無条件で冴えない主人公に惚れてる女の子

 どうやったら無条件で冴えない主人公に惚れてる女の子を、
想像することができるだろうか? 特に無条件というのが難しい、
条件も無く人を好きになるという環境が果たしてあるのか?
 とりあえず、女の子が過剰に恋愛をアピールすればいいのか、
とにかく男が、何をしなくても好かれている状態を描けばいいのか、
人間が好意を抱かれるにはそれなりの理由づけが要るが、
どうしても普通に過ごしてるだけでも理由付けがされてしまう、
いかに、読者に理由を悟られずに、無条件で冴えない主人公に、
惚れてる女の子を書きあげるかが、非常に難航する話になるだろう。

 適当に書いてみれば、いいのだろうか?
「わたしあなたが好きです」
 これでもうまず惚れてる感情はクリアした、
問題は主人公が行動をしたり、主人公に何か属性付されると、
それは即、主人公の魅力になってしまう、つまり、
主人公の魅力を一切描かずして、主人公に対し、女の子が延々と、
アプローチしていく必要がある。

 その場合、主人公は魅力が一切分からないものでないといけない、
冴えない、というフレーズがどうやら主人公の魅力を激減させる、
らしいので冴えない所を描かなければならない、
 そうだな、たとえば主人公はひげをそらない、髭ボーボーである。
「わたし、髭が濃い人好きなんです」

 と、このように特徴が1つ増えればそこは惚れてる女にとって、
チャームポイントになってしまうわけで、それって本当に混乱を招く、
女が1つでも褒める特徴になってしまえば、
その時点で冴えないと思われるところをクリアして恋愛感情が、
芽生えてしまうかもしれない。

 なので、徹底的に冴えないためには行動が冴えないことを、
表わさないといけないのかもしれない。

 冴えない主人公はウンコを踏んでしまって、臭い靴のまま、
学校に通うことになった。

「まったく、なにウンコふんづけてんの? 靴洗って来なさいよ!」

 しまった、行動を起こしたことによって、女の子に心配されてしまった。
これは惚れられる兆候であるし、しかし冴えない主人公というのは、
ギリギリ守られているから、まだ大丈夫か、
 ようするにこういうことだ、主人公が冴えない行動を取って、
その度に女が反応を示していれば、自然自然と惚れてることになるという、
妄想の塊をぶつけていれば、その内願いがかなって付き合うことになる。

 という事か、じゃあたとえば、
冴えない主人公は、夢見て欲情し夢精したままのパンツで、
イカ臭いまま、学校に来てしまった。

「このニオイ! ちょっとパンツ履き替えてきなさいよ!」

 顏を真っ赤にして怒る女の子は、冴えない主人公が時々、学校の中で、
マスターベーションしていることを知っている。
 ようはチンコをよく弄るところが、冴えないところなのだ。

 ここまで行くと主人公がいかに冴えないかがはっきりしたし、
まるで親の様に面倒見のよい惚れてる女の子が描かれることが明らかに、
なるほど、行動する度に心配させてれば、その内恋愛感情になるのか、
すごい妄想だ、これは。

 で次はなんだろう、そうだな、
冴えない主人公は、顏のニキビをいじくって、ニキビの芯をとりだして、
食べた。

「やめなさいよ! 跡が残るわよ!」

 このようにニキビを弄ると魅力が減ると同時に女の子に心配されるので、
無条件で冴えない主人公に惚れてる女の子を描くときには、
ニキビを描くことが重宝されるわけである。 なるほど。
 特にこの話では、跡が残ると困られる正当な理由がある、
つまり将来の恋人である冴えない主人公に少しでも立ち直ってほしい、
女の子の心情が描かれているわけであり、無条件の愛を強く感じる。

 なるほど、すごい妄想だねこれは。

 だが、決して主人公を魅力的に描いてはいけないのである、
悲劇の主人公にしてはいけないのでいじめの描写も自業自得でないと!
 冴えないというといじめられてる描写がないと説得力が無い、
逆にここまで冴えないといじめられるしかないだろう。

