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古いOSを使っているような脳【狩猟採集時代からの遺産】

狩猟採集時代の生活は、生存に直結する即座の判断や環境への適応力が求められる厳しい時代であり、人類の進化の中で最も長く続いた時代です。
その結果、私たちの脳はそのような環境に最適化されてきました。
しかし、現代社会は狩猟採集時代とは異なります。
現代社会は、技術の進化や社会の変化が驚異的なスピードで進行しています。情報の洪水、ストレス、社会的圧力など、課題は複雑になっています。
このような環境で、狩猟採集時代に最適化された脳が十分に機能することはありません。
まさに、古いOSを使っているような状態なのです。

上手くオペレーション出来ない
現代社会で古いOSを使っているような脳が直面する課題の一つは、適切なオペレーションが難しいということです。脳の古いOSが、現代社会の複雑さに適応するのに十分でないことによるものです。
現代社会における情報量は爆発的に増加しています。
インターネットの普及やSNSより、1日に膨大な情報に接するようになりました。
江戸時代の1年分に相当すると言われる1日の情報量が、古いOSを持つ脳にとってオペレーションを難しくしています。

この情報過多の環境下で、脳は情報の選別や処理に苦労します。
重要な情報を見極め、無駄な情報を排除する能力が必要ですが、古いOSを持つ脳はそのような適切なフィルタリングを行うのが困難です。
結果として、人は情報過多による認知過負荷に直面し、ストレスや集中力の低下といった問題に直面することになります。
さらに、情報の急速な変化も認知過負荷になります。現代社会では、テクノロジーや経済、社会構造の変化が頻繁に起こり、それに対応する必要があります。
しかし、古いOSを持つ脳は、このような急激な変化に対する適応性が不足しているため、オペレーションが難しいのです。
また、脳の進化の速さより、時代の変化の方が圧倒的に早いため、最適化されることはないでしょう。

このような状況でも自らの脳のオペレーションをスムーズに行うためには、ミニマリズムを取り入れることが有効です。
ミニマリズムは、不要な情報や物質を取り除き、必要な情報や物にフォーカスすることで、脳の負担を軽減し、集中力を高めることができるのです。
まさに脳のクリーンアップと言えるでしょう。

リスクレベルとファスト思考
狩猟採集時代と現代社会の最大の違いの一つは、リスクのレベルです。
狩猟採集時代では、物音や影を見ただけで即座に判断し、行動することが生存に直結していました。
このような状況下では、ファスト思考が生存を確保するために不可欠でした。
しかし、現代社会では、いきなり命を奪われるようなリスクがほとんどなくなりました。とはいえ、狩猟採集時代の遺産として、私たちの脳はファスト思考に傾きやすい傾向があります。

狩猟採集時代における生活環境は、生存に直結する危険が日常的であり、損失を回避することが生存戦略の一部でした。
そのため、過剰なリスク回避の傾向が生まれ、プロスペクト理論における損失回避性が強調されます。
損失回避性とは、同じ額の利益と損失がある場合、人は損失を回避することを優先し、リスクを冒すことを避ける傾向があるということです。この傾向は、脳のOSが古い(狩猟採集時代の遺産)に根付いているといえます。
しかし、現代社会では、命に直結するようなリスクがほぼありません。
それでも、狩猟採集時代の生存戦略の影響は残っており、過剰なリスク回避の傾向が時に不適切な判断を引き起こすことがあるのです。

というように脳の古いOSには様々な問題があります。
1番の問題は、自動アップデートされないことですね。


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