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またたび文庫×水曜よるごはん 2023.6~12のキロク

熟れたバナナにねっとり焼き芋、もったりチーズケーキが好きな bokashiスタッフのふみかです。こうなると、もはや歯をつかっていないのではと、自分の歯たちが心配になります。

さて、bokashi Baseには月に一度の水曜日、白老町から移動本屋のまたたび文庫が出店しています。毎回異なる選書と、店主のはねちゃんの紡ぐ言葉をいつも楽しみにしています。

またたび文庫の出店と合わせて開催する、bokashi定期企画 水曜よるごはんとのコラボ企画。これまではスタッフ・おはぎさんが担っていましたが、私がそのバトンを受け取りました(受け取れた自信はないが……!)。

過去のコラボ回はこちらのnoteを。

6月から12月までのコラボ回を振り返ります。まずはぜひ、各回のタイトルをご覧になり、どんな選書とごはんで食卓の場が繰り広げられたのか、想像してみてください。


6月 沖縄戦を知る

本  :山之口貘 著 『オキナワ 終わらぬ戦争』
ごはん:ジューシー/フーチャンプルー/アーサーの味噌汁

6月23日は沖縄慰霊の日
「慰霊の日が近づくと、平和学習月間として、写真展とか何らかの集いが開かれる。いまでもこの時期になると、なんとなくそわそわするんです」と、沖縄に住んでいた頃を振り返るはねちゃん。

沖縄料理が懐かしい、と笑顔のはねちゃん。毎回ホワイトボードを使って、要点をまとめます

沖縄料理を囲みながら、沖縄戦を知り、戦争や沖縄について考えを巡らせる日になりました。

さて少し、ごはんのはなしを。bokashiのご近所には、驚くほどに品揃えが豊富な沖縄のアンテナショップがあります。ゴーヤをはじめとする野菜も、ラフテーやテビチなどのチルド食品も、ちんすこうやあのブルーシールアイスまで。

本場の人がつくる料理ほどではないけれど、ここへ行けば沖縄の風を感じられるのです。食べることを通して、その地の風土や文化を知ることもできるのだなあと感じた日でもありました。

7月 言葉と染織

本  :志村ふくみ 著『草木の聲』
ごはん:色付きそうめん/つけだれwith夏野菜の焼き浸し

この日は、bokashiで繕いものの七梅さんが一日チクチクと手仕事をされていました。ならばと、コラボにコラボを重ねた”本とごはんと手仕事の日”としてしまおう!という企画。

はねちゃんが選んだのは、染色家であり随筆家である志村ふくみさんの一冊。「自然の植物から染色をとる作業を繰り返してきた志村さんの人生。 その中でうまれた美しい言葉たちを、本から味わう良い時間にしたい」と、いつも以上に言葉を愉しむ日になりました。

本文から志村さんの言葉を引用。短冊で愉しみました

本の表紙には、美しく切り取られた糸の写真。ここから着想を得て、糸に見立てたそうめんを紫キャベツで”染めて”、暑い夏につるりっといただきました。

紫キャベツのアントシアニンは酸やアルカリに反応するのです。”染めた”そうめんを酢や重曹にちょっとつけるとあら不思議……

8月 本と、心をめぐる世界のはなし

本  :東畑開人 著『野の医者は笑う』
ごはん:食べるスープ

夏の太陽に負けんばかりとパワフルになるこの季節。気づけば忙しくなりすぎている、なんてこともあるのかもしれません。
そこで、8月は「心」をキーワードに。

テーマ本『野の医者は笑う』では、カウンセラーと占い師の中間のような”野の医者”が病んだひとの心を癒す様子が描かれています。参加したみなさんと「心が楽になった瞬間、時間」についておはなししました。

ぽろり、ぽろりと、みなさんが「心」と向き合ったことが共有され、わたしたちは「心」とどう付き合っていこうか、そんな話も。

ごちそうさまをしたあとは、なんとなくみなさんの頬がほころんでいる気がしました。

9月 いいね!を越えた対話

本  :戸谷洋志 著『SNSの哲学』
ごはん:巻かないオムライス/丸めない揚げないコロッケ

我々の生活にもはや欠かせないのかもしれないのが、SNS。遠く離れていてもコミュニケーションがとれる一方で、「いいね!」だけで終わってしまうかもしれないという寂しさも。