 主人公はイカくさいパンツを履いたまま登校してきて、
どかっと、不良の机を椅子代わりにして座っていた。
 ともだちだと思っている何人かと話すためであったが、
その態度が不良によくおもわれないのは確実だった。

「このイカくさ野郎! なにオレの机に座ってやがる!」

 おもいっきり殴りつけられると、
そのまま、教室から廊下に引っ張られて、おもいっくそ、
腹に蹴りを入れられたり、砂で汚れた廊下に転ばされたりして、
不良たちの怒りが収まるまでかなりの時間が要る攻撃、暴行、だが、

「やめなさいよ! そんなガイジ相手にしてんじゃないわよ!」

 女の子が止めに入った、なんて助かるんだろう、

「ちっイカレチンポが、まあいい、お前、今度やったら殺すからな」


人間は本能的に縄張りを張る、その縄張りを侵す、冴えない主人公が、
圧倒的に悪いのであって、そのことは誰にとっても皆目明らかであった。
それが主人公の冴えないところの所以であり、変えられない部分だ。

「まったく、アンタもやられっぱなしじゃなくて声ぐらいあげなさいよ」

なんとやさしいお言葉だろうか! これは女の子に無条件に惚れられる、
というより、女の子が惚れられる行動を取ってるんじゃないのか?
まさか、こんなゴミクズ主人公が人に好意を持てるなんて、
世の中捨てたもんじゃないね!

 さて、まだ無条件で主人公が女の子に惚れられる状況を、
上手く描けてる気がしない、これはかなりの熟練の技術が要るので、
あって、長年、そういったことに携わってる人でないと、
直感的に描くことが出来ない、領域に達していると、
個人的に書いていて思うので、主人公が妄想で好かれてるのでなく、
ひたすら、惚れられてるという理由が要るわけである。
 で、次、不良は今度は弄りの対象に女の子のほうを選ぶ、

「おまえ! 主人公のことが好きなんじゃねえの?!」

「なっ!?」

 この一言にまんざらでもない、女の子を描くことが出来たら、
まず、惚れてるのは確実だろう、それは男側の抱く妄想に近い、
恋情に負けてしまえば、もう立ち直れないくらい痛手なのだが、
 今の所冴えない主人公に良い点はない、
ウンコを踏んづけるわ、夢精はしたままくるわ、
校内でチンコいじるわ、ニキビを食べるわ、なんでもする。
 そんな不潔極まりないものを愛することが出来る人間は聖女で、
さらに冴えない男の子は大量のフケを頭に抱えていて、
頭髪をバリボリやると机がたちまちフケまみれになる特典つき、
そんな男に惚れることが出来る才能を開花させるには、
それこそ真摯に男を信じ続ける事しかない、男が立ち直ると、
心のどこかで信じているしかないのである。

 そこには福祉の精神すら感じる。

「アンタも逃げんじゃないの!」

 いじめや弄りから逃避するために主人公は学内で隠れられる所に逃げる。無条件に主人公に惚れてると、表だっても暗にも噂されて、
もはや逃げれる場所の無い状況だというのに、まだ主人公を見捨てない、
彼女は聖女なのだろう、きっとそうだ。
 成績もどべのど底辺のレベルであり、ひたすら持てない風貌も悪い、
そんな冴えない主人公のどこになにを見出したというのか?

 まったくもって謎である。

 おまけに、主人公は逃避できる場所が無いとしれると、
学校の掃除用具入れに隠れて、休み時間をやり過ごすようになった、が、
よく考えたら次の授業、体育だった、教室は女子が着替えてる時間だよ!

 落ち着く暗闇は反転、女子の声が響く教室内で、
たったひとり、男子である冴えない主人公は、その暗がりで外の話をきく、
「この掃除用具入れに誰かはいってんじゃないの?」
「ええ、まじでそんなことあるわけないじゃん!」
「叩いてみたら?」

 ガンっ、パカ、中から、冴えない主人公の登場です。
さすがにこの状況は唖然、声も出ない、そのまま、立ち去る、
主人公は体操服、着替えをもって男子の着替えているところに、
走り去っていったのです。

