　安寧の息ができるから
　
　
　
　眠る世界の裏側で
　揺蕩う海月の幻想と
　鏤める貝 鉱石の如く
　佇む珊瑚に彩られ
　集う命の織り成した
　泡沫の旋律 探し続ける存在理由

　
　
　
    夜を泳ぐ魚たち 生きる姿の美しき
　微かな呼吸 確かな鼓動
　主張することのない慎ましき輝きを
　
    夜を泳ぐ魚たち 語らぬ言葉の美しき
　優しい静寂 澄み渡る波紋
　心地よい空白と荒み切れない心の共鳴
　
　

　夜が明ける
　生き辛い現実で今日も息をする
　苦しくなったらまたここで
　その傷すべてが美しいと
　抱えたすべてを慈しみ
　命を灯し続けることができるように