気づかぬうちに日常のコミュニケーションも「いいね!」で終わってしまっている……?そんな問いを持ちながら、SNSについて考える時間にしました。

”映えない”ごはんを囲みながら、SNSをどう使い、どう距離をとっているか、そんな話をしていきました。世代の違いによる各SNSとの距離感に差があることも、なるほど、と。

X(旧Twitter)の文字数制限は140字。日本語でも、英語でも、140字。日本語の140字はあまりにも長すぎるのでは!?という話もありました。
では、5・7・5に制限したら……というアイデアに参加者一同で賛成し、この日はお開きになりました。

10月 知られざるカレーのはなし

本  :水野仁輔 著 『カレーの教科書』
ごはん:はねちゃん特製カレー

またたび文庫の店主・はねちゃん。実は、学生時代にカレー屋さんでアルバイトをし、カレーに凝っていたとか。カレーを特集した雑誌を集める日々を過ごしていたそうです。

はねちゃんがつくるカレーを囲んだこの日。カレーの歴史を紐解き、カレーの多様性を知り、そもそもカレーとは何だっけ?と、とことんカレーと向き合った時間でした。

「カレーは『本』!」と、はねちゃん。「多様な知識・情報をカレーという視点でみるとおもしろい」「本もカレーも、つながりの妙をみせるコンテンツ」と、新しい視点を教えてくれました。

とある参加者のかたが、鞄をごそごそ。なんと、スパイスカレーが流行るずっと前に自分でつくったというスパイス表が……!各料理に合うスパイスやハーブを記録していたそうで、『カレーの教科書』にもあったスパイス表と照らし合わせるとほぼ一致していたのは驚きでした。

11月 いいカンジの場について考える

本  :オオヤミノル 著『喫茶店のディスクール』
ごはん:喫茶店のカレーピラフ(オニオンスープ付き)/喫茶店のサラダ

またたび文庫は改装の時期、bokashiは開業して1年、それぞれが節目を迎えていたこの時期。同じように”場”を持つわたしたち、この機会にもう一度”場”について考えてみようかと、このテーマになりました。

「本を仕入れて、買値との差額が自分の稼ぎになる。その差額分に、どれだけ血の通った労働価値をのせられているのか」、この本を読んだ後に今一度そう考えさせられたとはねちゃん。モノの価値とは、なにか。場の価値とは、なにか。

参加者のみなさんにとっての、それぞれの”いいカンジの場”。学生時代に通ったジャズ喫茶や、札幌駅の近くのとあるお一人様専用カフェ、いいカンジの場を探し求めているという話まで、それぞれの思う場についてあれやこれや話す時間を過ごしました。

12月 わたしの地球の歩き方

本  :藤原新也 著『全東洋街道』
    地球の歩き方編集室『地球の歩き方 フランス』
ごはん:ポトフ/カオマンガイ

先月のコラボ回にて。ごはん会の常連さんがおもむろに鞄から出した一冊。その場にいた全員が釘付けになりました。

『地球の歩き方』を手に、フランスのまちを歩いてきた、というのです。
歩いた道を赤いペンでなぞるそう

ということで、12月のテーマは「わたしの地球の歩き方」に即決。

フランス料理のポトフを食べながら、50枚を超えるスライドと写真で、わたしたちをフランス旅へ連れ出してくれました

写真の撮り方ひとつとっても、その人ならではの旅の愉しみ方が垣間見えます。チョコの包装紙や機内食のナプキンなど、モノをファイルにまとめているのはなるほど!と思いました。

参加者のみなさんからも旅の話があれやこれや。海外旅から帰ってきたら、やはり味噌汁は沁みるものなのですね。

旅に出たい気持ちがむくむくと湧き上がってきたところで、今回もおしまい。またたび文庫の選書も旅を中心としたもので、思い思いの本を手に取っておられました。


ひと月₊下半期の【またたび文庫×水曜よるごはん】をお届けしました。みんなでごはんを囲むだけでも良いのだけど、本があれば食卓がぐっと彩り豊かになる、そんなことに気づかされています。

2024年はどんな本とごはんが登場するのでしょうか。まだまだあれやこれや話したいことは尽きませんね。

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bokashiでは、(ほぼ)毎週水曜日に水曜ごはんを開催しています。テーマを持ち込んだり、ごはんを振る舞ったり、会に参加したり、どしどしお待ちしております。

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