 このように世間にさえ居場所がなくなるようなことを、
続けている、主人公です、当然好かれるはずは無いのですが、
それでも惚れてる女の子は惚れています。
 なぜなのでしょうか? そこに理由を考えてはいけません。
たとえば幼馴染であるとか、そういう理由が1つでもある場合、
そして、主人公の生い立ちを知ってるとか、そういう理由が、
ひとつでもある場合、それは主人公の魅力になってしまいます。
 魅力的な主人公は冴えないとは言えなくなってしまうので、
そこを考えて、慎重に言葉を選ばなければなりません。

 さて、ひたすらモテない要素を詰め込んだ主人公ですが、
決定的な下衆さはまだ出てきてませんね、
 どんな下衆さが必要でしょうか? 不良相手にへーこら、
してる所とかでしょうか? なんでもいいのです。
 ただいま中学生の主人公が不良に頼まれて、小学校の卒業文集を、
持ってくるように言われて、さっさと差し出してしまうとか、
どうでしょうか? 個人情報を売るクズです、
そういうことを教育されてないのも問題ですが、
割と、人間として有り得ることなので、こういうことも起きるよ、
という判例として挙げてみました。 当然、同郷のクラスメイトからは、

「最低!」

 とか、言われてしかるべきものですし、
更に、授業中落書きをしていて、沢山の人が死ぬ絵を描いていたりした。
 それを先生に取り上げられて、どんな内容が書かれていたか、
クラスメイトは興味津々ですが、先生はとにかく酷い内容だったと、
つぶやくばかりです。

 そんな冴えない主人公が自分の机の前で休んでいると、
クラスの女子が、一体、どんな絵を書いていたのか尋問が始まります、
その結果、女子が口走った言葉が印象に残りますね、

「アンタ将来、人殺すでしょ?」

 人殺しになるとまでされている、冴えない主人公です、
とっとと異世界に転生してしまえばいいのに現実は甘くはありません、
さすがに傷つきもしたでしょうが、はっきりいって、
わざわざ、女の子が話しかけてくるこの状況が、
何故か、補正されている感覚ではあります、
既に最低の烙印を押されてる主人公に何故、人が集まるのか?
 それは女の子が、知らずと無条件に、惚れてる証拠なのか?

「あんまり無理すんじゃないわよ」

 とりあえず、声を掛けてくれる件の女の子がいます、
冴えない主人公の冴えなさは際立ちますが、
はっきりいって、学校生活で恋愛などしてるヒマはありません。

 なので、これが恋なのか、惚れられてるのかはわからないですが、
とりあえず冴えない主人公の冴えなさにもかかわらず、
女の子に恵まれてる環境というのは納得頂けるものと思います。

 さてと、難しいことになってまいりました、
あまりにも冴えないと恋愛に発展させる前に人生詰んでしまいます。
 正直なところ、周りの全てから敵対されるほどに噂が拡散してる。
悪いものである、主人公をどうやったら上手く誘導できるでしょう?

 ああ、正直、そこで女の子が降ってきて、生活を、
改善してくれる、それが、理想です。
 降ってこい女の子、降って恋女の子、降って恋女の子、

 ただ、筆者の経験上ですが、筆者は娯楽作品をあまり、
楽しめなかった幼少時代を送り、更に、作品に関しての知識もありません、
当然、ラブコメ展開も知らなければ、女の子が現れる作品も知りません。

 なので、何故、少女誌の女の子異常に可愛さに特化した女性キャラが、
少年誌に出てくるのか? それさえよくわかりませんでした!
ようするに人間として、歪んでおります。
 少年誌には男男した男しか出てこず、少女誌には女の子しかいない、
そういうものじゃないのかと、考えていたので、
女性が出るタイプの作品はとにかく忌避の対象でした。
 特にセーラームーンなどは、男子の間で変態作品ということに、
なっていましたので、女子が好きであっても男子が好きであるのは、
異常だと、そういう反応が小学校低学年から高学年までありました。

 少女誌は特に忌避の対象でした、読むに値しないものなのでは?
という感覚もありましたが、割と女子と絡むことのある男子の間では、
内容に興味があって貸し借りも起きているようだったので未確認です、
ただ、少女誌も少年誌も、購読できていない人間からすると、
どちらもつまらない作品であるのは確かで、
 未だに雑誌を購読しなかったことによって知的レベル、
文化レベルが異様に低いのが、筆者であります。 なのでして、
できることなれば、本を豊かに読めてる人間が羨ましいのが本音で、
できることなれば、自分も本を読む側の人間でありたかったです。
 それがかなわなかったのはひとえに買うものが多すぎたからです、
少年少女時代にお金が足りなくなるほど、文化で溢れてました。
 そんなこんなですから、筆者のような文化難民も登場し、
文化スラム状態になっている場所も数多くあるわけです。

 これは昨今の時代にまで反映されています、
今、世の中は本を読む人と読まない人に分けれますし、
読んでいる人も大半は流し読みです、心に残しません。
 そんな中、本の内容を心に留めることが出来る人の方が稀ですし、
何より、読んだ事も無いような内容を言える人も稀です。

 ようするに、だ。 なんで、雑誌なんか、読めんだよ、
お前ら利口すぎ、金持ちすぎ、憧れるわー。
 金なんか使う事覚えなきゃ使わないわー。
本とか買ってみたけどなんか損した気分にしかならないわー。

 という残念な事を言ってる冴えない主人公がいてもいいのです。
そう、これは冴えない主人公が本に目覚める物語でもいいし、
本を好きになってもらうために、猛烈アピールする女の子の、
物語でもいいのです。 ただ言えることですが、

 豊富なオタク知識は羨ましいものです、
あるのと無いのとでは大違いですし、
何冊も何冊も読める状況はもはや異常です。

 正直、なぜ、そんなに人は本を読めるのか? 気になる所です。
今の子そんなに本を読んだりしないよ、っていうのが答えかもしれません。
僕みたいに文化難民になって、なんとなくネットに転がってるもので、
文化を満たしてる人間を見かければ、浅いのは明らかな答えになります。

 そう、みんな本なんかそんなに読んじゃいねえんだよ、
本を読んでるってこと自体が幻想なんだ、大概な、
だから、冴えない主人公も当然、本なんか読んじゃいねえ、
そういう教育においての害悪みたいな生徒が生まれる理由の大半は、
文化的に圧倒的に劣ってるからだ、文化的資産に溢れていて、
魅力のある学生時代を送っていれば、嫌でも人付き合いが増えるもんだ。
 だが、お金がそうしたことをさせてくれなかった、
だったら図書館で本を読めばいいって?
みんなが読んでる本を読めばいいって?
 まだ漫画を読んだことも無いような知識の低い、
幼児向けの百科事典を読んでやっと喜んでるような知能の劣った、
冴えない主人公にとっては、人生自体が読めない本なんだ。
 全部が読めない本で出来ている世界で、
どうして、図書館の本に興味なんて持てるってんだ?
 教科書に書いてある意味の分からん文学作品だけでも、
辟易してるってのに、それにまして、更に学習を増やす?
 人間が壊れちまうよ、そんなに人間、本読んだりしないだろ、普通、
この世界にある、本という本が、ある種憎いよ、
冴えない主人公にとっては手に届かない存在で、文化的に隔絶されてる。

 それを雄弁に語れる人間で溢れかえってるこの世界、
さすがに冴えない主人公に感情移入しちまうよ、
だってそうだろ? 大半の本は強者の為に書かれたもんだ。
そして大半の本は強者が書いてるもんだ、圧倒的な文筆に支えられた、
読本強者たちが、切磋琢磨してせっせこ、しごいて作った作品集だ。

 それは弱者に向けた物語なんかじゃねえ、
強者が延々と講釈垂れるためにある教科書だ、
だからオレは絶対に読めない、俺は弱者の本しか読めない。

 弱者の本はまず、文字からなにまでおぼつかない、
記憶さえ整理されていない、前後感がつかめず、
全然、内容が伝わってこない、そこから始まる。

 そして誰も修正を入れたりなんかしねえ、当たり前だ、
だれが好き好んで弱者の本に手を加えたりする?
 弱者は野放しだ、まるで獣みたいに扱われる、弱いのにな。

 そして弱者を保護しようとして間違ったことを何度もやる、
弱者を強者にしてやろうとか、弱者を教育し直してやろうとか、
弱者を働かしてやろうとか、上から思いっきり弱者を踏んづける。

 誰も強くなりたいとか言ってねえし、教えてくれともいってねえ、
働きたいともいってねえし、踏んでくれともいってねえのにな、
弱者だからって理由だけで何やっても許されると強者は思ってんだ。

 だから施しはいつだってしごきと同じだ、
弱者は我慢ならねえ、本当の自分を知ってるからだ、
教育を受けられなかった自分、楽しいものを楽しめなかった自分、
おしつけられてきた自分、自分でしめつけてきた自分、
あらゆる自分が弱者であることを、確かに示すことになる。

 そんな弱者をありのままに愛することが本当に出来るのか?
文化的弱者を文民は嘲笑の的にする、それが答えだ、
愛とは、そこを一歩踏み越えたところにあるが、誰も踏み越えない。

 一線は敷かれたまま永遠に消えそうにない、
人間がどれだけ愚かか、人間がどれだけ把握せず生徒になりきれないか、
どれだけの人間が漫画の生徒になりそこなったか、
どれだけの人間が、雑誌社のキャンペーンに乗りそこなったか、
それは金を払ったやつだけが報われる楽園なんだよ、金のない奴は、
外野で負け犬の遠吠えしてるしか訳ないんだ。

 本当に弱者のためを思うなら、弱者の文化を認めてくれ、
そこからだ、はじまりってのはさ、醜い自分をさらけだして、
延々と、自分語りさせてくれよ、死ぬまでさ、
 弱者の文化は理解しにくい、そこから始めてくれ、
強者の文化を理解できるのはアンタらが頭がいい証拠だ、
強者の文化は弱者には理解しがたい、だって自分が強者になれねえもんな、
みんながみんな、強者の文化を代謝してまわるしかねえ、
元は弱者だったはずの人間が思いっきり見えはって誰も分からねえ、
理解しがたい強者の文化を流行らせちまって、もう、手をこまねいてる。

 地球の大半は弱者でまわってる、
その弱者を救うために本気で創作してるか?

 おれは弱者だから、弱者しか読めない文を綴ることにしたよ、
弱者っていうのは自分のことさ、自分しか読めない文を、
個々に描くことが、まずは弱者の文化を文化たらしめるのに重要なことだ。

 施しを受けないといけねえ、
それは重々承知のうえだけどよ、
人生ってやりなおしが効かねえんだよ、
若いうちに文化に馴染めなかったら永遠に引きずるぜ、
だから若いうちに文化を学べるような学習場所が必要なんだ、
だのにお前らはそれを与えようとしなかったな、
今ある不和や問題の大半は、人間が価値を勝手に唱えて、
勝手に強者のキャンペーンを望んだ結果出来た価値観だ。

 挑む者、挑戦者しか生きていねえような世界観で、
弱者はどこでなにをすればいいっていうんだ?

 本気で弱者を救う気があるなら弱者の物語を書け、
少なくとも、無条件で冴えない主人公に惚れてる女の子は、
弱者を助けようという気概があると思うね、
 普通の子じゃ出来ないことをするんだから、
弱者側に立てる、人間性があるなら、
幾らだって、弱者の物語を紡ぐことが出来るさ、
弱者が独り立ちするまでささえてやるのが本当の物語だ、
それ以外の物語は大小あっても強者のキャンペーンに過ぎない。

 これだけ強いおれがしてやってんだから救われるに決まってる、
そういうエゴに満ちた、世界観を延々と流し続ける機械装置だ。

 それになっちゃいけねえよ、人間は圧倒的に弱者なんだ。

 どうか、弱者の側に立って作品を書いてくれ、
困難なことだろうが、それが今、アンタに一番必要な態度だ、
強者に染められていけば、簡単に世間から評価される。
 皆、自分が強者の側、傍に立ってられることを誇るからだ、
そうは誰もがなれないのは分かりきってる。

 最後に祈る。

 弱者が弱者出来る世界が1つでも多く、
残されていますように。

いただけるなら、どこまでもおともしますとも!